2023年12月4日月曜日

12月4日 吉例顔見世興行 夜の部

「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」

仁左衛門の由良之助は酔ったふりのときはあんなに愛嬌たっぷりなのに、素にもどったとたんキリッと凛々しくなるギャップが鮮やか。タコを食べさせられた時に一瞬悔しさを滲ませることで、最後に九太夫見せる怒りが唐突にならない。
力弥の莟玉は緊張感を絶やさず、本来の力弥はこうあるべしと感じた。敵に見つかるかもしれない緊迫感ある場面なわけで。
孝太郎のお軽はセリフも言い方に何故か玉三郎を感じるところが時々あった。色気のあるいいお軽。平右衛門の芝翫とのやりとりは、にざ玉とは違って、仲のいい兄妹の風情。
赤垣源蔵の進之介、富森助右衛門の隼人、矢間重太郎の染五郎の並びに、年齢差の不思議を感じる。進之介は相変わらず。染五郎は声の調子が悪そう。
松之助の伴内が出てくるとなんかほっこり。仲居に竹之助やら上片の役者たちが多数出ていて、胸熱。

口上は前列に仁左衛門、梅玉に挟まれる形で団十郎、新之助がならび、後ろ2列になって市川家一門20人ほどが並ぶ。仁左衛門は先代12代目の思い出を述べつつ、当代を「勉強熱心」と。色々新しいことをしたり、歌舞伎十八番の復活に取り組んだりはしているが。梅玉も、先代と同い年、娘と当代も同い年で幼い頃から知っていると。昨年11月の歌舞伎座での襲名披露以来、巡業や博多座など全てに付き合っているのだそうな。
最後に睨みで幕なのだが、舞台の前に緋毛氈を敷いたり、刀や三宝を持ってきたりやと何だか大仰。

「助六由縁江戸桜」

壱太郎の揚巻の前に、並び傾城で廣松、玉太郎とともに吉太郎、芝のぶが舞台を彩っているのが嬉しい。吉太郎はツンとした感じに品格があり、芝のぶと並んでも見劣りしないのが立派。吉太郎の道中で肩を貸す男衆が佑次郎だったのも胸熱。
壱太郎の揚巻は美しく、大役を立派に果たしていたが、セリフまわしは白玉の児太郎の方がしっくりきた。揚巻付きの振袖新造に千次郎が珍しい。
団十郎之助六は、肩の力が抜けた様子がいいのか悪いのか。顔立ちやセリフが12代目に時々重なったのはいいのか?隈取のラインを細くしていて、顔も痩せた感じだったので、優男みたい。 

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