ZOOMを使って歌舞伎を上演するという試み。後学のためにと視聴してみたが、満足には程遠い出来だった。
音声が安定せず、冒頭の猿弥の口上はほとんど聞こえないし、かと思えばお囃子の音が妙に大きかったり。対話している顔世御前と師直の音量がちぐはぐで聞きづらいこと。しょっちゅうフリーズするのにも閉口した。かと思えば、スタッフが映りこんでしまったり。
作品としては、幸四郎が師直、本蔵、判官を演じるのは、面白い試みではあろうが、独りよがりな感じ。顔世御前と師直のくだりは、画面を左右に分割して別々のところで演じるのを合成した形。背景はぴったり合わさっていたが、人のやり取りはちょっと無理があった。手先を画面外にやってしまったらちょっとは違ったのかも。判官と師直のやり取りが、判官の目線で見る師直だったのは斬新だが、歌舞伎の化粧で汗が滴る顔をアップで見るのはキツかった。判官の手元の画を挿入するのだが、指が太くて、大名らしくないのも興ざめだった。アフタートークでは、猿弥の接続が切れてしまって、壱太郎の部屋に乱入するハプニング。それはそれで、面白かったが、商品としてはどうかと思う。
トーク中、猿弥も言っていたし、コメントにもあったが、これで4700円は高い。歌舞伎座と同じという背景や、拵えにコストがかかっているのは認めるけれど、あまり効果がなかったように思う。実験で、いろいろ不都合があったことも含め、半額で十分。技術がこなれて洗練されてからなら、それなりの金額でもいいけれど。ライブで視聴していたのは1100人ほどで、思ったより少ない印象。アーカイブの期間を当初の24時間から、1週間に伸ばしたのはよい対応だが、どれだけ視聴が伸びるのか。
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