2022年6月25日土曜日

6月25日 お豆腐の和らい 瀬戸内寂聴さんを偲ぶ

 思い出話はくまざわあかねを聞き手にあきらが寂聴との思い出を。最初の結婚の頃の経緯が「京まんだら」に書かれているのだそう。のちにドラマ化された時には自身がモデルになった透役をされたのだとか。

「呂蓮」「鐘の音」に続いて、寂聴作の「居眠り大黒」

宗彦の大経師、しげるがその妻、千之丞の番頭、千五郎の大黒天、山下の坂本の女という配役。

大黒天の月詣りに行くと装って坂本の愛人に会いに行く大経師、主人の浮気を暴露して後釜に座ろうと目論む番頭を宗彦と千之丞がノリノリで演じる可笑しさ。しげるの妻も、いつもの1.5倍くらいのわわしさで、コントを見ているような面白さ。坂本の女は「ぷんぷん」などのセリフに時代を感じるが、若い女の軽佻浮薄ぶりがよく出てる。4人が取っ組み合って争っていると大黒天が目を覚まして全てをおさめてしまうという大団円。ケラケラ笑ってスッキリした。

2022年6月20日月曜日

6月19日 文楽若手会

「絵本太功記」

夕顔棚を碩・錦吾。のびのびとした語りがこの人の良さ。時代物らしい重厚感も感じられた。女義っぽいのは声のトーンが高いからか。錦吾はきっちりして好感が持てる。

尼ヶ崎の前を小住・清公。最近聴いたなかでは一番のでき。清公の三味線は繊細というか、しっとり聞こえる。人形のせいか、十次郎と初菊の場面がとても健気で、2人のラブストーリーとして印象的だった。
後は希・友之助。希は師匠譲りなのか、声が幕越しに聞こえるような物足りなさ。節回は丁寧にたどってる風だが。三味線は掛け声も多く、気合の入った演奏だった。

人形は光秀の玉翔、竹藪から登場するところは風格があってよかったが、大きく腕を広げた決まるところなど、ここぞというとかに腰が引けて見えるのが残念。母さつきの玉誉、妻操の簑太郎は背伸びしてるというか、まだ役者不足な感じ。役の若さと人形遣いの若さが近いからかか、十次郎の玉彦と初菊の勘次郎のカップルがとてもよく、普段の公演ではあまり気に留めないシーンがとても印象深かった。 

「摂州合邦辻」

合邦住み家の中を咲寿・燕二郎。抑えめの語りは悪くない。燕二郎はよく手が回る。
前は芳穂・寛太郎。「惚れてもらう…気」がちょつと強気な感じ。寛太郎は終始難しい顔をしていたのは、難しい曲だからか。しっとりと色を弾く感じで情感溢れる演奏だった。
後は靖・清丈。このところ聞いた合邦住家で一番感動したかも。絶叫しすぎず、けれど感情が迸る。何度も拍手がかかったし、観客も満足したようだった。
人形は文哉の合邦、紋吉の玉手、和馬の朝香姫、玉路の俊徳丸と、総じてこぢんまり。若手には難しい役なんだろうな。

「二人禿」
亘、聖、薫、小住に清允、燕二郎、清方、清公。数合わせとはいえ、10分ほどの一幕はいるのか?
人形は簑之、簑悠。この並びだと、簑之の方が先輩なのかな? 人形の動きはやや固く、乱雑に見えた。簑悠のほうは、柔らかい動きが好印象だった。

2022年6月18日土曜日

6月18日 横浜能楽堂特別公演「三老女 第3回」

「富士松」
野村萬、万蔵。
滋味のある演技なのだが、体調不良もあって集中が途切れた。最後は特にオチらしいものもなく、あれ?という間に終わってしまった。

「関寺古町」
観世銕之丞のシテ。作り物の庵のなかに正座しているのだが、姿勢が良すぎて老人に見えない。歌舞伎役者は膝に置く手の位置で年齢を演じ分けるそうだが、能ではそういうのないのかしら。
子方が声を張り上げるのも、体調不良の身には辛かった。
舞の中程で、シテ柱の前で頽れるようになるところなど、老いの悲哀を感じさせるところもあったが、うーん、私にはまだ老女ものは早すぎるのかも。 

6月18日 横浜能楽堂特別公演「三老女 第3回」

 「富士松」

野村萬の太郎冠者に万蔵の主。

「関寺小町」

観世銕之丞のシテ、ワキは宝生欣哉ほかワキツレが3人。子方は谷本康介。

うーん。私には関寺の魅力は難しいようで…

2022年6月13日月曜日

6月12日 スペクタクルリーディング「バイオーム」

宝塚を退団した上田久美子の独立第1作をオンラインで視聴。

政治家一家を舞台に、人と屋敷の庭に生える草木の視点が交互に物語を紡ぐ。
8歳の息子ルイ(中村勘九郎)は実在しない庭師の娘ケイや、庭の木々と会話をするなど、発達障害のきらいがある。母親の玲子(花總まり)は情緒不安定で、息子との関係はぎこちなく、夫・学(成河)との関係もうまく行っていない。学は優秀な官僚だったのを見込まれて婿入りし、義父・克人(野添義弘)後継者として着実に歩を進めつつも、問題の多い妻や息子を持て余し、仕事に逃げている。
古参の家政婦ふき(麻実れい)やその息子で庭師の野口(古川雄大)、玲子が傾倒する花療法士ともえ(安藤聖)ら、癖のある登場人物ばかりで、濃厚なセリフのやり取りは重苦しいほど。

キャスト表の筆頭はルイだが、むしろ玲子の物語としてみた。花總は夫や息子に素直に愛情を注げずに苦しむ様を熱演し、クライマックスで原因は出生の秘密があることが明かされ、実の母であるふきとの壮絶なやりとりには息を呑んだ。
麻美は、いわくありげな家政婦と、庭の母木である黒松の双方で存在感を発揮。野口は玲子の幼馴染で、身分違いの憧れを抱いているという役どころ。古川と花總が演じると、別作品での共演の記憶が重なって、前世の縁があるように見える。

ラスト近く、二役で黒松の芽を演じた花總と、ルイが共に幕の向こうへ去るのは、母子ではないのだけど、この親子の関係に少し救いを感じさせた。 

2022年6月11日土曜日

6月11日 文楽鑑賞教室 Cプロ

 「二人三番叟」

芳穂、咲寿、碩、聖に清馗、寛太郎、清公、清允。

人形は文哉、玉勢。

「仮名手本忠臣蔵」

二つ玉は亘・友之助に胡弓の清允。

身売りは小住・勝平

勘平腹切りは織・燕三

2022年6月5日日曜日

6月4日 文楽鑑賞教室 Bプロ

「二人三番叟」

靖、亘、小住、薫に清丈、友之助、錦吾、燕二郎。人形は玉翔、簑太郎。

床と鳴り物、足拍子ががちゃがちゃで、気持ち悪かったのは私だけ? シンの清丈があまり力の入っていないように感じたのだが、引っ張る力が弱いのかな。

解説は勘次郎。ちょっとつかえたりもしたが、誠実な感じで好感がもてた。

「仮名手本忠臣蔵」

二つ玉は碩・寛太郎、胡弓の燕二郎(床裏)。
寛太郎の三味線がキッパリしていい。要所を締めていた。碩はハキハキとしていい。声が若いので仕方ないのだろうが、定九郎があまり悪人らしくなく、与市兵衛が爺らしくない。

身売りは希・清志郎。希は悪くはないのだけど、おかるは合っているが、やはり婆はもう少しという感じ。清志郎はやりすぎでない気迫が感じられた。

勘平腹切は呂勢・錦糸。三味線にハッとさせられることが多く、床ばかり見てしまった。場面描写が的確。呂勢は清治と組んでいる時よりもの早く伸び伸び語っている気がする。このところの活躍ぶりが頼もしい。