2014年4月23日水曜日

3月23日 新版 天守物語

富姫に元宝塚男役の大空祐飛、亀姫に歌舞伎の中村梅丸、図書之助は現代劇の須賀貴匡。ほか、三上博史や狂言師の茂山逸平、能楽師の梅若六郎玄祥と、いろんなジャンルの役者の競演。どの役もぴたりとはまっていて、けど、異種格闘技のような緊張感がよかった。ただ、「新版」というほどの斬新さがあっただろうか。萬歳ハムレットや蜷川幸雄の舞台でも、古典芸能の役者がスパイスを利かせて効果をあげたという前があるのだし。

富姫の大空は、人ならぬものの妖しい美しさがあってよかった。威厳のある言葉遣いが、時に男っぽいというか、凛々しくて、こういったところは元男役の面目躍如なのか。きれいな声なのに、セリフが走ってしまって内容が聞き取れないところが所どころあったのが残念。

梅丸は相変わらずの可憐さ。元男役とはいえ、女優の隣に並んでもかわいく見えるって凄い。可愛いなりして無邪気でいながら、生首を土産に持ってくるような怪しさもあった。姉と慕う富姫と頬を寄せ合うシーンなんか、倒錯的でドキドキした。これからが楽しみな役者さんだ。

泉鏡花役の三上博史は悪くないのだが、この役必要かなあ?幻想的な世界への案内役みたいな位置づけだったのだけど、天守物語を見に来ている観客にこの手続きは不要では。

全体を通して、能楽師や狂言師の発声の素晴らしさを再認識した。ほかの役者陣とは明らかに違うもの。身のこなしも。この人たちのおかげで、舞台がピリッと締まった。

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