2025年1月28日火曜日

1月28日 大槻裕一 咲くやこの花賞受賞記念の会

 舞囃子「高砂」と半能「融 舞返之伝」を披露し、間にトーク。

小鼓の大倉源次郎、ワキの福王和幸が、咲くやこの花賞受賞の先輩として出演する贅沢さ。だが、近鉄アート館の黒いステージをそのまま使っての上演。橋がかりや目付柱がないのは致し方ないが、黒の背景では風情がないと感じた。最前列だったので、床の汚れで足袋の裏が真っ黒になっていくのが気になって…。

客席は9割方埋まっている感じだったが、質問コーナーでは誰も手を挙げず。子どもの頃から能面を手づくりし、「能ごっこ」をして遊ぶなどの能オタクぶりにたじろいだか。

2025年1月26日日曜日

1月26日 新春浅草歌舞伎 夜の部

挨拶は橋之助。
ずっと憧れていた浅草歌舞伎、勘九郎、七之助が卒業して、自分の番だと思っていたのに、1年目之正月は父と大阪で悔しい思い。2年目から出演できたが、大きな役は兄さんたちで、自分は1ヶ月が長かった。今年は座頭となり、一ヶ月があっという間。29年前に生まれた時、父が浅草歌舞伎に出ていた。29年後に座頭として出演できて嬉しい。父は30歳で初座頭だったが、自分は1年早い29歳。

解説は鷹之資。

「春調娘七草」

左近の五郎、玉太郎の十郎、鶴松の静御前。
線の細い左近だが、体をいっぱいに使って力漲る立派な五郎。 
鶴松の静は悪くはないが、なんでこの座組で?という疑問を払拭するには至らず。

「絵本太功記 尼崎閑居の場」

橋之助の光秀は線の太い役が似合い、堂々として大きさがある。莟玉の操はしっとり落ち着いた風情。初菊の左近が可愛らしいので、並ぶとちゃんと母と嫁に見える。鶴松の十次郎はちょっと芝居がクサイか。染五郎の久吉はなんか腹に一物ありそう。

「棒しばり」

鷹之資の次郎冠者がキレのある踊り。何より楽しそうに踊っているのがいい。染五郎の太郎冠者は並ぶとやはり見劣りが。橋之助の大名がおおらか。

千秋楽だったので、終演後はカーテンコールを期待する客席の拍手が鳴り止まなかったが、そのまま終わったのは行儀がよろしくて良き。

2025年1月25日土曜日

1月25日 初春歌舞伎公演 第2部

「彦山権現誓助剣」

通しだとお園の活躍が多くて嬉しい。鎖鎌など立ち回りの見せ場も多く、時蔵の女丈夫ぶりが凛々しい。毛谷村で虚無僧姿で出てくるところは、男っぽい所作で声色から違い、許嫁の六助と知ってころっと可愛らしくなる変わり身の早さも微笑ましい。
菊之助の六助は実直な好青年。彦三郎の京極内匠は敵役としては太々しさ足りない感じもしたが、存在感を見せた。

大詰で久吉方の若武者として子供たちが勢揃い。亀三郎、丑之助、眞秀、梅枝、種之助が並んで微笑ましい様子を見せたが、丑之助のうまさが際立った。立っているだけで他の子と違う。

吉弥の一味斎妻お幸、吉太朗の一味斎娘お菊のほか、内匠が母と偽る老婆に當志哉など、上方役者の活躍も嬉しい。折乃助は腰元に続いて、夜鷹の役では「ホワイト案件」「5050」「はい喜んで!」など時事ネタづくし。ギリギリダンスも楽しかった。 吉太朗は大詰で立浪家家臣の1人で萬太郎や竹松、市村光と並んで最後の手拭い撒きまでする異例の活躍だった。

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2025年1月13日月曜日

1月13日 新春特別公演

大阪では19年ぶりという仁左衛門・玉三郎の共演で、3階席までお客でいっぱい。だが、「於染久松色読販」と「神田祭」はコロナ禍以降たびたび観ているのであまり心躍らない。

「於染久松色読販」
玉三郎の土手のお六、仁左衛門の鬼門の喜兵衛は息の合った夫婦ぶり。
嫁菜売り久作を千次郎、髪結亀吉に松十郎。番頭の松之助がいい味。
柳島妙見の場で颯爽と現れて場を納めた錦之助の山家屋清兵衛が格好いい。油屋太郎七に弥十郎。

「神田祭」
仁左衛門の鳶頭に玉三郎の芸者。美男美女がイチャイチャして幸せオーラを振り撒く。玉三郎に疲れがでたのか、少し老けて感じた。

2025年1月5日日曜日

1月5日 初春文楽公演 第1部

「新版歌祭文」 

座間社の段を三輪、津国、文字栄、南都、咲寿、亘に清友。
適材適所な感じ? 咲寿が健闘。

野崎村は中を希・清志郎、前を織・藤蔵、切を若・清介に清方のツレ。野崎村を3つに分けるのはいかがなものかと思う。 
希は頑張っているけれど、何かが足りない感じがする。織は意気揚々だが、娘が可愛くない。若は相変わらずの省エネ運転。おみつが賢しげに聞こえる。

人形は清十郎のおみつが健気。紋臣のお染はお嬢さんらしい可愛さ。文昇の久松は二人が惚れる理由がよく分からん。玉也の久作は適役。


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2025年1月4日土曜日

1月4日 初春文楽公演 第3部

「本朝廿四孝」
道行はともかく、景勝上使からだと話がわかりやすい。客席は半分も埋まっていない感じで、正月なのに客入りが悪いのが何とも…。

道行似合の女夫丸は睦の濡衣、希の勝頼、亘、薫のツレに団七、団吾、錦吾、燕二郎、藤之亮。
珍しい道行だが、あまり華やかな感じがない。

景勝上使は靖・勝平。
珍しい組み合わせだが、あまり相性がよくない?

鉄砲渡しは小住・寛太郎。
安定感。  

十種香は錣・宗助。
艶やか。  

奥庭は芳穂・錦糸に友之助のツレ、清允の琴。
芳穂は期待したほどでなく。「翼が欲しい〜」の件があっさりしてて、他のところとあまり変わらない感じ。もっと盛り上げて欲しい。錦糸の三味線は引き出しがバチっとしてて、びっくり。眉間の皺…。

人形は簑二郎の八重垣姫。下手ではないのに何となくパッとしないのは何故だろうと考えた。人形使いの華って何だろう。奥庭の左は簑紫郎、足は簑悠。激しい動きにも付いていっていて感心。主遣いより目がいってしまう。
勘弥の濡衣はしっとり。玉助の勝頼、玉志の謙信、玉佳の景勝。

2025年1月3日金曜日

1月3日 初春文楽公演 第2部

「仮名手本忠臣蔵」

八段目は呂勢の小浪、靖の戸無瀬、ツレに聖、織栄、三味線は清治、清馗、友之助、清允。
華やかに、なのだが、呂勢が三味線の方を気にして顰め面していたのが気になった。
人形は和生の戸無瀬、簑紫郎の小浪。戸無瀬は人形拵えのせいか、首をすくめているように見える。簑紫郎の小浪がすっとしていたので余計に。

九段目の雪こかしは睦・ 清丈。
よき。

山科閑居の切は千歳・富助。
期待通り。安定感と風格があり、この段にふさわしい。

後は藤・燕三。
意外に良かったのは燕三の功績か。三味線の音色が深みがあって。

人形は玉男の由良之助と一輔のお石の夫婦がよき。雪こかしでちょっとイチャつくところがあるなんて今まで気に留めてもいなかった。

18日再見。
清治は道行の中でも忠臣蔵の道行が一番好きだそうで、三味線の鮮やかな音色に聞き惚れる。呂勢の語りは音楽的でよかったが、靖は顎が出ている感じで発声が今ひとつ。和生の戸無瀬はしっとりと美しく、小浪を気遣う継母の気遣いや情が感じられてよかった。簑紫郎の小浪が瑞々しく、母娘のバランスも良かった。キセルから煙が出る演出など、色々細かい段取りがあるみたい。  
睦の見台が新しくなっていた(虎の模様)。