2020年9月7日月曜日

9月5日 文楽公演 第一部

およそ半年ぶりの本公演。開場時間になると、半分以下に間引かれた客席からいつもより力強い拍手。演者が登場してからもしばらく鳴りやまず。

「寿二人三番叟」
芳穂、津国、南都、咲寿、文字栄に勝平、清馗、寛太郎、清方。
三味線は一撥めから力の入った様子。少し急きぎみなのを押しとどめた感じ。第一声の芳穂はブランクを感じさせない、堂々とした声(体格も一回り恰幅がよくなっていたような…)津国との掛け合いも悪くはない。
だが、なんだか三味線のまとまりが悪い感じ。どうにかこうにか勝平が手綱を引いてまとめているのだが、ちぐはぐな感じが否めず。人形の足拍子、お囃子もなんだかちぐはぐで、もみの段はともかくも、鈴の段に入ってからが特に気持ち悪かった。
人形は玉勢と簑紫郎で、動きがちょっと勢いあまる感じだったのは、気合の表れか。能舞台を模した感じで、手すりよりも高くしつらえられた舞台には橋掛かりがあり、3本の松もあったのはいつも通りだっけ?


「嫗山姥」
廓噺の段の口を希・清丈、奥は千歳・富助に錦吾のツレ。
沢瀉姫や局など、女キャラが多い段なので、希の声質には合っている。10分ほどの出番を不足なく勤めた印象。
千歳・富助が出てくると安定感。けれど、八重桐の廓噺は他の人で聞きたいかも。千歳がときおり咳をしていたのが気になった。何事もなければいいのだけど。
人形は勘十郎の八重桐が大活躍。玉也が時行役という若い男前を遣うのが珍しい。八重桐が現れてこそこそ隠れるところとか、ダメンズではあるが。それにしても、変な話だよなあ。時行よ、妹に敵討ちを先越されて情けないからって腹を切らなくても…。そこで八重桐に子が宿ってスーパーパワーを身に着けるという展開もあっけにとられた。

引き続き、2部を鑑賞する予定が、開幕時間後10分ほどたってから、急きょ中止のアナウンス。スタッフに体調不良者が出たとのことで、観客は大きな混乱なく受け入れたようす。技芸員の人たちもぞろぞろと帰っていく様子に遭遇した。

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