「引窓」
こんなに面白い引窓は初めてというくらい面白かった。急な出世を喜ぶ与兵衛(仁左衛門)がチャーミングで、母お幸(吉弥)、女房お早(孝太郎)とのやりとりもほのぼのと微笑ましかったのが理由か。もちろん、実の子と義理の子の間で揺れるお幸の母の情に泣かされたし、幸四郎の濡髪も悪くなかった。
「新口村」
鴈治郎休演のため、忠兵衛と孫右衛門の二役を扇雀、梅川を壱太郎がそれぞれ代役で勤めた。これが、予想以上によかった。なにより、壱太郎の梅川がいい。情があって、薄幸そうな風情が役にあっていて、お紺よりよっぽどはまっていた。扇雀も女方より立役のほうが似合うのでは。孫右衛門があまりヨボヨボしていなかったけど、これはこれでいいような気もする。
ただ、後半、忠兵衛の替え玉?が結構しっかり顔を見せていたのは演出としてどうなん? 「今じゃない」のくだりも、しっかり戸口から出てきたので、客席に笑いが起こっていたのも興醒めだった。
竹三郎が忠三郎女房。ちょっとセリフがもたつくところもあったけど、元気な様子が嬉しい。(しばしば舌を出していたのが気になった)
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