2022年12月18日日曜日

12月17日 大槻能楽堂

「阿漕」

友枝昭世のシテ。身体とのバランスがいいのか、能面が本当の顔のように見える不思議。キビキビとした舞で、前場は釣竿に糸(綱)を巻き付けるなど変わった動き。音を立てて竿を放ったかと思ったら、唐突に去ってしまう。
後場は痩せ男の面で、小さい網を携えて。網を操りながら、禁漁を犯したことにより修羅に堕ちた男の苦悩が描かれる。
なんかすごいものを見た、という感じで、これぞ人間国宝の至芸。少し時間は押していたのだが、短く感じた。
ワキは福王茂十郎。重厚感。 

事前の対談は大槻文蔵と村上湛。現在の伊勢信仰は明治維新後に作られたもので、室町〜江戸期は庶民は詣でたが、皇室は近寄らなかったとか。阿漕が陥る地獄もは仏教的なものでなく、他の作品とは様相が違う。最後に救いがないのも特徴。

能の前に狂言「金藤」
善竹隆平はちょっと頼りない盗賊がよく似合っている。長刀て脅して女の荷物を奪いながら、形勢逆転されて着ているものまで奪われてしまう。女の善竹忠亮は発声が独特。発話時に急にアクセントが来る感じが耳に触り、苦手に感じた。


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