2021年8月13日金曜日

8月13日 ミュージカル「ジェイミー」

 森崎ウィンの主演にひかれたのだが…。のびやかな歌やダンスは期待通りだったけれど、今一つ楽しみ切れなかったのは、脚本のせいか。ゲイでになりたい16歳の少年の悩みを描くのはいいとして、リアリティがないというか、カタルシスが足りないというか。プロムにドレスを着て行くためにクラブのショーに出演するのも簡単に実現してしまうし、すぐにクラスメイトの支持を得てしまうなんて簡単すぎない?眉毛もろくに描けなかったくせに、観客を魅了するどんな魅力があったというの!? で、普通ならここがクライマックスだろうに、この作品では1幕のラスト。話はまだ続く。2幕は父親との確執が描かれるのだが、父親とは結局、決裂したまま。まあ、わからずやは放っておいてもいい。けれど、クラスで1人だけ、ジェイミーを快く思っていないイケメンのディーン(矢部昌暉)との対立も中途半端。ディーンは差別発言を繰り返し、親を使って学校にジェイミーをプロムに出席させないようクレームの電話を入れる。でも、ディーン以外のクラスメイトはジェイミーの女装姿を受け入れているし、この流れだと逆に一人で孤立してハブられないか?クラスメイトを巻き込めないのに人気者なの?(「あんたが大きな顔してられるのも学校があるから。卒業したらただの人」(大意)というプリティのセリフ、格好良かった!)最後はほかのクラスメイトに押し切られてしまうのも、うやむやな感じがした。

っていうか、ジェイミーは母親(安蘭けい)とその友人のレイ(保坂知寿)に絶対的なサポートを受けているし、はじめからクラスメイトは好意的だし、親友のプリティは頼りになるし…で、ゲイだからといって一昔前のような、孤立して悩める主人公ではないよね。ウィンの陽性なキャラクターのせいもあるのか、虐げられたり逆境にあったりする感じがしないのも、物語としてはマイナスかも。

あと、英語だったらもっとテンポよく行きそうだと思う会話も所々あって残念ポイントだった。

ドラァグクイーンのオネエサマがた(泉洋平、吉野圭吾、今井清隆、石川禅)は迫力はあるものの、美への執着が薄いのが残念なところ。美しく見せようという姿勢が足りないところが、ヘテロが女装するときにうへぇとさせられるところ。歌唱力はすごかったけど。ウィンも、シナを作る仕草なんかはよかったけど、ホットパンツの着こなしはイケてなかった。赤いドレスも、大振りのフリルはあんまりゴージャスじゃないよ。プロムってそういうものかもしれないけど。

単なる女装の男の子でなく、「ドラァグクイーンは武装して戦って相手を圧倒する」(大意)っていう、ヒューゴのセリフに納得。オドオドしてたらクイーンじゃないよね。

教師役のミスヘッジが実咲凛音と後で知った。ピンヒールを履きこなしていたのが凄かった。



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