「寿式三番叟」
錣の翁、芳穂の千歳、三番叟は小住と亘、碩のツレ。三味線は藤蔵、勝平、友之助、清公、燕二郎。
人形は簑紫郎の千歳、和生の翁、三番叟は玉助と玉佳。
翁付きということで、ちょっと重々しい雰囲気だが、能楽ほどの格式は感じられず。翁の人形が面をつけるというのも、違和感がある。そもそも人形の舞というものにあまり感動しないので。人が肉体の限界に挑むようなところろに感動するのであって、端っから人間にできない動きができる人形が人間のマネをしたところで何?という感じがしてしまう。
何がそんなに楽しいのか登場から笑顔の玉佳。二人三番叟と同じく、ちょっとサボるくだりがあるのだが、少し短め(コロナ禍のせい?)。足遣いの足踏みとお囃子、三味線のリズムが崩れかけては、踏みとどまり…と言った感じで、崩壊はしなかったものの、音楽に身をゆだねることができなず、消化不良な感じ。うなる藤蔵。藤蔵が走りそうになるのを、2番手の勝平が抑えているように感じたが…。
「双蝶々曲輪日記」
難波裏喧嘩の段を希・清馗。悪くない。濡髪がやむを得ず人を殺めてしまう事情が分かりると、後の場面にも入りやすい。最期、助っ人に登場する放駒長吉(玉翔)のかしらが鬼若なので、なんだか雑魚キャラみたいだったけど、最後寄り目で見栄をするとちょっとカッコよかった。
八幡里引窓の段は中を靖・錦糸、奥を呂・清介。
靖は長五郎母の語りがもう一つ。呂に変わって、さすが語り分けが的確と思ったが、クライマックスの、十次兵衛に人相書きを売ってほしいと訴えるところの悲しみの表現がちょっと違う気がした。なんか他人事みたいというか。
人形は玉志の濡髪長五郎。勘十郎の十次兵衛が颯爽。ただ、長五郎に逃げ道を教えながら家を出る場面で、左手を胴串から離して人形の背中を見せたのはなぜ?後ろ振りみたいなもの? また、最後の右足を伸ばして決まるポーズは体幹がずれているように感じた。女房おはやの勘彌、長五郎母の勘寿らは適役。
長五郎を縛る引窓の縄が、人形や窓の大きさに比べて太すぎるのでは?
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