2023年1月27日金曜日

1月27日 文楽研修生発表会

30期生の修了と31期生の中間発表で大劇場で開催。

「二人三番叟」
床には30期生の太夫、田村啓暉と三味線の應武佳之が掛け合いの末席に並び、舞台上には人形遣いの31期生古谷諒が玉翔が主遣いを勤めるシテの方の足を勤める。足遣いは頭巾は被らず素顔の見える状態。足を高く上げすぎなところもあったけど、大きく足を前に出すのは元気が良くて好感が持てる。アドの動きが控えめに見えたほど(こちらの足は清之助)

床はシンが靖・清志郎で、研修生は4挺4枚の末席だったので、そんなに見せ場はなかったけど、三味線は2年でちゃんとついていっているのは立派。たまにミスはあったけど。

「熊谷桜の段」

太夫の田村に三味線は清丈。
高音も低音もキツそうだが、素直な語り。ちょっと落語家っぽく見えたのは、目の表情のせいかな。

「裏門」

三味線の應武に小住。
音はしっかりしていたけど、間が悪いのが気になった。走り気味だし、もうちょっとタメがあったらと思うところが所々あり、小住が語りにくそう。終盤、ツボを間違えて一瞬フリーズしたところも。すぐに持ち直して、最後まで勤め上げたけど、5分近く巻いていたような。藤蔵が指導担当だったそうで、ハラハラしながら見ていたらしく、終わってホッとした様子だった。

2023年1月15日日曜日

1月15日 壽初春大歌舞伎 第一部

「卯春歌舞伎草子」

正月らしい華やかな舞陽。七之助と猿之助のお国・山三を中心に、左源太・右源太の勘九郎・愛之助に、笑也、笑三郎、猿弥、青虎ら猿之助一門、千之助、鷹之資ら若手も居並び、色とりどりの衣装が賑やかで、どこを見ていいのやら困るほど。
踊り上手の勘九郎ほどの滑らかさはないものの、愛之助の踊りも見劣りはせず。女歌舞伎のなかでは、年長の壱太郎が際立ったが、千之助も悪くなかった。若手の染五郎、額が広いのか鬘が合っていないように見えた。

「弁天娘女男白浪」

まさか愛之助の弁天小僧を江戸で見られるとは! 3回目ともなれば手慣れたもので、花道の出で見せる横顔は今まででいちばん可憐に見えた。南郷の勘九郎とのコンビもいい。お約束の、お嬢さまの贔屓を当てるくだり、中村勘九郎の名前が出ると、「あのような真面目な役者は大嫌い」と。真面目って悪口になってないと思うのだが。
日本駄右衛門に芝翫、忠信=猿之助、赤星=七之助と中堅?世代か稲瀬川勢揃いで並ぶのを見て、これはこれで悪くないなぁと思った。 

2023年1月14日土曜日

1月14日 新国立劇場バレエ団「ニューイヤーバレエ」

「A Million Kisses to my Skin」

濃淡の異なるブルーの衣装はシンプルなレオタードで、体操選手のよう。舞台上が白い正方形?になっているのも、シンプルさか際立つ。薄いTシャツを纏っているのだが、透けるのでほとんど上半身裸に見えた。

手足を伸びやかに動かす振りが多く、キャンパスに自由に筆を走らせているような開放感がある。バロック音楽の端正な音楽が舞台上を漂っているよう。
メインの直塚美穂・奥村康祐ペアは何でもないように見せるけど、高いテクニック。結構早いテンポで慌ただしく見えるところもあったけど、ちゃんと曲に合っているのはさすが。奥村がパートナーを迎えるときの微笑みがいい。

「眠れる森の美女」 グラン・パ・ド・ドゥ

ヤスミン・ナグディとマシュー・ボールペア。ロイヤルの衣装は、飾りのビジューがキラキラ光って眩い。ダンサーのテクニックも華やかさも申し分ないのに、ガラだと2人しかいないから、せっかくの祝宴の舞がどうしても物足りなく見える。

「ドン・ジュアン」

アリーナ・コジョカルとアレクサンドル・トルーシュ。
ノイマイヤーの振り付けは神秘的でドラマチック。白衣の貴婦人は衣装のせいか、この世のものでないように見える。コーラス部分は録音を使っていたようで、残念。
 

「シンフォニー in C」

第2楽章の小野絢子の気品たるや。トッププリマの風格があった。
第3楽章の木下嘉人はアームスを柔らかく使っていたのが印象的だった。

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2023年1月7日土曜日

1月7日 西宮能楽堂五周年記念公演

 「石橋」

半能で上演されることが多いので、フルで見るのは初めて。前場のシテは樵翁でワキの寂昭法師に石橋の由来を語って去る。後シテは白獅子と赤獅子が激しく舞う。

大鼓の山本寿弥が若いせいか掛け声も鼓の音も激しくて、煩いくらいだった。小鼓の久田舜一郎も後場では競うように激しかった。太鼓は後場の初め、後シテが出てくるところで橋掛かりの方を向いて打つのはこの曲ならではの演出だそう。

事前にの解説で、石橋は幅1尺(30センチ)足らず、長さ3丈(10メートルくらい)、谷の深さは1000丈と知る。こんなところで獅子が暴れたら落ちるし、そもそも石橋が壊れそうだ。

2023年1月3日火曜日

1月3日 初春文楽公演 第3部

 この日は新口村はパスして、阿古屋のみ。初役の人たちを聞きたくて。

阿古屋の呂勢はなんか玉三郎を思い出した。声のよさはもちろん、傾城の心意気みたいなものが感じられた。岩永の靖、榛沢の小住もそれぞれ役にあった語りでバランスが良かったのだが、重忠の織は朗々とした語りはいいものの、一人だけ芝居が違う感じがした。

三味線は藤蔵、寛太郎に三曲の清公。清公は初役ながら、不足なく。ちょっと琴の音が小さいような気がしたが。むしろ2枚目の寛太郎が緊張からか終始怖い顔で、そっちばかり見てしまった。

人形は勘十郎の阿古屋はもう何回目? 左は簑紫郎、足は勘昇。簑紫郎の左手が繊細な動きで床とよく合っていた。玉佳の岩永が本領発揮で面白かった。

1月3日 初春文楽公演 第2部

 「義経千本桜」

椎の木の団七の口は咲寿・団吾。落ち着いた声でまずまず。

奥は病気休演の咲に代わった織と燕三。織は堂々とした語りはいいのだが、権太がなんか偉そう。権太って小悪党だし、もっと可愛げがあっていいのでは。そしてすまないのだが、後半意識が…。

小金吾討死は三輪、津国、南都、聖に清馗。太夫が入れ替わり立ち替わりで床が慌ただしい。


すしやの前は呂勢・清治。維盛の気品、お里の健気さ、権太のごんたくれと語りわけがくっきり。

切は呂・清介。

1月3日 初春文楽公演 第1部

「良弁杉由来」

志賀の里の段
シンの希、清友がコロナ陽性のため休演で、渚の方は睦が代演、三味線は二枚目の友之助がシンを勤める。友之助は朱を見ながらで硬い表情だったが、健闘したのでは。睦は掠れ声が渚の方の悲嘆と重なって泣かせた。
ほかは配役通りで小枝を咲寿、腰元を薫、文字栄。ツレと八雲を燕二郎。
人形は渚の方の和生が素晴らしい。この段はまだ老女方なので、夫を亡くした未亡人の健気さや若い母親の華やぎが映る。三味線と八雲に合わせての舞も美しかった。子どもを鷲に攫われてから、何か言っているように口を動かしていたのが珍しく気になった。初日だからちょっとしたトラブルでもあったのか。

桜宮物狂いは芳穂、小住、亘、碩に錦糸、清丈、清允、清方。2枚目の勝平は休演で、錦糸が代わりに弾いていたようだった(亘が語るところで清丈が弾いていたのであれ?と思ったのはそういうことかと)。錦糸がシンにいるとまとまりが良いように思う。人形はここで一気に老女に。

東大寺は睦・団七。雲弥坊、つっけんどんかと思いきや、親切ないい奴。

二月堂は千歳・富助。前にも演っているし、特筆するほどのことはなし。いい語りだったと思うし、泣いている客もいたけれど、私には今ひとつ響かないのは、母子の気持ちにピンとこないからかも。良弁僧正の玉男は、高僧の威厳があった。