以前、映像で見たときはピンとこなかったのだが、1曲目の「It's a beauteiful day」から涙があふれた。クイーンのドラマチックな曲と、身体能力の高いダンサーの動き、リズムの取り方の心地よさがあいまって、何とも言えないハーモニーを醸し出していた。国籍も肌の色も異なるダンサーたちが一体となって作り出す美しい舞台は調和という言葉が似つかわしい。ベジャールの作品で一番好きかも。クラシックの基礎と、少し外れた、時にコミカルな動き、リズムと振りの合わせ方がとてもよく、ロックとベジャールの振り付けは相性がいいように思う。やはり、舞台は生で見ないと分からない。
ベルサーチの衣装はスタイリッシュ。白地に様々な黒のラインが入った、スポーツウエアのような衣装に始まり、一見、黒や赤のタイツだが、サイドがすける素材になっていたり、鮮やかな原色が刺し色のように使われたり。冒頭の白いシーツや、花嫁衣裳のヴェールやドレスの裾といった、、ファブリックの遣い方が洒落ていて、眼に楽しい。照明の遣い方も見事だった。
日本公演だからか、日本出身のダンサー(大橋真理、大貫真幹、岸本秀男)にいい役が付いていて、目が行った。「Radio GAGA」でソロを踊ったのも日本人かと思ったら、中国出身のスン・ジャユンだった。正六面体の白い箱の中に、男性ダンサーがぎゅうぎゅうに集まって踊る面白さ。同じ箱の中で男女が白い羽を降る雪のようにまき散らしながら踊る「Winters Tale」も美しかった。
ラスト近く、「Break Free」に合わせてジョルジュ・ドンの映像が流れたのだが、道化のようなメイクのアップが多く、なぜこの映像? どうせなら踊る姿が観たいと思ってしまった。
ラストは藝術監督のジル・ロマンを中央に、ダンサー一人ひとりが舞台袖から出てくる演出。一人ひとりと手を取り合う姿が感動をよぶ。(――と思ったら、初演時にベジャールがやっていた)
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