「伊勢音頭恋寝刃」
高麗屋の福岡貢には心引かれなかったが、コロナ濃厚接触で休演の鴈治郎の代役で千寿がお鹿をするので急遽遠征。
期待していなかったものの、高麗屋の伊勢音頭は何というか、セリフのテンポや間が悪いとこんなにつまらなくなるのかと…。幸四郎の貢は姿はキリッとして二枚目らしいのだが、セリフがつまらない。万野は初役の扇雀で、これもいただけなかった。イヤミが効いていないのと、いやらしさの中に色気やチャームが感じられないからだと思う。
急逝した秀太郎に代わって万次郎を演じた孝太郎も、立役が板についてない感じ。お岸の虎之助は、出でパッと人目を引く華があったのはいいが、着物の裾捌きがぎこちなく、座っての演技に難あり。じっと貢を凝視したり視線をキョロキョロさせるのもよろしくない。
千寿のお鹿は登場から大きな拍手で迎えられ、大健闘。ただ、期待したほど面白くはなかったのは、女方だから?不細工ではあるが、声やら仕草やらが可愛すぎるのかも。
よかったのは、喜助の隼人。キリッとして格好良かった。
「お祭り」
期待していなかったのだが、意外な収穫。仁左衛門の鳶頭が格好いいのはもちろんだが、千之助の芸者が予想外に上出来。まず、ほっそりした瓜実顔が美しく、芸者姿が似合う。姫よりもいいのでは。踊るときの指先も綺麗で、上半身の柔らかさが加わったらなおいいと思った。千之助が踊っている時、後ろで見ている仁左衛門の眼差しが、甘さの中に厳しさが垣間見えて印象的だった。
孝太郎も芸者だが、今回は千之助に花を持たせた格好。花道の引っ込みでは、千之助と仁左衛門が手を取り合って先へ行くのを、ヤキモチをみせながら追いかける。
大向こうがないので「待っていたとはらありがてぇ」のお決まりのセリフはなしで、無言のまま三方へお辞儀する演出に。ちょっと寂しい。
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