2011年5月11日水曜日

5月9日 サンクトペテルブルグ・バレエ・シアター「白鳥の湖」

定評があるという、イリーナ・コレスニコヴァのオデットは、しっとりというより、じっとりと粘っこいくらい。曲のテンポもこれまで観たどの「白鳥」よりもスローで、濃厚。歌舞伎だったら、「たっぷりと!!」と掛け声がかかるところだ。凄いのだけど、最後のほうは、もうおなかいっぱいという感じ。

ジークフリード王子のオレグ・ヤロムキンは、薔薇色の頬でチャーミング。まさしく王子という風情。こういう王子っていそうでいないかも。

コールドも素晴らしいのだが、女性で2人ほどいた日本人ダンサーのうちの1人がなんだかいっぱいいっぱいという感じで…。違う意味で目が離せなくて困った(苦笑)日本公演だから、普段よりも目立つところで踊らせてもらったのかなあ。結構前の方の席だったので、コールドの人たちも含めて、ダンサーの表情がよく見えたから、余計気になったのかも。

1幕、2幕は全体的にスローペースで、王子やパ・ド・トロワの男性ソロなんかは、ジャンプの滞空時間が相当長くないと、曲にのれなくなってしまうのだが、ちゃんと、テンポに合わせて長く飛んでいたので感心した。


対して3幕はアップテンポ(笑)。前半の遅れを取り戻すかのように、”巻き”で進んでいく。

オディールの悪女っぷりは、さすが。オデットとはまるで別人で、動きもきびきびしてるし、王子を誘惑するところや、嘲笑する表情が魅力的。ただ、見せ場のグラン・フェッテの後で曲を止めて、拍手&お辞儀にしちゃうのはどうよ?テクニック的には、数回ダブルが入ったけど、ほとんどシングルで、「超凄い」というほどではないし(むしろ、あのスローテンポで2幕を踊りきるほうが凄いと思う)、曲の区切りでもなんでもないところで、ぶつっと曲が切れてしまうのは違和感がある。半端なところから曲が再開して、踊りだす王子もなんだかなあ…だったし。

4幕もあっさり目。最後は、ロットバルトを倒して、2人は結ばれ、めでたしめでたし…だったけど、これもなあ…。王子は決定的なミスを犯したのだから、ハッピーエンドはあり得ないでしょう?ロットバルトを倒すんなら、初めからやっとけ、と思ってしまう。

コレスニコヴァは、踊りはもちろん凄いのだが、むしろ演技派なのだろう。オデットやオディールのセリフが聞こえてくるような熱演は見ごたえがあった。本人もインタビューで、テクニックよりも演技、と言っていたし。
最後にオーケストラ。震災の影響で公演が延期になり、当初予定していた劇場の管弦楽団ではなく、東京のシアター・オーケストラというところだったのだが、う~ん。。。ファンファーレでトランペットが外しちゃったり、ところどころでミスが気になった。

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