2020年9月19日土曜日

9月14日 文楽公演 第二部

病気休演だった咲太夫が復帰したというので、急きょ。

市之進留守宅から盆が回って数寄屋の段の咲・燕三が現れる。織から咲へ変わると、登場人物の人格が変わったかのよう。もともと、おさゐや権左の人物像というのは、とくに現代から見ると現実的でないのだが、語り手で変わるもので、その違和感はとりあえず横へ置いて、物語に集中できる気がした。おさゐは仮にも茶道の師匠を勤めるほどの人物の女房なのだから、それなりの落ち着きがあってしかるべきで、嫉妬に我を忘れるにしても、あまりヒステリックになるのは違う気がする。それと、緩急のある語りは、やはり切場語りだ。メリハリがあるから安心して聞いていられるわけで、終始押してこられると(筒一杯というのとは違って「どうだ、すごいだろう」という押しつけがましさ)だと聞いているほうは疲れる。

伏見京橋妻敵討ちの段は、様式美の世界と再認識。賑やかな盆会と敵討ちの対比、討たれる者のあわれ。切られた権左がおさゐに覆いかぶさるようにこと切れるのはなぜだろう。濡れ衣なのに。

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