2011年1月24日月曜日

1月23日 「新春浅草歌舞伎」第2部

「壺坂霊験記」

愛之助の沢市、七之助のお里。あらすじを読んで、以前見たことあるなあと思いだし、調べてみたら、去年2月の歌舞伎座さよなら公演で、三津五郎と福助のコンビで見ていた。改めてみてみて、ある程度年齢のいった人のほうが合う役のような気がした。愛之助の沢市は、外見がなんだか「一休さん」のようで、悪くはないのだが、盲目であることの負い目とか、屈折した感じが弱い感じ。七之助のお里は、クールな顔つきのせいか、いまひとつ情に厚い、よくできた妻という風情に欠ける。いろいろと所作に気を取られていて、気持ちが入りきっていないような…
目が見えるようになってからのやりとりは、かわいらしくてよかったけど。

冷静に考えてみると、ストーリーとしては全く共感できない。最後に沢市の目が見えるようになるのはお約束としても、お里が観音参りしていることを3年も気付かないのは何で?とか、沢市が身を投げてしまうのはあまりに身勝手とか、お里が後を追ってしまうのもなんだかなあ…。それを感動させてしまうのが芝居の魅力ではあるのだけど。

「黒手組曲輪達引」

助六のパロディということだが、助六の衣装からして、あの紫鉢巻がなかったりと、かなり違う印象。亀次郎が3役で、二枚目や三枚目の役もよかった。権九郎の拵えが、香川照之にそっくりでびっくり!出演者の名前を織り交ぜたシャレを言ったり、福山雅治の歌を歌ったりと、笑いをとるところのはじけっぷりが意外だったけどよかった。亀鶴の鳥居新左衛門が、悪そううで格好良かった。

2011年1月17日月曜日

1月16日 ベルリン国立バレエ「シンデレラ」

シンデレラはポリーナ・セミオノワ。可憐で守ってあげたいと感じさせるサレンコとは違って、自分の意思を持って自立している感じがするシンデレラ。というか、もともとはセミオノワをイメージして作った作品だとか。自分の力でプリマの座を手に入れるという、ストーリーはより明確に感じられた。
セミオノワの踊りは、完璧に美しいというか、何ていうんだろう、見ていて不安がないというか、自然で無理がない(ように見える)。2階席から見ても、長い手足が映えて綺麗だった。プロポーションも理想的で、すごく現代的なダンサーだという気がする。

2011年1月15日土曜日

1月15日 ベルリン国立バレエ「シンデレラ」

シンデレラ役のヤーナ・サレンコが華奢で小さくて、可憐でかわいい。折れちゃいそうに細くって、いびり役のバレリーナsに挟まれたりすると、肉食動物に睨まれた小動物みたいで…
義理の姉を翻案した「甘いもの好き」と「アル中」の2人のバレリーナは、実は一番の見せどころでは!?確かなテクニックに裏付けされた、コミカルな演技が素晴らしい。前日はマラーホフが甘いもの好きをやってたようで、一度見てみたかったかも。(でも、私が気に入ったのはアル中のほう)
舞踏会のシーンとか、群舞も見ごたえあり。日本人ダンサー(菅野茉里奈、寺井七海、針山愛美、巣山葵)も、頑張ってたね(悪目立ちすることなく、ね…苦笑)

1月15日 新春浅草歌舞伎 第1部

「三人吉三巴白波」

お嬢(七之助)、お坊(亀次郎)、和尚(愛之助)の組み合わせ。
愛之助丈はインフルエンザによる休演明けの舞台だったけど、そんな様子は感じさせなかった(やや顔がほっそりしてたか、という感じ)のはさすが。三人吉三はお坊のほうが格好いいと思っていたけど、役の上では和尚のほうが見せ場も多いし、要の役。大川端でお嬢とお坊を仲介するところはもちろん、おとせと十三郎を手に掛ける場面とか、説得力のある演技。初めて、和尚が格好いいと思ったり。
七之助のお嬢はセリフにやや力みが感じられるかな。ちょっと硬さが残るのが残念。亀次郎のお坊は細目の釣り目で顔が悪人っぽいのはどうなの?そりゃあもちろん、盗賊なんだから善人ではないにせよ、悪役ではないでしょう。セリフもなんだか口の中にこもる感じで、切れがわるい。
あと、観客の笑いどころがずれてるのが、なんだかなあ…。本堂の場でお坊とお嬢が再会を喜ぶところとか、共に死のうとするところとかで笑うのはなんで?シリアスな場面のはずなのに、雰囲気ぶち壊し。

「独楽」

踊りの名手、亀次郎の独り舞台。日本舞踊って、難しいことをやってるんだろうけど、凄そうに見えないのが気の毒。観客が拍手するのは、くるくる回っているところとか、わかりやすいところだけだもんねえ。片足でバランスをとりながら、上体を傾けたりとかって、ほんとは凄く難しいんだろうなあ…と思った。

2011年1月11日火曜日

1月4日 レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」

久しぶりにみた古典の白鳥。最近は、マシュー・ボーン版とか、オーストラリアバレエ団とか、アレンジした白鳥ばかり見てたから、かえって新鮮だったかも。

レニングラード国立バレエだけあって、これぞ正統派の白鳥の湖という感じか。どこをとっても素晴らしい。で、チャイコフスキーの音楽ってなんであんなに心を掻き立てるんだろう。

ルジマトフは、登場から苦悩する王子ぶりが印象的。ほとんど踊らず、舞台の上をうろうろしてるだけなのに、あの存在感だもの。でも、白鳥の王子って、踊りの見せ場はあまりなくて、プリマの支え役みたい…。踊り的にはロットバルトとかのほうが魅せるよね?

12月28日 レニングラード国立バレエ「ジゼル」

正統派のジゼル。正確で美しい群舞、なかでもミルタ役のオリガ・ステパノワの踊りが素晴らしい。2幕の出から、足が一本しかないような細い軸で滑るように登場。凛とした雰囲気と威厳が印象的だった。踊り的にはジゼルよりもミルタのほうが魅せるような感じすらした。

ジゼルのオクサーナ・シェスタコワはまだ若いのかな?ラインになって移動するときに出遅れたり、墓から出てくるところで躓いたりと、小さなミスがあったり。踊りは可憐でかわいらしい。

ルジマトフのアルベルトは、さすがの存在感。でも王子(アルベルトは王子ではないけど)っていうより魔王?