2025年12月27日土曜日
12月27日 新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」
ウィル・タケット振付の新制作。全体として演劇よりな感じで、1場などはほどんど踊りの見せ場がなくサクサクと進む。テンポが速いせいか、肝心の雪の場面はバタバタとした印象。2幕のディベルデスマンを各国の踊りからお菓子に変えたのはいいが、スペイン?が外れるなど短くなったのは物足りない。花のワルツは直塚美穂と木下嘉人のフォンダンローズが際立つのはいいが、周りが男女4組+女性4人と少なく、華やかさに欠けるのはいただけない。そのくせ、セットのせいか舞台の中心部分で踊るので、真ん中の2人に被っているという…。休憩を除くと1時間35分ほどというコンパクトさは子ども向けにはいいのかも。
主役デビューの東真帆は、緊張した感じもあったが、奥村康祐王子、福岡雄大ドロッセルマイヤーのサポートもあって、初々しい魅力を発揮。伸びやかな手足が瑞々しい印象。奥村王子はこれぞ王子という優しさ、包容力で、クララもうっとり。ドロッセルマイヤーは手品を披露したり、クララに魔法をかけてお菓子の国へ誘ったりと、狂言回し的な立場で物語をリードする役どころ。ただ、こういうドロッセルマイヤーは地主薫版と重なるし、クララとの関係が明確(ゴッドファーザー)なぶんむしろあちらのほうがよかった。手品の鮮やかさも山本隆之の方が優った。
賛否両論あるなか、私はどちらかというと否だなぁ。元々あまり好きな作品ではないし、再見はないかも。
2025年12月14日日曜日
12月14日 末廣亭 夜席
少し遅れて昇羊の「粗忽長屋」から。爽やかイケメン。
三四郎「MOMO」
文枝門下の新作落語。日本に興味のある外国人に昔話を語って聞かせるのだが、外国人の訛りがわざとらしい。
青年団はコント?時事ネタを盛り込むも、ややすべり。
奈々福の浪曲は「俵星玄蕃」。別のネタをやるつもりが、寄席に来てから今日は忠臣蔵でと聞いて急遽変えたそうで、ちょっと言葉に詰まった?と思うところもあったが、朗々と唸って聞かせた。曲師はまみ。
文治「掛け取り」。マクラで芸人のモノマネから入り、ネタでも芝居の真似ごと。鳴物が入って賑やか。
活動写真の片岡一郎は「槍供養」。忠臣蔵がらみでというのは、赤穂藩の武士の話だから? 粗相をしてよその侍に主人の槍を取られてしまった下人。返してほしければ下人の首を持ってこいたら難癖をつけられた主人は、人の命に勝るものはないと許そうとするも、下人は責任をとって腹を切り…という理不尽極まりない話なのに、なぜかグッときた。
阿久鯉「天野屋利兵衛 雪江茶入」。文楽・歌舞伎でいうところの天河屋の前日譚。「忠臣蔵縛りだが、私のところは軽く」といいながら、しっかりと聞かせる。ふわっとまとめた髪から簪が落ちそうでハラハラ。
中入りの後は織・清馗の「仮名手本忠臣蔵」三段目。気迫のこもった語りで、客席はシンと聞き入るが、渾身の大笑いで拍手がないのは拍子抜け。語り口が立派なので、「鮒よ、鮒よ…鮒侍め」などはもっと嫌味っぽくてもいいのにと思った。義太夫の前後は幕が下りるのは、区切りがあってよき。
鯉八「めめめ」。惚けた調子で客席の空気が一変。いやらしさと可愛げのバランスが絶妙。
歌春「鍋草履」。芝居話で忠臣蔵かと思いきや、客席の話だった。歌丸門下だそうで、柔らかな語り口は師匠譲り?
ボンボンブラザーズの曲芸はだいぶお年を召しているので、体が対応しきれない感じ。ペーソスも笑いにする芸人の心意気を見た。
伯山「南部坂行きの別れ」。まさに今日にふさわしい、討ち入り当日の話。静かな語り口で、張り扇の音も控えめ。瑤泉院のセリフに品があり、しっとりとして色っぽいのにびっくり。後半の討ち入りの場面は畳み掛けるような勢いがあり、聞き応え十分だった。最初、マクラで客いじりに失敗して(最前列の女性がビミョーな拍手をしていたので、「反応できなくてごめん」みたいなことを言ったら、「話しかけないで」と返された)空気が固まりかけたが、何事もなかったかのように本題に入ったのはさすがだった。
三四郎「MOMO」
文枝門下の新作落語。日本に興味のある外国人に昔話を語って聞かせるのだが、外国人の訛りがわざとらしい。
青年団はコント?時事ネタを盛り込むも、ややすべり。
奈々福の浪曲は「俵星玄蕃」。別のネタをやるつもりが、寄席に来てから今日は忠臣蔵でと聞いて急遽変えたそうで、ちょっと言葉に詰まった?と思うところもあったが、朗々と唸って聞かせた。曲師はまみ。
文治「掛け取り」。マクラで芸人のモノマネから入り、ネタでも芝居の真似ごと。鳴物が入って賑やか。
活動写真の片岡一郎は「槍供養」。忠臣蔵がらみでというのは、赤穂藩の武士の話だから? 粗相をしてよその侍に主人の槍を取られてしまった下人。返してほしければ下人の首を持ってこいたら難癖をつけられた主人は、人の命に勝るものはないと許そうとするも、下人は責任をとって腹を切り…という理不尽極まりない話なのに、なぜかグッときた。
阿久鯉「天野屋利兵衛 雪江茶入」。文楽・歌舞伎でいうところの天河屋の前日譚。「忠臣蔵縛りだが、私のところは軽く」といいながら、しっかりと聞かせる。ふわっとまとめた髪から簪が落ちそうでハラハラ。
中入りの後は織・清馗の「仮名手本忠臣蔵」三段目。気迫のこもった語りで、客席はシンと聞き入るが、渾身の大笑いで拍手がないのは拍子抜け。語り口が立派なので、「鮒よ、鮒よ…鮒侍め」などはもっと嫌味っぽくてもいいのにと思った。義太夫の前後は幕が下りるのは、区切りがあってよき。
鯉八「めめめ」。惚けた調子で客席の空気が一変。いやらしさと可愛げのバランスが絶妙。
歌春「鍋草履」。芝居話で忠臣蔵かと思いきや、客席の話だった。歌丸門下だそうで、柔らかな語り口は師匠譲り?
ボンボンブラザーズの曲芸はだいぶお年を召しているので、体が対応しきれない感じ。ペーソスも笑いにする芸人の心意気を見た。
伯山「南部坂行きの別れ」。まさに今日にふさわしい、討ち入り当日の話。静かな語り口で、張り扇の音も控えめ。瑤泉院のセリフに品があり、しっとりとして色っぽいのにびっくり。後半の討ち入りの場面は畳み掛けるような勢いがあり、聞き応え十分だった。最初、マクラで客いじりに失敗して(最前列の女性がビミョーな拍手をしていたので、「反応できなくてごめん」みたいなことを言ったら、「話しかけないで」と返された)空気が固まりかけたが、何事もなかったかのように本題に入ったのはさすがだった。
12月14日 大歌舞伎 第二部
「丸橋忠弥」を幕見で
酔っ払いがよく似合う松緑。立ち回りが眼目で、戸板を使う立ち回りがいろいろ。戸板倒してのほか、花道で戸板をT字型に重ねてシーソーのように渡したり、小屋の屋根に立て掛けて登ったり。屋根から縄に飛び降りるなど、体を張った熱演。
左近が捕手で凛々しい姿。
酔っ払いがよく似合う松緑。立ち回りが眼目で、戸板を使う立ち回りがいろいろ。戸板倒してのほか、花道で戸板をT字型に重ねてシーソーのように渡したり、小屋の屋根に立て掛けて登ったり。屋根から縄に飛び降りるなど、体を張った熱演。
左近が捕手で凛々しい姿。
2025年12月13日土曜日
12月13日 劇団☆新感線「爆裂忠臣蔵〜桜吹雪THUNDERSTRUCK〜」
劇団の45周年記念ということで、お祭りムード。盛りだくさんで舞台転換のテンポもいいが、30分休憩を挟んで4時間弱はやはり長い。劇中劇ではマツケンサンバやオペラ座の怪人、セーラームーンのパロディのほか、忠臣蔵の松の廊下では3人の吉良上野介、討ち入りでは熊も入れて7人(しかも虹の7色)に増えて、勢いと笑いが満載。
オリジナルメンバーは歳を重ねて動きが鈍い?と感じるところもあったが(特に古田新太。よぼついた足取りで、途中わざわざ椅子を出して座るシーンも)、主演の小池栄子が出ずっぱり、動きっぱなしで引っ張る。早乙女太一の女方は初めて見たが、裾引きの衣装で立ち回りを演じても着物が乱れないのがさすが。男装ではさらにキレのいい太刀捌きで、一番の見ものと思う一方、早乙女に頼りすぎとも思う。向井理は座付作者と若年寄りの二役。他の出演者と比べて1人だけ頭が小さく、そのせいか意外に所作が決まらない。
殴ったり蹴飛ばしたり、「美少女」を「美が少ない女」といじったりして笑いを取るのはしんどい。
「「わざおぎ(俳優)の極み」がキーワードで、芝居の極意を掴んだという意か。ウソを誠にするのが芝居」とか、幕が開いたら芝居を続けるとか、お上の禁止令に逆らい、芝居にかける役者たちの情熱は今にも通じるのかと思わせる。芝居小屋の息子で人気女方の早乙女に「役者の家に生まれたから芝居をしているのか、自分が楽しいからしているのか」と問う場面は中の人と重なった。
オリジナルメンバーは歳を重ねて動きが鈍い?と感じるところもあったが(特に古田新太。よぼついた足取りで、途中わざわざ椅子を出して座るシーンも)、主演の小池栄子が出ずっぱり、動きっぱなしで引っ張る。早乙女太一の女方は初めて見たが、裾引きの衣装で立ち回りを演じても着物が乱れないのがさすが。男装ではさらにキレのいい太刀捌きで、一番の見ものと思う一方、早乙女に頼りすぎとも思う。向井理は座付作者と若年寄りの二役。他の出演者と比べて1人だけ頭が小さく、そのせいか意外に所作が決まらない。
殴ったり蹴飛ばしたり、「美少女」を「美が少ない女」といじったりして笑いを取るのはしんどい。
「「わざおぎ(俳優)の極み」がキーワードで、芝居の極意を掴んだという意か。ウソを誠にするのが芝居」とか、幕が開いたら芝居を続けるとか、お上の禁止令に逆らい、芝居にかける役者たちの情熱は今にも通じるのかと思わせる。芝居小屋の息子で人気女方の早乙女に「役者の家に生まれたから芝居をしているのか、自分が楽しいからしているのか」と問う場面は中の人と重なった。
12月13日 文楽鑑賞教室 Aプロ
「万歳」は希、咲寿、亘、聖、織栄に友之助、清公、燕二郎、清方。
希はもう一つ。友之助がシンの三味線は疾走感があるというか、勢いを感じる。
人形は勘市の所作が滑らかで驚いた。そういえば、こんなに動くのは初めて見たかも。
「国性爺合戦」
楼門は織・勝平。
言葉が明瞭で聞き取りやすいが、歌い上げる感じはどうなのか。
甘輝館は藤・宗助。
藤は語る時の口の開け方や顔の傾け方が時折住太夫を思わせる。語りが似ているというわけではないし、真似しているのではないのだろうが、やはり師弟は似るのだと思った。
紅流しより獅子が城は睦・清馗。
睦は語りがしっかりしてきた。三味線がクリアだった。
人形は一輔の錦祥女は柔らかみがある感じ。玉勢の和藤内はきっぱり。簑一郎の老一官、勘弥の妻、甘輝は玉志。
人形は勘市の所作が滑らかで驚いた。そういえば、こんなに動くのは初めて見たかも。
「国性爺合戦」
楼門は織・勝平。
言葉が明瞭で聞き取りやすいが、歌い上げる感じはどうなのか。
甘輝館は藤・宗助。
藤は語る時の口の開け方や顔の傾け方が時折住太夫を思わせる。語りが似ているというわけではないし、真似しているのではないのだろうが、やはり師弟は似るのだと思った。
紅流しより獅子が城は睦・清馗。
睦は語りがしっかりしてきた。三味線がクリアだった。
人形は一輔の錦祥女は柔らかみがある感じ。玉勢の和藤内はきっぱり。簑一郎の老一官、勘弥の妻、甘輝は玉志。
12月13日 文楽鑑賞教室 Bプロ
「万歳」
南都、小住、碩、薫に三味線は団吾、寛太郎、錦吾、清允、藤之亮。
人形は紋吉の太夫、文哉の才蔵。
解説は亘と清公。裏門を題材に娘、婆、武将の語り分けを実演すると、観客からは笑いとともに感心したような声もあがり、それなりに伝わった様子。
「国性爺合戦」
楼門を芳穂・清志郎。
のびのび語っているように見えるのは気のせいか。悪くないのだが、後半意識が…。
甘輝館は呂勢・藤蔵。
このコンビは久しぶり。呂勢は出だしの低音がよく出ていて、ぐっと引き込まれた。官女たちのコミカルなやり取りは笑わせて。2階席だったせいか藤蔵の唸り声も気にならず、心地よく聞けた。
紅流しより獅子が城は靖・勝平。
靖はこの頃の変な力みがなく、聞きやすい浄瑠璃になっていた。
人形は簑紫郎の錦祥女。細やかな動きは華やかだが、Aプロの一輔と比べると硬質な感じもする。甘輝館で出た時に髪が妙に膨らんで見えた。
和藤内は玉佳。なんか楽しそう。大らかさがあって良き。老一官の紋臣は珍しくフケ立役。簑二郎は婆が似合う。甘輝は玉助。
南都、小住、碩、薫に三味線は団吾、寛太郎、錦吾、清允、藤之亮。
人形は紋吉の太夫、文哉の才蔵。
解説は亘と清公。裏門を題材に娘、婆、武将の語り分けを実演すると、観客からは笑いとともに感心したような声もあがり、それなりに伝わった様子。
「国性爺合戦」
楼門を芳穂・清志郎。
のびのび語っているように見えるのは気のせいか。悪くないのだが、後半意識が…。
甘輝館は呂勢・藤蔵。
このコンビは久しぶり。呂勢は出だしの低音がよく出ていて、ぐっと引き込まれた。官女たちのコミカルなやり取りは笑わせて。2階席だったせいか藤蔵の唸り声も気にならず、心地よく聞けた。
紅流しより獅子が城は靖・勝平。
靖はこの頃の変な力みがなく、聞きやすい浄瑠璃になっていた。
人形は簑紫郎の錦祥女。細やかな動きは華やかだが、Aプロの一輔と比べると硬質な感じもする。甘輝館で出た時に髪が妙に膨らんで見えた。
和藤内は玉佳。なんか楽しそう。大らかさがあって良き。老一官の紋臣は珍しくフケ立役。簑二郎は婆が似合う。甘輝は玉助。
2025年12月7日日曜日
12月7日 京都バレエ団「くるみ割り人形」
ファブリス・ブルジョワ版はフランスの香りがするとか、パリ・オペラ座バレエ団の高い技術、上演は日本では最後などの宣伝文句につられたが、残念ながら期待はずれ。バレエ学校の生徒向けかというくらいあっさりした振付(京都バレエ団向けにアレンジしたせいかもしれないが)で、踊りの見どころは少なかったし、衣装や舞台装置もフランスのエスプリは感じられなかった。冒頭のパーティーの場面はともかく、雪の踊りや花のワルツがチュチュでないのはバレエ作品として物足りない。幕の初めと終わりにナレーションが入ってあらすじを入れるのは大人には余計だし、子ども向けならばもっと観客に語りかけるような感じにするといいと思う。
クララの北野優香は楚々とした雰囲気。あまり踊りの見せ場がなく、印象が薄い。くるみ割り人形・王子の鷲尾佳凛殿パドドゥはリフトが不安定で、何度かバランスを崩してヒヤリとした。鷲尾はソロはのびのびとしてよく、2幕では高いジャンプやキレのある回転で引きつけたが、ちょっと短いか。役名にくるみ割り人形とあるし、ナレーションでも「くるみ割り人形が王子に変わった」と言っていたが、人形はずっと本棚に置かれたままで、変身は描かれなかったのだが…。ねずみ王はダンサーの頭の上にねずみの頭がのる形で首長の別の動物のように見える(ちょっと不気味)。トータルで2時間余という上演時間がせめてもの慰め。
クララの北野優香は楚々とした雰囲気。あまり踊りの見せ場がなく、印象が薄い。くるみ割り人形・王子の鷲尾佳凛殿パドドゥはリフトが不安定で、何度かバランスを崩してヒヤリとした。鷲尾はソロはのびのびとしてよく、2幕では高いジャンプやキレのある回転で引きつけたが、ちょっと短いか。役名にくるみ割り人形とあるし、ナレーションでも「くるみ割り人形が王子に変わった」と言っていたが、人形はずっと本棚に置かれたままで、変身は描かれなかったのだが…。ねずみ王はダンサーの頭の上にねずみの頭がのる形で首長の別の動物のように見える(ちょっと不気味)。トータルで2時間余という上演時間がせめてもの慰め。
2025年12月2日火曜日
12月2日 吉例顔見世興行 昼の部
「醍醐の花見」
鴈治郎の秀吉はおおらかな殿様。扇雀の北の政所、孝太郎の淀。
松の丸の吉太朗は初めての下げ髪だそう。まつ役の吉弥と並んでの連舞もあり、いい師弟だなあとしみじみ。
加藤清正の虎之介はニヤニヤして軽そうで、太鼓持ちみたいに見える。福岡正徳の鷹之資は安定感がある。
曽呂利新左衛門に進之介。結構セリフや動きのある役だが、つつがなく。年末恒例?の生存確認顔は顔に艶があり若く見えた。
「一条大蔵譚」
幸四郎の大蔵卿は知恵遅れのような阿呆ぶり。本当はまともな人なので、少しやりすぎに感じる。鬼次郎の愛之助、お京の壱太郎は夫婦役が板についている。
常盤御前は七之助。化粧のせいか、冷たそうに見える。
「玉兎」
襲名披露の菊之助。たった一人で南座の舞台をもたせるのだから大人顔負け。月に映るシルエットから、細い手足を綺麗の伸ばした姿勢が美しい。所作が丁寧で、子どもらしい可愛らしさの中にも清々しさがある。
「鷺娘」
映画「国宝」にあやかってかは知らないが、今油の乗っている八代目菊五郎の舞踊を堪能した。
「俊寛」
仁左衛門の俊寛は2年ぶりか。また深化したようで、繊細に描かれる心の動きに感情を揺さぶられた。千鳥を迎える時、我が子を待ち焦がれているような嬉しげな顔。船を見送り、少しずつ声が遠くなっていくと急に寂寥感に襲われ、慌てて追いかけるように花道の海に入っていく。高台に登り、遠くを見送るも、最後は諦観の境地に至る。壮大なドラマ。
莟玉の千鳥は明るく、おきゃんで、少しやぼったい感じが田舎娘らしくていい。成経は隼人、康頼は橘三郎で、歳の差がありすぎと思ったが、だんだん違和感がなくなった。
ダブルキャストで俊寛を演じる勘九郎が基康。急逝した亀蔵に代わり、彦三郎が瀬尾。低音の美声で敵役として不足はないが、亀蔵だったらとつい思ってしまう。「ベリベリとした」声が出せる役者は他にいないし、どこか滑稽みのあるのも唯一無二だった。
2025年12月1日月曜日
12月1日 吉例顔見世興行 夜の部
「寿曽我対面」
顔見世かつ襲名披露興行らしい、華やかな舞台で、梅玉の工藤祐経が要所を締める。扇雀の大磯の虎と並ぶと莟玉の化粧坂少将がひときわ華奢で可憐に見える。愛之助の五郎は手慣れたものだが、もっと漲る力がほしい。孝太郎の十郎の柔らかさ。
梶原平三に松之助。終始うつむいて小さく震えているのが気がかりだが、声はしっかりでている。
鬼王を菊若丸に変えて菊之助が出演。キビキビとした動きが若武者らしく、清々しい。
口上は13人がずらりと並び、最近見ないくらいに豪華。仁左衛門は「音羽屋にとってはもちろん、歌舞伎界にとっても大事な名跡」というところ、「歌舞伎界にとってはもちろん…」と言い出して一瞬言い淀んだが「音羽屋さんにとっては尚のこと大事な…」と続けて事なきを得た。進之介が珍しく口上に列座し、梅幸時代の菊五郎劇団に招かれた縁から、「目に入れても痛くないくらい可愛がっていた八代目をよろしく」とまとめた。亡くなった我當の代わりと言って。七之助は親戚であることには触れず、ナウシカやマハーバーラタで共演したことを述たのは何か含むところがあるのか。勘九郎は親戚に加え、学校の後輩、長十郎が菊之助と同級生でパパ友でもあると紹介して笑いを誘った。
「弁天娘女男白浪」
菊五郎の弁天に、勘九郎の南郷が珍しい組み合わせ。写りの良い2人なので、もっと共演してほしい。菊五郎の弁天は手慣れでいつも通りだが、緋鹿子を仕込むところで店の品の奥の方に押し込んでから引き出すのはこれまでなかったような。橘太郎の番頭に、千次郎が手代役で加わっているのが嬉しい。巳之助が鳶頭で、いなせな江戸の男振り。鷹之資の浜松屋倅、歌六の浜松屋主人、幸四郎の日本駄右衛門。 稲瀬川では愛之助の忠信、七之助の赤星が加わり、同世代の五人男が並ぶ。幸四郎は日本駄右衛門にしては線が細く、愛之助と代わった方がいいのではと思った。 「三人形」 巳之助の奴、隼人の若衆、壱太郎の傾城。
顔見世かつ襲名披露興行らしい、華やかな舞台で、梅玉の工藤祐経が要所を締める。扇雀の大磯の虎と並ぶと莟玉の化粧坂少将がひときわ華奢で可憐に見える。愛之助の五郎は手慣れたものだが、もっと漲る力がほしい。孝太郎の十郎の柔らかさ。
梶原平三に松之助。終始うつむいて小さく震えているのが気がかりだが、声はしっかりでている。
鬼王を菊若丸に変えて菊之助が出演。キビキビとした動きが若武者らしく、清々しい。
口上は13人がずらりと並び、最近見ないくらいに豪華。仁左衛門は「音羽屋にとってはもちろん、歌舞伎界にとっても大事な名跡」というところ、「歌舞伎界にとってはもちろん…」と言い出して一瞬言い淀んだが「音羽屋さんにとっては尚のこと大事な…」と続けて事なきを得た。進之介が珍しく口上に列座し、梅幸時代の菊五郎劇団に招かれた縁から、「目に入れても痛くないくらい可愛がっていた八代目をよろしく」とまとめた。亡くなった我當の代わりと言って。七之助は親戚であることには触れず、ナウシカやマハーバーラタで共演したことを述たのは何か含むところがあるのか。勘九郎は親戚に加え、学校の後輩、長十郎が菊之助と同級生でパパ友でもあると紹介して笑いを誘った。
「弁天娘女男白浪」
菊五郎の弁天に、勘九郎の南郷が珍しい組み合わせ。写りの良い2人なので、もっと共演してほしい。菊五郎の弁天は手慣れでいつも通りだが、緋鹿子を仕込むところで店の品の奥の方に押し込んでから引き出すのはこれまでなかったような。橘太郎の番頭に、千次郎が手代役で加わっているのが嬉しい。巳之助が鳶頭で、いなせな江戸の男振り。鷹之資の浜松屋倅、歌六の浜松屋主人、幸四郎の日本駄右衛門。 稲瀬川では愛之助の忠信、七之助の赤星が加わり、同世代の五人男が並ぶ。幸四郎は日本駄右衛門にしては線が細く、愛之助と代わった方がいいのではと思った。 「三人形」 巳之助の奴、隼人の若衆、壱太郎の傾城。
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