2024年12月22日日曜日

12月22日 第十二回 龍門之会

仕舞「西王母」
金剛宣之輔。行儀よく、健気な感じ。

舞囃子「小鍛冶」
金剛謹一郎。成長が感じられて頼もしい。

狂言「棒縛」
茂山忠三郎、山口耕道、山本善之。

舞囃子「山姥」
金剛永謹。


「弱法師」
金剛龍謹のシテ。ワキ村山弘、アイ茂山忠三郎。
俊徳丸が我が身を恥いるところにグッときた。舞の後半、変化のあるところがとても印象的。

2024年12月8日日曜日

12月8日 十二月大歌舞伎 第三部

「舞鶴雪月花」

勘九郎が桜の精、松虫、雪達磨と姿を変えて踊り巧者ぶりを見せる。6列目の良席だったので、桜の精の着物の襟元が引き抜きのため緩んでいるのが見えてしまい、気になった。
松虫は長三郎も。名子役ぶり。
雪達磨は滑稽ななかにペーソスがあっていいのだが、オバQ之ような扮装はどうなの? しかもそれがチラシに並ぶのは違和感あり。


「天守物語」

玉三郎の富姫は姿もセリフも、泉鏡花の世界をこれ以上ないくらいに体現。そして、再登板を決意させた團子の図書之助は、これぞ図書之助という適役。清々しいたたずまいに所作の美しさ、セリフの明晰さが揃い、富姫が引き止めたくなるだけの説得力があった。こんなに説得力のある図書之助は初めて。

薄の吉弥、侍女は歌女之丞を筆頭に京妙、芝のぶ、玉朗、鶴松か並び、舌長姥の門之助、朱の盤坊の男女蔵ら、適材適所の配役。(鶴松はも一つだったが)昨年と入れ替わりで亀姫の七之助は綺麗だけど、亀姫にしてはシャープすぎる感じ。妹らしく、もうちょっと柔らかいとなお良いと思った。(つまり、去年の玉三郎は妹らしい可愛さがあった)

12月8日 文楽公演 第1部

「日高川」

希、咲寿、南都、文字栄に団七、団吾、燕二郎、藤之亮。
遅刻して後半だけ。希の清姫は限界に挑戦みたいな語りで、懸命なのは分かるが、それだけではダメだと思う。咲寿は船頭。大失点でもないがよくもなし。全体的にチグハグな感じ。
人形は紋臣の清姫、玉翔の船頭。清姫が蛇になってから、人形に主遣いが振り回されているみたい。

「瓜子姫とあまんじゃく」

千歳・富助に錦吾、清允。 
千歳の語りに嶋太夫を思い出した。である調子の詞章は義太夫節っぽくないのだが、義太夫節らしさを感じられたのが不思議。瓜子姫とあまんじゃくの攻防?と妖怪之話が行ったり来たりするのは、話の構成としても分かりにくいと改めて思った。
人形は皆が頭巾を被っていたが、玉佳のあまんじゃく、紋吉の瓜子姫。

「金壺親父恋達引」

藤、靖、亘、聖、碩に燕三、清丈、清公。 
藤の金左衛門は金にがめつい意地汚い感じを好演。靖が二枚目。亘はお高やお舟ら娘役が多かったが、あの発声は裏声では? ちょっと気持ち悪い。

人形は簑二郎の親父、一輔の娘お高など。 簑紫郎のお梶婆が好演。

2024年12月7日土曜日

12月7日 文楽公演 第3部

「曽根崎心中」

この日の収穫は何と言っても一輔のお初。可憐で、情に溢れ、セリフのない受けの芝居も行き届いている。玉男徳兵衛との繊細なやり取りがよく、この二人のコンビはいい。

生玉社前を三輪・清友。
珍しい組み合わせと思ったが、特にコメントはなし。

天満屋は織・藤蔵。
やったるで感満載で、お初があまり可愛くないのはマイナスだと思う。

天神森は芳穂、小住、薫、織栄に錦糸、清馗、友之助、清斗。
錦糸の三味線が的確に紹介を描き、芳穂の語りもよく応えているが、アンサンブルとして聴くとまとまりにかける。



12月7日 文楽公演 第2部

「一谷嫩軍記」

熊谷桜は睦・勝平。
風邪薬のせいでうとうとしてしまったが、高音が掠れる悪い癖が出て相模と藤の局のやり取りが辛い。

熊谷陣屋の前は呂勢・清治。
とても心地よかった。 女同士のやり取りが上手い。

切は若・清介。
いつもの囁き語りで、これはこれで好きな人もあろうが、義太夫節とは何かと考えてしまう。三味線がバチバチで、気を吐いていた。

人形は勘寿休演のため紋臣が藤の局。和生の相模、玉也の阿弥陀六など適材適所。

「壇ノ浦兜軍記」

錣、靖、津国、聖に宗介、清志郎のツレ、三曲は寛太郎。
宗介の三味線は堅実だけど、華やかさにかけるか。寛太郎の三曲は落ち着いている。

勘十郎の阿古屋は当たり役といってよく、慣れたもの。左は簑紫郎、足は勘昇。簑紫郎の左手が繊細。

阿古屋の人気か客席は満員。


2024年12月5日木曜日

12月5日 朧の森に住む鬼

25分ほど遅れて観劇(ライがシュテンと義兄弟の契りを結ぶあたりから)。 
幸四郎演じるライは口から出まかせ、嘘八百で他人を丸め込み、裏切り続けてのし上がる、欲の塊 。ファンだったら格好いいと思うのかもしれないが、思い入れがないのでただただ嫌らしい。
時蔵のツナは女丈夫で格好いいけれど、ビジュアルはイマイチ。解けかけたポニーテールのような髪型が冴えない。女だてらに四天王と呼ばれる将軍という役どころもあって、女形というより立役に近い。
よかったのは猿弥のマダレ。主人公が裏切りばかりでちっとも共感できないので、人情のあるキャラにホッとする。
染五郎はメイクが濃いというか、目の周りを赤すぎて変な感じ。おじいさんに似てきた。

2024年12月1日日曜日

12月1日 吉例顔見世興行 夜の部

「元禄忠臣蔵 仙石屋敷」

仁左衛門の大石内蔵助、仙石伯耆守の梅玉はセリフ術に不足がなく、やり取りが耳に心地よい。真山ものをやるには当代随一の配役では。(が、客席が暗いこともあり、時折睡魔に襲われる)
四十七士とまではいかないが、35人くらいは舞台にいて圧巻。間十次郎は進之介で年1回の生存確認。セリフをとちってモゴモゴ言っていたのを、堀部安兵衛の中車が引き取ったのはアドリブか?
力弥に鷹之資、磯貝十郎左衛門に隼人、不破数右衛門に松之助、富森助右衛門に青虎ら。
鈴木源五右衛門の笑三郎は立役も上手い。

「色彩間苅豆 かさね」

萬寿のお目見えで、愛之助が与右衛門のはずが怪我で降板し、萬太郎が代役。親子で恋人役ってあまり好きではないのだが。
萬寿は期待通りだが、初日のせいか髷が曲がっていたような。萬太郎は急な代役を健闘していたけど、陽のキャラさなので冷酷な役はニンでない。 


「御所五郎蔵」

隼人の五郎蔵は仁左衛門の指導の後が見られるが、何かが足りない。着物がだぶついて見え立ち姿がどこかスッキリしないし、セリフのキレも今ひとつ。対して、土右衛門の巳之助がいい。落ち着いたセリフもいいし、姿も。(先日の中車よりよほど役らしい)皐月は壱太郎。いつもの籠ったようなセリフ回しが気になる。吉太郎の逢州は大健闘。綺麗だし、セリフもいいし、立ち回りも美しい。

「越後獅子」

鴈治郎、萬太郎、鷹之資。3人並ぶと鷹之資の上手さに目を惹かれる。体幹の安定感が歴然で、同じ振りでも一味違う。