2023年10月14日土曜日

10月14日 清流劇場「台所のエレクトラ」

 エウリピデスの「エレクトラ」を翻案。舞台は貧しいアパートの食卓。普段着のような衣装、大阪弁で演じることで、松竹新喜劇のような雰囲気に。エレクトラ役の中迎由貴子は喜劇女優のような親しみやすさ。偽装結婚している人足の上海太郎、近所のおかみさんの峯素子らとのやりとりもほのぼのしており、オレステス(勝又諒平)、ピュラデス(福永樹)の登場もコメディっぽいのだが、王妃クリュタイメストラを呼び出したところから急に様相が変わる。王妃役の八田麻住は光り物をふんだんにあしらった衣装が大阪のおばちゃんみたいで、ベタな大阪弁で強弁を振るう王妃とエレクトラとの母娘対決に緊迫感が高まる。違いに相手に毒を盛ろうとしていると思わせておいて、実は毒を盛っていたのは娘だけだったという結末。エレクトラが偽装結婚していた人足とが本当の夫婦になる未来を匂わせて幕。

原作との改変点は、人足には別に昔から付き合っている恋人がいるとしたことや、エレクトラがピュラデスと結ばれて貴族社会に戻るのではなく、人足と貧民窟に残るなど。アフタートークは田中孝弥の司会で演出家の西沢栄治と大阪市立大名誉教授の丹下和彦。丹下はエレクトラが母殺しをするところに飛躍があるので、ここを変えて欲しかったと。

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