「絵本太功記」
二条城配膳の段は三輪、津国、咲寿、碩、南都の掛け合いに勝平の三味線。
勝平らしからず、音が軽くて浮いてるみたいと思ったら、10日に再見した時はいつものおおらかな音で安堵。
出だしが津国で、骨太ながらやや調子外れではらはらしたが、横暴な春長には似合う。三輪の光秀は安定感がある。無骨な武士のようで光秀?とも思ったが、文七の頸には首には合っているのだろう。
咲寿の蘭丸は喧しい。美少年らしくなく、ギャンギャンとけたたましいのだが、春長の威をかって横暴に振る舞っている役だからこれでいのか? 碩の十次郎が清々しい好青年なので、並ぶと…と思ってしまう。
夕顔棚は藤と病気休演の団七に代わって団吾。
藤が伸び伸び語っていて、とても上手く聞こえる。義太夫らしくはないのかもしれないが、聞きやすい。団吾は相変わらず斜に構えた(物理的に)弾き方で、ロックしてる。
尼ヶ崎は前が呂勢・清治、後が呂・清介。
清治の三味線は音が的確なのだと改めて実感。音程が確かなのはもちろん、間や音量も揺るぎがない。呂勢はやや三味線に背を向けるようにすわっていたのが気になったが、伸びのある声で節の抑揚が細か。初菊のクドキは音楽的ですらある。
後の呂は、「現れいでたる武智光秀〜」は迫力があったが、その後は尻切れとんぼ。三味線の手は多いわ、立ち回りやらでツケが入るわで、周囲の音にかき消されて、語りが聞こえないというのはどうしたものか。
人形は十次郎の玉佳が苦悩する若侍を好演。さつきの勘寿は婆の首が本人の分身のよう。紋臣の初菊が可憐で、袴が女性の着物に使うような華やかな模様だったのもよき。春長は休演の文司に代わって文哉。大役をよくこなしていた。
十次郎の目が見えなくなって、手探りで初菊を探すくだり、黙って顔を触られている操に違和感。人間だったら、初菊のほうへ促すなり、なんらかのリアクションがあるのでは?
iPhoneから送信