金森穣振付の新作バレエがついに全幕上演。2年前の1幕だけの時より、衣装や舞台装置が洗練された感じ。
キャラクターごとにテーマカラーがあり、かぐや姫は白(パール)とマリンブルー、農村の人々は茶系、帝は金と黒、大臣は燻銀、影姫は赤と黒といった感じで、色彩が鮮やか。白を基調とした舞台装置にも映える。
かぐや姫や影姫らはレース調の幾何学模様の入ったボディスーツで、振袖のローブを纏うのが動きにつれてはためくのが美しい。男性キャラは裾窄みのパンツで、ポケットの辺りにドレープがあり、回転すると羽のように広がる。
かぐや姫の秋山瑛は小柄で華奢なのでいたいけな子供のよう。難易度の高いリフトに軽々と振り回される様はこの世ならざる者の感じも。沖香菜子演じる影姫はかぐや姫と対になるキャラクターだが、パンフレットにあった「妖艶な」という形容詞はどうなのだろう。誰かを誘惑するわけではなく、高貴で孤高な女性というふうに見えた。
男性は道児の柄本弾がシンプルな衣装に体格の良さが映える一方、帝役の大塚卓は柄本より頭半分くらい背が低い上に細身なので、威厳が足りない気がした。冠くらい付けた方が説得力があるのでは。
ドビュッシーの音楽に乗せたパドドゥはうっとりするし、大人数の群舞には迫力があり、踊りの見応えは十分。 かぐや姫が宮廷に召される経緯が不明だったり(どこかで見初められた?)、帝の元にいながら大臣たちに求婚されたりと、ストーリー上しっくりこないところもあったが、全体として儚く美しい作品だった。
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