2012年1月22日日曜日

1月21日 第八会伝統歌舞伎保存会 研修発表会

「三人吉三巴白波」 本郷火の見櫓の場

芝のぶのお譲吉三が見たかったのだが、いつになく、たくましく見えたのは役作りのせい?お嬢は男の役だから、ある程度の骨太さはあって当然なのかもしれないけれど、いつもの芝のぶと比べて男に見えたので、不思議な感じ。姿、声の美しさは相変わらずぴか一だった。

和尚は松本錦弥、お坊は錦一と高麗屋一門のお弟子さん。普段やりれない役のせいか、いまいち板についていないような、ぎこちなさを感じる場面も。(逆に、幹部役者というのは、大したこと無さそうでも結構ちゃんとしていたんだと気づいたり)3人の中では芝のぶが一番堂々としていたように思うけれど、立ちまわりで投げ飛ばすしぐさとトンボのタイミングがずれたり(これは受け手のせいか?)、セリフにもちょっと硬さがあったかな。


「素襖落」

研修発表会なのに、太郎冠者は染五郎、大名は友右衛門など、梨園の人たち(子息を含む)ばかりが出演し、本公演でもいいのでは?と思ったり。

せっかく発表会なのだから、普段脇で頑張っている人たちの活躍がもっと見たかったよ。

1月15日 新橋演舞場 新春大歌舞伎 昼の部

「相生獅子」

魁春と芝雀の2人の姫による獅子の舞。2人は姉妹なのかな。
お正月らしい、華やかな舞踊で、女形の毛振りは初めて見たけれど、立役の迫力とは違った優雅な雰囲気もいいものだ。
前から2列目という席だったので、着物の合わせが緩んでる(→後で引き抜くための仕掛けのせいだったらしい)とか、変なところに気が行ってしまった。後見が若い人ばっかりで、イケメンぞろいだったとか。


「金閣寺」

菊之助の雪姫は可憐で美しく、満足。やはり姫はこうでなくっては。

三津五郎の松永大膳の悪っぷりもなかなか。「蒲団の上で極楽攻め」とか、凄いセリフだ…。

雪姫の夫、狩野直信が家六だったのだが、老け役ではないのを見るのは初めてだったので驚いた。菊之助とのバランスはどうかと思うが、これが新春歌舞伎のだいご味なのかも。



「加賀鳶」

1幕目、鳶の衆勢ぞろいで、誰が誰やら確認するので忙しい。男衆が花道にずらっと並んで、名乗りを上げていくのは華々しくて目に楽しい。最近注目している松也が金助町兼五郎(この名前には本当は意味があるのだろうけど)で、すきっとした男ぶりがよかったい。

加賀鳶なのは、ここだけで、2幕からは按摩道元(菊五郎)とお兼(時蔵)の世話物狂言に。悪党2人がやりたい放題やって、最後に悪事がばれて…と、きっちり落ちがつくのですっきり。

2012年1月15日日曜日

1月14日 新春浅草歌舞伎 第1部

2回目なので、「廓文章」についてのみ。

伊左衛門の愛之助、役が板についてきたというか、なじんできたようで、ぐっと良くなっていた。
はんなりとしが若旦那ぶりで、かわいらしさもあって。横顔なんかは、ハッとするくらい男前だなあと見とれた。

壱太郎の夕霧もさらに良くなってて、病み上がりの、はかなげな色気があった。

3年後くらいに、また見てみたいなあと思う。この二人の共演、今後も期待したい。

2012年1月13日金曜日

1月12日 東京バレエ団「ニジンスキー・ガラ」

「薔薇の精」

薔薇役のディヌ・ダマズラカル、花をあしらったピンクベージュのレオタードって恥ずかしくない?
いや、踊りは素晴らしいのだが。ジャンプや回転など、男性ダンサーの見せ場が多い。
少女の吉川留衣、前半目をつぶって踊っていた?パートナーのリードがあるとはいえ、地味に難しそうだ。


「牧神の午後」

お目当てのマラーホフが牧神。…なのだが、さっぱりよさがわからない振付だ。ジャンプや回転はほぼなくて、横顔を見せながら左右に動くだけ。誰にでもできそうな動きに見えてしまうのだけど、実は技術が必要なの?牧神の衣装も、どうよって感じだし。
ニンフが上野水香だったのだが、こちらもよさが感じられず…。コンテの作品って、やっぱり良く解らん。


「レ・シルフィード」

東バのコールドはきれいにそろっているなあ…。


「ぺトルーシカ」


マラーホフが、日本で初めて踊ったそうなのだが。操り人形のような動きで、歌舞伎の人形振りのよう。ピエロっぽいメイクもあって、あの、マラーホフが何だか可愛く見えた。

全体として、せっかく2列目で、マラーホフの踊りを堪能…と思っていたのに、あまり凄さを感じられる演目ではなくて、期待外れ。

2012年1月9日月曜日

1月8日 レニングラード国立バレエ 「白鳥の湖」

王子役のレオニード・サラファーノフの踊りが素晴らしい。ジャンプの高さ、ぶれない回転が美しい。
オデット/オディールはイリーナ・ペレン。ガラの時よりもよかったような。あまり回転は得意ではないのか、ピルエットの軸がぶれたり、32回転のフェッテの最後でぐらついたりしてたけれど、全体としては、「白鳥」の世界観に浸れた。どちらかというと、オディールのぱきっとした踊りのほうが似合ってるかな。足が程よく細くて、まっすぐで美しかった。

衣装が素敵。中世風というのだろうか。あまり華美すぎず、程よい装飾がよかった。

ラストはハッピーエンド。王子とロットバルトが直接対決するようなシーンがあって、最後は片方の羽を千切りとって、とどめを刺すという…。なんか、痛々しくていやだ。それに、やっぱり、あのお間抜けな(運命の相手のオデットと、似ても似つかないオディールを見間違えるなんて言語道断だ)王子が勝つっていうのが納得いかない気がする。

ふりはところどころ、ガラの時と違ったように感じた。メーンはほとんど同じキャストなんだろうけど、こういうことってあるのかな。

音楽ともよく合っていた。何度か、出のところや終わりのタイミングがずれたところがあったけど。指揮者が違ったせいかな。(というか、来日する指揮者って一人じゃないのね、というのに驚いた)

幕間で、60歳代くらいのおじさん2人が、「今日は足が上がってなかったけど、一応ブラボー出したよ」などと話していた。うーん…。ブラボーって、ほんとにすばらしいところだけでいいのでは。っていうか、フェッテの途中とかで拍手しちゃうのってどうなの?と私は思うのだけど。あと、足は高けりゃいいってもんでもないし。

そういえば、1幕ごとにカーテンコールをしたり、ソロの見せ場があるたび(3幕のオディールのフェッテのあととか)に中断して拍手の時間を作ったりしてたのにも違和感。曲やストーリーがぶつ切れになるようで、あまり好きではない。

2012年1月8日日曜日

1月6日 レニングラード国立バレエ「海賊」

全幕で見るのは初めてだったのだが、ストーリーがよくわからん(*_*)
男性、女性ともソロがたくさんあって、見ごたえは十分だったのだけれど。

アリ役のレオニード・サラファーノフが、ジャンプの高さ、回転の切れのよさが素晴らしい。主役(?)のルジマトフ(コンラッド)よりも目立っていたような。というか、今回、ルジマトフのオーラをあまり感じなかった気がする。

メドーラのイリーナ・ペレン、ギュリナーラのタチアナ・ミリツェワも、美しい。…のだが、この人たちの役どころというのがよく解らん。奴隷として売られて行った先で、再会を喜んだり、楽しそうに踊っちゃったりとか、なんだかなあ。

群舞は出のところで滑っちゃったり、回転でバランスを崩しちゃったりする人がいたのが気になった。こんなにはっきりとしたミスはあまりお目にかからないので。

2012年1月5日木曜日

1月3日 レニングラード国立バレエ「新春スペシャルガラ」

ガラとはいっても、それぞれ一幕ずつの上演なので、ちゃんと演目の世界を楽しめてよかった。セットもちゃんとしてたし。

第1部は「くるみ割り人形」の第2幕。ピンクの衣装に身を包んだダンサーたちの群舞が美しくて、思わずため息。金平糖の精の役名がマーシャとなっていて、あれ?と思ったら、ロシア版は主人公が子役のクララではなくて、大人のダンサーがそのまま2幕も踊るのだそう。マーシャはもちろん、人形たちなどソロの見せ場も多くて、見ごたえ十分。

第2部は「白鳥の湖」の第2幕。好きな演目なのだが、なんか気持ち悪いなあと思ったら、音楽と踊りが微妙にずれているような…。ペースが遅すぎて、ダンサーの動きが音楽に乗りきれていないような気がした。

第3部「ライモンダ」では吉田都さんがライモンダ役で登場。3幕の結婚式のシーンは華やかで、お正月らしい。都さんの踊りはやはり端正で美しいのだが、前回ほどの感動はなかったのはなんでだろう?衣装や舞台装置がきらびやか過ぎて、踊りがかすんで見えてしまったのだろうか。

2012年1月3日火曜日

1月2日 新春浅草歌舞伎 第2部

「敵討天下茶屋」

猿之助四十八撰で、やはり亀次郎が出ずっぱりの大活躍。小悪党の元右衛門と正義役の片岡造酒頭の二役なのだが、大半は元右衛門。終盤、追手から逃げる場面では、客席に降りてきて、座席に座って隠れたり、つけ打ちを奪ったり。すぐ後ろの席に来たので、お約束でも盛り上がる。こう言ってはなんだが、亀次郎は悪役のほうがはまっているように思う。見ていて小気味いいのだ。

愛之助が敵役の東間三郎右衛門。色男の悪役は似合っていて結構好きなのだが、出番が少なくて残念。

1月2日 新春浅草歌舞伎 第1部

「南総里見八犬伝」

冒頭、八犬士誕生の場面で、春猿の伏姫がはまり役。こういう芯の強い姫役は、猿之助歌舞伎でよくやっていただけあってはまり役。物語の都合上、仕方ないとはいえ、姫を助けようとして、うっかり姫も撃ってしまう大輔(男女蔵)ってどうよ。

襲名したばかりの歌昇の犬塚信乃と壱太郎の浜路の恋人ぶりが、初々しくてよい。壱太郎は安定感もあって、若手の女形の中では一段抜けているように思う。父、祖父と大舞台も踏んでるせいかな。
浜路に横恋慕する左母次郎が亀鶴。こういう、小悪党はやはりうまい。

亀次郎の蟇六と竹三郎の亀篠が老夫婦だったのだが、年齢差を感じさせなくて驚いた。竹三郎さんが舞台に出ると、ぐんと安定感が増すのだけれど、亀次郎もこういう悪い役は生き生きしてて、見ていて楽しい。

最後、八犬士勢ぞろいで、出演者一同が勢ぞろい。八人全員を書くのは面倒だけれど、犬村大角=巳之助、犬田小文吾=種之介、犬坂毛野=米吉、犬江親兵衛=隼人、犬川荘助=薪車、犬飼現八=愛之助、犬山道節=亀次郎。「白波五人男」のように一人一人名乗りを上げて決めのポーズ。若手も頑張ってて、新春らしい華やさ。


「廓文章」

愛之助の伊左衛門と壱太郎の夕霧という若々しいカップル。だけれど、以前、仁左衛門の伊左衛門を見てしまっているので、ついつい脳内で比べてしまう。愛之助は仁左衛門さんの教えをよくよくなぞっているという感じがするのだが、まだ、伊左衛門になりきれていないというか、「演じている」という印象。上方のぼんぼんというのは、生まれながらにぼんぼんなので、我が儘ぶりとか、かわいらしさも、意図しているのではなくて、自然体なのではないだろうか。そういう意味では、演じていることを忘れてしまうくらい、役になりきらないと、はんなりとした味は出しにくいのかも。
壱太郎の夕霧は、声も姿のいいのだけれど、時折表情が固いのが残念。いろいろ所作事が大変なので、余裕がなくなってしまうのだろうけれど。
春猿が吉田屋女房おきさ。秀太郎さんに習ったそうだけれど、秀太郎が透けて見えるようだった。