2020年2月9日日曜日

2月8日 文楽公演 第3部

「新口村」

口は御簾内で亘・友之助。
呂・清介。呂の語りはいつも通りなのだが、曲がいいのだなあとしみじみ思った。

人形は玉佳の忠兵衛に勘弥の梅川、玉也の孫右衛門。地味にいい配役。「今じゃない」のところで、明らかに知っていて笑っている人がいた。(忠兵衛が飛び出すだいぶ前、孫右衛門が「名乗って出い」と言うところですでに笑っていたから)何故?話の筋を分かっていたらここは笑うところではないと思うのだが。

「鳴響安宅新関」
藤の弁慶、織の富樫、芳穂の義経に南都、文字栄、亘、碩。三味線は藤蔵を筆頭に、清志郎、清丈、清公、錦吾、清允、清方。
織、藤蔵の熱演は周囲から浮き上がるほど。
人形は玉男の弁慶に玉志の富樫。山伏問答の緊迫感など、歌舞伎のほうに分があると改めて思った。

2月8日 文楽公演 第1部

「菅原伝授手習鑑」
車引の段は靖の梅王、咲寿の桜丸、芳穂の松王、碩の杉王、津国の時平に清友。
靖、芳穂はこういう役は問題なし。碩もちょっと雑魚っぽい杉王みたいのは難なくこなす。咲寿は床本めくるのが格好つけ過ぎな割に、ガチャガチャした語り。津国の時平は、大笑いか長々と続き、拍手が起きていた。
人形は蓑紫郎の桜丸の型がきれいだった。

茶筅酒は三輪・團七。声がよく、チャリっぽいところも、嫁3人の語りわけもしっかり。

喧嘩の段は小住・清馗。小住は声がよく出ていいなだが、上品にまとまっているような感じもする。

訴訟の段は靖・錦糸。冒頭の低い声が辛そうで、今ひとつ精彩を欠く。難しいのかな。錦糸の顔も渋い。

桜丸切腹は千歳・富助。白太夫が八重を説得するところは情にあふれ、拍手がないのが不思議なくらいだったが、それ以外は元気すぎるというか、渋みが足りない感じだった。住太夫のイメージが強いからかも。一音一音を切ってスタッカート気味に語るのが、耳に触った。
人形は蓑助が切腹する桜丸を遣い、八重の勘十郎と師弟共演。玉也の白太夫は安定。


2020年2月8日土曜日

2月7日 少女仮面

冒頭の少女貝(木崎ゆりあ)と老婆(大西多摩恵)の場面に続き、喫茶「肉体」のボーイたちの場面は唐作品に力及ばずという感じで楽しめなかったが、春日野八千代役の若村真由美が出てきてからはぐっと引き込まれた。客席後方から、強烈なスポットライトを浴びて登場する煌びやかさ。低い声でのセリフが男役らしく、現役の宝塚の男役よりらしいのではと思うほど格好いい。貝と嵐が丘の一節を演じ、フィナーレで登場するところなど、思わず拍手しそうになったし。
無機質な舞台装置、ポップにボカロ編曲された悲しき天使など、杉原らしい味付けがはまっていた。
人形役の森田和真が上手い。

2020年2月7日金曜日

2月6日 アリーナ・コジョカル ドリームプロジェクト Aプロ

コジョカルが怪我で、プログラム、キャストか変更されていたのだが、満足度の高い公演だった。

1部「バレエ・インペリアル」は女性ダンサーの群舞が美しい。白いチュチュは雪の精のようで、フォーメーションも凝っていて見応えがある。

2部は「海賊」から。アリ役のオシール・グオーネは黒人で、厚い筋肉質な体が役に合っている。跳躍も回転もブレのない確かな技術。スピンの後半、スピードが上がったように見えたのがすごい。 メドゥーラは菅井円加。健全な感じのする踊りだ。

新作の「エディット」はピアフの歌に合わせてのソロ。ナンシー・オスバルデストンは舞台に上がる前の怖れから、打って変わった情熱的な力強い踊りへ。歌っていないのにピアフの情熱的な歌唱が感じられる。

ヨハン・コポーの「ABC」は洒落た作品。アルファベットの頭文字の順にキーワードがアナウンスされ、それに合った動きをするというもの。Aでアラベスクとか、Cでシャッセとか、バレエの動きをしたかと思うと、ニジンスキーら過去のダンサーの名前でそれっぽいポーズをしたり。Vのバリエーションではジゼルや色々な役をメドレーで。ちゃんと踊れるというところも見られて面白い。色んなダンサーで見てみたい。

「マノン」のパドドゥはコジョカルとフリーデマン・フォーゲル。コジョカルは軽やかな足取りで、儚げ。繊細な演技がドラマチック。 フォーゲルは好青年な感じ。

ラストは「ドン・キホーテ」のデヴェルティスマン。オスバルデストンと菅井のキトリとグオーネとキム・キミンのバジル。それぞれダブルキャストで踊りまくったら、そりゃあ盛り上がるさ。キムは高いジャンプがかつての熊川哲也を彷彿とさせる。バジル2人と、道化役(玉川貴博?)が3人並んで回転技を繰り広げるクライマックスが圧巻で、キムの速さ、安定感か際立った。


2020年2月3日月曜日

2月2日 イマーシブシアター サクラヒメ

正直言ってつまらなかった。1時間15分ほどの上演時間では仕方ないとはいえ、物語が薄い。3階席から観たが、 フラット舞台の後方半分ほどが見えず、何かをやっている気配が感じられるのがもどかしい。これはどこの席だったとしても、一定場面は見えないようになっており、舞台全体を見られない不満は多かれ少なかれありそう。フラット舞台にいる観客は逆に、目の前の限られた場面しか見えないだろうし、それで物語のどれほどを理解できるのか。
5人の恋人候補は、どれも人となりが描き足りない。アクロバットの鳶の男がやたら跳ねていたり、陰陽師がなぜかタップだったり。踊りを見せるなら見せるで、もっと密度高くてもいいのでは?セリフが録音みたいだったのも興ざめ。誰か贔屓の演者がいれば、その人が間近で見られる楽しみはあるのかも。

2020年2月1日土曜日

1月31日 霜乃会プラス 文楽

「一谷嫩軍記 組討の段」を碩太夫、燕二郎。
力いっぱいの熱演で好印象。碩は声がよく、語り分けも十分だし、フシも聴かせた。燕二郎はよく手が回り、明晰な音がいい。ちょっと力みすぎたかというところもあったが、若いうちはこれくらいでないと。

0131 「キレイー神様と待ち合わせした女―」

松尾スズキの代表作とのことで、4時間近い長い舞台ながらよく練られていて内容が濃い。戦争の虚しさとか、大豆兵のクローンとか、時代性のあるテーマを笑いに包んで訴える。
戦争は嫌だけど、戦争利権で生きている強かな母ちゃん役を演じた皆川猿時が意外によかった。後半、政治家に転じるのも筋が通っている。
主人公ケガレの生田絵梨花はミュージカルで活躍しているだけあり、歌が達者。成人したミソギ役の麻生久美子は歌は今一つだったが。
少年ハリコナ役の神木隆之介は初舞台だそうで、歌も踊りも懸命な様子に好感が持てる。ちょっと空回りしている感じもあったが。
マジシャン役の阿部サダヲのテンションがこの役には合っている。
総じて面白い舞台だったが、誘拐・監禁された少女という設定が男の変な妄想が透けて見えて嫌らしいとか、知恵遅れのバカとか、ホモセクシュアルを揶揄するような描き方はどうしたものかとか、少々引っかかるところはあった。