2025年10月25日土曜日

10月25日 霜乃会 第七回本公演「演継豊浄瑠璃宗」

文楽劇場小ホールでの公演だからか、文楽応援!の構成で、各芸能が文楽ゆかりの演目でリレー。茶道の松井宗豊の司会で(名前がタイトルに入っていると今気づいた)、演目が終わるごとにトークを挟む。中でも能「碇潜」から義太夫「知盛幽霊」の流れが良き。

南龍は講談「浄瑠璃物語」で浄瑠璃の歴史を紐解く。引きの芸に磨きがかかって、とても聞きやすい。ネタおろしなのでところどころ言葉に溜まったのは仕方ないか。

紋四郎の落語「寝床」は枕なしで入ったのがよかったのか。物語の前提が観客に共有されていたのか疑問。さらさらと進み過ぎた感もあり。

幸太は浪曲「安珍清姫」。お家騒動の件から入り、清姫が一方的に横恋慕しているので、ただ女の嫉妬が恐ろしく、とばっちりを受けた安珍が気の毒。

能「碇潜」は今村哲朗のシテの知盛、林本大がツレの二位尼。ほか子方も。今村の知盛は面越しにも声が大きく、迫力がある。長刀を振り回す舞も勇壮で迫力があった。扇を落とすアクシデントがあり、すこしもたついたのは不慣れな会場だからか。 素浄瑠璃「知盛幽霊の段」は碩・燕二郎。フェニーチェで2回公演しているせいか、だいぶ落ち着いていたように感じた。

2025年10月24日金曜日

10月24日 坊ん倶楽 vol.19

開口一番は喬龍の「つる」 話の運びはすこしガチャガチャしているが、明るいキャラクターに好感が持てる。 吉坊「花筏」 相撲取りの話は吉坊のキャラにはあまり似合わないかも。 対談はゲストの上方唄松浪流の松浪千尋による唄とおしゃべりも楽し。 トリは吉坊ネタ下ろしの「稽古屋」 踊りの師匠の手振りはさすがの美しさ。こなれてきたらもっとよくなりそう。

2025年10月22日水曜日

10月22日 ワカテdeワカル フェニーチェ文楽 vol.6 第一部

木ノ下裕一のトーク。千本桜の知盛、妹背山のお三輪は本筋の物語からすると異物。異物の視点が入ることで物語に深みが出たり、違う価値観が提示されたりする。特にお三輪は朝廷の権力闘争に巻き込まれた庶民であり、犠牲になるのはいつも弱いものであることが描かれていると。 「知盛幽霊」は碩・燕二郎。筒いっぱいの熱演に好感が持てる。 人形は簑紫郎で、手足を大きく使った動きに力漲る。 「道行恋苧環」は靖のお三輪、碩の求馬、聖の橘姫に清公、燕二郎、清方。 お三輪の出が調子はずれでのけぞる。どうしちゃったの?アフタートークによると求馬が難しい(セリフが少ない中で品を出し、人物像を描かないといけない)のだそうで、碩もこれといった感じでなく。聖は若手らしい素直な発声が良いが、高音部で調子が外れるなど、お姫様らしさにはまだ遠い。 人形は勘次郎のお三輪は勝気な娘の可愛らしさがあって上々。橘姫の玉延は人形を持て余している感じか。おっとりした感じなど姫らしさを表現するところまでは至らず。簑太郎の求女も。3人が同じ振り付けでキャラクターを見せるところも、あまり違いがはっきりしなかった。 アフタートークは靖、簑紫郎と木ノ下。 知盛幽霊は短いけれど、節や謡がかりなどしどころがあり、太夫としては美味しい場面だとか。 道行恋苧環で一番難しいのは求馬ということで一致していた。

2025年10月18日土曜日

10月18日 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」

小野絢子・井澤駿ペアは破綻なく、王道な感じ。小野のシンデレラは逆境に挫けない明るさがあり、芯の強い女性という感じ。井上は一眼でシンデレラに心奪われた様子がよくわかった。
今日の私的メインは奥村康祐の義理の姉。我が道をゆく傍若無人ぶりで周囲は迷惑するが、悪気はないので憎めない。当たり役の安定感で、細かな芝居で笑いをとる。前回より妹を気遣う感じがあった。義理の姉②は小野寺雄。わがままな姉に振り回されるちょっとかわいそうな感じがかわいい。
道化の山田裕貴は力強い跳躍と回転。
四季の精は春夏秋冬の歯並びでなく、いつも冬がセンターにいるのはなぜだろう。
王子の友人?1人だけテンポがずれていた。

2025年10月16日木曜日

10月16日 蝠聚会

「桂川連理柵 六角堂の段」 清丈・団吾。 清丈の長吉がノリノリで面白く、笑いを誘う。 「義経千本桜 渡海屋の段(口)」 宗助・清馗。 宗助の銀平が大きくて立派。 「近頃河原の達引 堀川猿廻しの段(奥)」 清介・清公、清方のツレ。 清介の語りは案外平坦。清公は三味線の聞かせどころを頑張った。清方は音のコントロールがきかず、耳に障るところもあった。 カーテンコールで清公がアンケートの質問に答える。が、開催日は平日の昼間だし、チケット購入方法はアナログのままだそう。各人が感想を述べ、宗助は稽古場が混んでいて小劇場の楽屋で稽古していたため、広い会場には発声が十分でなかったなど。清公は堀川猿廻しの全段に取り組みたいと決意表明。

2025年10月12日日曜日

10月12日 錦秋十月大歌舞伎 Bプロ 第二部

仁左衛門権太の初日。木の実から小金吾討死、すし屋まで。 立ったり座ったりはすこししんどそうで、木の実の最後、善太郎の夏幹を背負って花道を引っ込んだが、すし屋の出が下手袖からだったのは歩く距離を短くするためか。ならずものなのに憎めない愛嬌は変わらずで、小せんとイチャイチャして「瑞々しいなあ」と言った李、すし屋で母親に甘えるところとか。嘘泣きで目を濡らすため、舌を伸ばすのは松緑はやっていなかった。最期、梶原方に妻子を引き渡すとき、松明の煙が目に染みると言って涙を誤魔化したり、陣羽織を頭から被って姿を見ないようにしたり。心情描写が細やかで、涙を誘う。 小金吾は左近。第一部の静御前との振れ幅に驚くが、凛々しい若武者ぶり。討死の立ち回りで、顔を伏せてグルグル回った後にふらついたのは芝居かな。 弥左衛門女房お米は梅花。初めから権太かわいいで甘々のお袋さん。弥左衛門の歌六に安定感がある。 運びがスムーズだとは思ったが、Aプロに比べて20分以上短かったのに驚いた。

10月12日 錦秋十月大歌舞伎 Bプロ 第一部

「鳥居前」 右近の狐忠信はドヤってる。左近の静御前が楚々としていい。 歌昇の義経はニンではない感じ。 滑稽役は笹目忠六で橘太郎。見慣れた型だった。 「渡海屋」「大物浦」 巳之助の知盛がとても良い。体格は取り立てていいわけではないが、骨太で重厚感がある。

2025年10月11日土曜日

10月11日 十月大歌舞伎 Aプロ 第二部

木の実から小金吾討死、すし屋。

松緑の権太は江戸前のちゃきっとした兄ちゃん(チャキチャキではない)。太ももまで着物を捲り上げ、どっかと座る姿は様になる。いつものごとく口跡がわるく、仁左衛門のような可愛げがないのでただの荒くれ者といった感じなのだが、手負いになってからはよかった。良かれと思ってしたことが伝わらずに報われない哀れ。家族に囲まれるなか、母親が頬を寄せて泣き咽ぶ悲しさがひしひしと伝わった。彼の持ち味は不器用そうなところなのかもしれない(紀尾井町の坊なのに…)仁左衛門と型が違うところも多く、泣き真似のとき舌は出さないとか笛は母親が吹くとか。
新吾の小金吾は若武者の一本気な感じがいいが、どこかなよっとして見える。魁春の園生の前は姿勢がお婆さん。ビブラートのかかった発声が歌右衛門を思わせる。
左近のお里は期待通りの可愛さ。維盛に妻子がいると知って身を引くも、出家するのについて行きたいと縋るのが痛いけ。弥左衛門女房の名はおくらで、斎入。クールな感じがするのは江戸風なのか。弥左衛門は橘太郎。ちょっと小ぶりな感じもするが、きっちりした親父さんという感じ。維盛は萬寿。弥助から弥左衛門への変わり身が自然で、お里への気遣いも感じられた。
種之助の小せんが若々しく献身的ないい女房。花道の「瑞々しいなぁ」はなかったが、瑞々しい。

10月11日 十月大歌舞伎 Aプロ 第一部

「鳥居前」

團子の忠信は溌剌とした動きがいい。吉野山、四の切と違って、筋熊の勇壮な出立ち。時折セリフに力が入りすぎているように感じたのと、長い手足が型に収まりきらないように見えたのがマイナスか。
笑也の静御前は俯いてやつれたよう。同行を許されず、しょんぼりした引込みが悲しげ。
巳之助の義経に品がある。 滑稽役の鵜目鷹六は青虎。初めから静を狙って近づいていく。

「渡海屋」「大物浦」

隼人初役の知盛は仁左衛門に習ったそうで、時折面影を感じるも、全体的に軽い。若さゆえだろうが、風格がないというか。一方動きは機敏で、瀕死のはずなのに、薙刀を勢いよく振るい風を切る音が聞こえそう。
安徳帝は巳之助長男の守田緒兜が初お目見え。寝ているところを弁慶が跨ごうとする場面はなく、出陣前に呼び出されて登場。巳之助はなんで義経で共演するのかと思ったが、同じ場面に出ていることが多いし、最後は義経に抱かれて引っ込むので納得。

2025年10月4日土曜日

10月4日 永楽館歌舞伎

「寿曽我対面」

千寿の大磯の虎、りき弥の化粧坂少将と、上方歌舞伎塾出身者が大役に抜擢されて胸熱。千寿はセリフがよく、押し出しもいいのだが、終始うつむき加減なのが気になった。りき弥はきれいだけど、声にもう少し力が欲しいのと、顔が小さいせいか衣装に負けているように見えた。
福之助、歌之助兄弟の曽我兄弟は兄弟が逆転。2人とも芝居が小さいというか、もっと内からみなぎるものが欲しい。壱太郎の舞鶴は妙に軽く、世話焼きおばちゃんみたいと思った。
愛之助初役の工藤祐経は座頭の貫禄。最後に出てくる彦三郎の鬼王新左衛門はご馳走?

口上は初登場の彦三郎が、先月共演した壱太郎に「大喜利のようにやって」と言われたそうで、客席降りして今日誕生日の人にかわらけの破片(サイン入り)をプレゼントするサービスっぷり。福之助は意外に安全運転で、クラファンへの協力を呼びかけ。歌之助は来年も出たいとアピール。壱太郎はいつも通り、コウノトリのこうちゃんぬいぐるみなど宣伝。

「神の鳥」
15回記念でご当地ものをするのはいいが、対面と絵面が似ていると思う。初演時にコウノトリの子を演じた吉太朗が花魁役で、愛之助演じる鹿之介の間夫という成長ぶりに驚く。
父コウノトリの吹き替えが、顔を隠しつつ演じていて上手いなと思ったら、最後は顔を出して千寿だったのでびっくり。

2025年10月1日水曜日

10月1日 錦秋十月大歌舞伎 Aプロ 第三部

義経千本桜の通しで、團子初役の狐忠信で吉野山から河連法眼館を観劇。

吉野山は新吾の静御前と長身コンビ。長い手足が映えるけど、日本舞踊の動きには持て余してるように見えるところも。ただ團子は所作が丁寧だし、伸び代に期待が持てる。
早見藤太は猿弥で、安定の面白さ。
清元のタテが右近兄弟。右近は高音域が不安定というか、声がひっくり返りそうでヒヤヒヤする。

川連法眼は團子の狐忠信に泣かされた。こんなに可哀想と思ったのは初めて。声がいいし、何よりセリフがいい。狐忠信の出から最後の宙乗りまでケレンも軽やかにこなしていて、四代目や三代目猿之助を彷彿とさせるところも。
市川右近が駿河太郎で出ていたののは嬉しかったが、武士にしてはちょっと姿勢が悪く見えたのが残念。