2020年3月29日日曜日

0328 講談ひるず

此花千鳥亭に行ってみた。こじんまりとした、アットホームな小屋。新型コロナ対策で、客席の間隔をあけ、換気を十分にしていたので少々寒い。

露の真をゲストに、トークとそれぞれの芸を1席ずつ。ぶっちゃけ話もあって楽しんだ。

小南陵の「妲妃のお百」が面白い。男をたらしこむときのちょっと甘えた声が色っぽくて、これでもかという悪女ぶりが気持ちいいくらい。男のどすの利いた声も堂に入っていて、聞きごたえあった。

2020年3月21日土曜日

0320 いいないんええよにん

茂山千之丞の呼びかけで、狂言、落語、講談、浪曲の4人がコラボ。初日は浪曲、落語、狂言の顔合わせ。
生の舞台に飢えているのか、客席の入りはほぼ満席(関係者も多かったけど)。空気清浄機狂言や換気、手の消毒などいろいろ配慮されていた。

浪曲の隼人は老けた見た目をネタに客を掴み、堂々と。

落語のよね吉は「蛸芝居」。とはいえ、笑いがくるまでマクラをしゃべり続け(関係者の笑いが少なかったらしい)、予定時間をオーバーした模様。ブラックボックスの舞台はやりにくそうだが、汗だくになって蛸を熱演。

狂言はあきらと千之丞の「無布施経」。e9の舞台は三間四方の能舞台とよく似た構図だが、床や壁が黒いせいか、ずいぶん様子が違って見える。前衛劇を見ているような。

アフタートークはくつろいだ雰囲気で楽しかった。

2020年3月16日月曜日

0315 第4回 瑠璃の会

新型コロナの影響で、客席の入りは半分程度。おのずと客同士の距離感が保たれている。

「菅原伝授手習鑑」車曳の段は呂秀、呂響と駒清。
落ち着きが増してきて、それらしくなってきた。この二人はセットのようになっているが、並べられて常に比較されるのも気の毒な気がする。それぞれの良さを生かした演目が聴いてみたい。

「生写朝顔話」明石浦船別れの段は住年・住静。


「心中天網島」土佐恵・駒清。
近頃、文楽で聞いたばかりなので、女義との違いを意識してしまう。治兵衛の情けなさはあまり女声に向かないのでは。

「傾城恋飛脚」新口村の段は住蝶・住輔。
いい曲をいい声で聴くのは心地いい。春夏秋冬の締めとして、聞きごたえがあった。

2020年3月15日日曜日

0314 貞松浜田バレエ団「創作リサイタル31」

新型コロナの影響で、無観客、関係者のみの上演だったが、充実の舞台だった。

「The Bach variations」
大石裕香振付の新作。色調の異なるブルー系の衣装がシンプルにきれい。ポワントをつかった、クラシカルな振り付けで、品がいい。G線上のアリアの冒頭、千手観音のようなポーズが面白い。

「media」
湯浅永麻のソロ。決して理想的なプロポーションではないのだが、惹きつけられる。ロボットダンスのような動きがあったり、バックのカーテンにリフトされたり、包まれたりするのが面白かった。

「I'm for ...M.」
予定していたアディ・サラントが来日できなくなり、急遽2週間で作ったのだそう。女性3人。沢山の傘が下がった舞台、ダボっとした白シャツと黒パンツの衣装が効いていた。森優貴の作品はからりとして、どこか不条理劇を見ているような。

「CACTI」
アレクサンダー・エクマン作、日本初演。
ダンサーでなく、ミュージシャンでなく、ヒューマン・オーケストラと言う通り、台を叩いてり、手を打ったり、息遣いで音を立てる。台を立てて後ろから頭や上半身を覗かせ、急に隠れたりすると、水の中に潜ったように見える。上半身わはだけた衣装に、スイムキャップのようなものをかぶっているのでそう見えたのかも。
男女のデュオは、じゃれあっているようだが、動きとしては高度な振り付けで、目が離せない。
全体としてテンポよく展開するので、飽きさせない。

2020年3月2日月曜日

0228 OSK日本歌劇団「愛と死のローマ〜シーザーとクレオパトラ〜」

全体として良くまとまっていたし、衣装も悪くなかった。シーザーの楊琳はじめ、アントニウス(愛瀬光)やプトレマイオス13世(登堂結斗)らのキャラクター造形がアニメっぽいというか、少女マンガ的。セリフも、公的な場面はともかく、私的な会話となると高校生みたいに青臭い。シーザーは50代のはずなのに…。このノリは役者のせいというよりは、脚本に非がある。戦闘シーンがどれも同じような踊りだったのは改善の余地ありだが、キビキビした動きに纏まりがあるのはダンスのOSKの面目躍如。
シーザー、クレオパトラ以外の役者は皆、市民や戦士のアンサンブルなど、複数の役を掛け持ちしていた。ポンペイウス役の緋波亜紀も、暗殺された後、ローマ市民役で再び舞台に出てきて、これはこれで嬉しい。

新型コロナの影響で急きょ千秋楽となってしまった公演。カーテンコールでは、この公演で卒業する緋波らが挨拶したが、あまり実感がないというのはその通りなのだろうなあと。後日お別れの会をするそうだが、やり切れないよね。

0227 若手素浄瑠璃の会

「妹背山女庭訓」は亘・錦吾。
亘は姿勢良く、声が良く出ていたが、全体的に軽い。大判事、定高ともに格調不足。錦吾は緊張からか音が硬い。終盤、三の糸が切れ、慌てて糸を繰ろうとしたところで黒衣が替えを差し出すファインプレー。掛け声からの叩きバチもなんとかこなしたが、内心は冷や汗ものだだたろう。

「心中天網島」河庄の段を賛助出演の織と清馗。
織が語ると治兵衛が格好いい男のよう。時代物の武将ならともかく、何を語っても男前になってしまう。治兵衛はどうしようもなく情けない男だがほっておけない可愛げのあるというところが肝だと思うのだが。そしてやはり、得意げで浪曲めいている。
清馗の三味線は、押さえが軽いのか、音がぼんやりして聞こえる。なんだか歳をとって見えたのは、稽古疲れか、髪型がぺっちゃりしてたからか。
聴き終えて、なんだかとても疲れた。