2023年10月21日土曜日

10月21日 歌舞伎公演「妹背山婦女庭訓 第二部」

布留の社頭の場 道行恋緒環

梅枝演じる求女のクズっぷりが秀逸。浮世離れしていて、恋の鞘当てを繰り広げる女たちには冷たく、他所ごとのよう。両側から引っ張られ、ウンザリした表情すら見せる。米吉の橘姫は可憐で健気な赤姫を好演。おっとりとしていながら、お三輪とのバトルでは一歩も引かない強さも見せる。対して菊之助のお三輪は期待外れだった。妙に老けて見え、健気さや一途さが薄いので、ヒロインを応援する気持ちになれず。緒環が切れたところもあっさりしていて、思い入れが弱いと感じた。 

浄瑠璃は葵太夫以下4枚4挺の豪華版。


三笠山御殿の場

入鹿を取り巻く官女に芝のぶやりき弥、折乃助、いびりやくの方の官女には千次郎の姿も。

お三輪は相変わらずで、田舎娘が御殿に迷い込んだ心細さや恋しい男を希求する様子が薄く、官女たちにいびられてもあまり可哀想でない。時蔵の豆腐買いはご馳走?なのか。普通の女中のような拵えで、おかしみはあまりなかった。文楽だとお福の首だから、はっきり笑いの場面なのだが。芝翫の鱶七は、豪放な感じが役柄に合うが、セリフが少し聞きづらい。


大詰めの三笠山奥殿の場、入鹿誅伐の場

藤原鎌足をはじめ、藤原方が勢揃いして入鹿を伐つ。大団円の華やかさ。装束を改めた梅枝が凛々しい貴公子振り。菊之助は采女の局での登場だが、こちらも年増な感じがした。鎌足は休演の菊五郎に変わって時蔵。髭をたたえた立役姿は珍しい。 最後は役者が一列に並び、国立劇場に別れを告げるセリフも。

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