「国定忠治」は戦後まもない1946年公開の映画で、GHQの検閲により刀を抜くことが許されなかったのだとか。忠治役の坂東妻三郎はクライマックスで刀を使っていたように見えたのは気のせい…?動く坂妻は初めて見たが、しっかりした顔だちで舞台映えする風貌。今日のイケメンとは違うなあ。
忠治に思いを寄せる芸者、お町の飯塚敏子はうりざね顔の趣のある美人だが、歯並びの悪いのが目に付いた。昔は矯正なんてなかったろうし。
浪曲は京山幸太の「国定忠治と火の車お萬」。忠治のキャラが映画と違いすぎ、折々に挟むギャグ?が好みでなく、あまり物語に入り込めなった、すまん。
鼎談は幸太、隼人と映画監督の入江悠。浪曲に興味があるという入江のリードで、2人の入門の経緯やら、現代における浪曲のありかた、文楽の字幕の是非やら。同い年だけど入門の早い隼人を幸太が「兄さん」と呼んだり、もともとはヘビメタバンドをしていた幸太が浪曲に出会って入門した経緯とか、ほほうと思うエピソードがいろいろ。けど入江さん、いずれ映画で浪曲をというのは素晴らしいけど、「京山さん」はないよ。
真山隼人の浪曲は「越の海物語」。造り酒屋の丁稚が相撲取りに入門するまでの発端だが、続く映画「雷電」とはあまり関係がないような。どうせなら、雷電の浪曲が聴きたかったが、レパートリ―になかったのだろうか。隼人の浪曲は、弱冠25歳とは思えない風格。声もよく出ているし、老成した感あり。
映画「雷電」は宇津井健が主役の太郎吉。細身のイメージだったが、学生相撲程度にはがっしりした身体は作ったのだろうか。浅間山の噴火をきっかけに出会った少女、おきんとの恋模様なのだが、この娘、たいしたトラブルメーカーだ。上田の女郎屋に売られるも、客に手籠めにされそうになるところを太郎吉に助け出される。江戸の商家に奉公に出たところ、老中の本多に見染められて奥女中になり、手掛けになりそうになるところを逃げて、一人前の力士になるまではおきんに合わないと誓って相撲修行をしている太郎吉のところへ駆け込む…。
太郎吉のブレブレなところにも付き合いきれん。上田の庄屋に目を掛けられて相撲修行をしているところ、百姓一揆に駆り出された父親に会うや、親子一緒に暮らしたいと田舎に引っ込んでしまったり、かというと、江戸に向かうおきんに「江戸で会おう」と言われて再び庄屋のもとに戻ったり。続雷電は見ずに帰った。
2020年6月29日月曜日
2020年6月27日土曜日
6月27日 はじめての動楽亭リモート寄席その四
米朝事務所による、動楽亭からのリモート寄席。会場にも30人ほどの観客がいるようで、寄席の雰囲気も感じられた。
米團治「七段目」。自身の立場にかけて立派な親の元に生まれたボンボンの辛さから噺へ。入れ事で八百屋お七の人形振りや十二代目団十郎のモノマネもあり、ちょっとバタバタした感じもあるが、芝居噺を聞いたなあという満足感。
文之助「星野屋」。湿っぽさのない、さばさばした感じ。だましだまされのどんでん返しが続くラストがテンポよく、楽しめた。
アフタートークで文之助が小唄を披露。ちょっと三味線と音程が合っていなかったような…。
米團治「七段目」。自身の立場にかけて立派な親の元に生まれたボンボンの辛さから噺へ。入れ事で八百屋お七の人形振りや十二代目団十郎のモノマネもあり、ちょっとバタバタした感じもあるが、芝居噺を聞いたなあという満足感。
文之助「星野屋」。湿っぽさのない、さばさばした感じ。だましだまされのどんでん返しが続くラストがテンポよく、楽しめた。
アフタートークで文之助が小唄を披露。ちょっと三味線と音程が合っていなかったような…。
6月27日 図夢歌舞伎「忠臣蔵」第一回
ZOOMを使って歌舞伎を上演するという試み。後学のためにと視聴してみたが、満足には程遠い出来だった。
音声が安定せず、冒頭の猿弥の口上はほとんど聞こえないし、かと思えばお囃子の音が妙に大きかったり。対話している顔世御前と師直の音量がちぐはぐで聞きづらいこと。しょっちゅうフリーズするのにも閉口した。かと思えば、スタッフが映りこんでしまったり。
作品としては、幸四郎が師直、本蔵、判官を演じるのは、面白い試みではあろうが、独りよがりな感じ。顔世御前と師直のくだりは、画面を左右に分割して別々のところで演じるのを合成した形。背景はぴったり合わさっていたが、人のやり取りはちょっと無理があった。手先を画面外にやってしまったらちょっとは違ったのかも。判官と師直のやり取りが、判官の目線で見る師直だったのは斬新だが、歌舞伎の化粧で汗が滴る顔をアップで見るのはキツかった。判官の手元の画を挿入するのだが、指が太くて、大名らしくないのも興ざめだった。アフタートークでは、猿弥の接続が切れてしまって、壱太郎の部屋に乱入するハプニング。それはそれで、面白かったが、商品としてはどうかと思う。
トーク中、猿弥も言っていたし、コメントにもあったが、これで4700円は高い。歌舞伎座と同じという背景や、拵えにコストがかかっているのは認めるけれど、あまり効果がなかったように思う。実験で、いろいろ不都合があったことも含め、半額で十分。技術がこなれて洗練されてからなら、それなりの金額でもいいけれど。ライブで視聴していたのは1100人ほどで、思ったより少ない印象。アーカイブの期間を当初の24時間から、1週間に伸ばしたのはよい対応だが、どれだけ視聴が伸びるのか。
音声が安定せず、冒頭の猿弥の口上はほとんど聞こえないし、かと思えばお囃子の音が妙に大きかったり。対話している顔世御前と師直の音量がちぐはぐで聞きづらいこと。しょっちゅうフリーズするのにも閉口した。かと思えば、スタッフが映りこんでしまったり。
作品としては、幸四郎が師直、本蔵、判官を演じるのは、面白い試みではあろうが、独りよがりな感じ。顔世御前と師直のくだりは、画面を左右に分割して別々のところで演じるのを合成した形。背景はぴったり合わさっていたが、人のやり取りはちょっと無理があった。手先を画面外にやってしまったらちょっとは違ったのかも。判官と師直のやり取りが、判官の目線で見る師直だったのは斬新だが、歌舞伎の化粧で汗が滴る顔をアップで見るのはキツかった。判官の手元の画を挿入するのだが、指が太くて、大名らしくないのも興ざめだった。アフタートークでは、猿弥の接続が切れてしまって、壱太郎の部屋に乱入するハプニング。それはそれで、面白かったが、商品としてはどうかと思う。
トーク中、猿弥も言っていたし、コメントにもあったが、これで4700円は高い。歌舞伎座と同じという背景や、拵えにコストがかかっているのは認めるけれど、あまり効果がなかったように思う。実験で、いろいろ不都合があったことも含め、半額で十分。技術がこなれて洗練されてからなら、それなりの金額でもいいけれど。ライブで視聴していたのは1100人ほどで、思ったより少ない印象。アーカイブの期間を当初の24時間から、1週間に伸ばしたのはよい対応だが、どれだけ視聴が伸びるのか。
2020年6月26日金曜日
6月26日 浪曲映画祭
浪曲の口演と浪曲にちなんだ映画の企画を渋谷のユーロスペースで。
奈々福の浪曲「赤穂義士電―俵星玄蕃」。朗々とした声で聴かせるが、あまり話に入り込めなったのはニンでなかったからだろうか。
映画「忠臣蔵 暁の陣太鼓」は中山安兵衛(後の堀部安兵衛)の森美樹の格好良さ!安兵衛に思いを寄せる三日月お勝の瑳峨三智子の粋なこと!花魁の取り合いで喧嘩をして安兵衛に仲裁されそうになる若旦那にトニー谷が出ていたり、大石主税が林与一だったりと、配役も凄かった。
奈々福の浪曲「赤穂義士電―俵星玄蕃」。朗々とした声で聴かせるが、あまり話に入り込めなったのはニンでなかったからだろうか。
映画「忠臣蔵 暁の陣太鼓」は中山安兵衛(後の堀部安兵衛)の森美樹の格好良さ!安兵衛に思いを寄せる三日月お勝の瑳峨三智子の粋なこと!花魁の取り合いで喧嘩をして安兵衛に仲裁されそうになる若旦那にトニー谷が出ていたり、大石主税が林与一だったりと、配役も凄かった。
6月24日 文菊の部屋 第四夜
落語はあまり高座にはかけないが、大切にしている噺という「心眼」。
盲人の按摩、梅喜が茅場町の薬師如来に願掛けし、目が見えるようになる。馴染みの旦那に女房のお竹が人三化け七よりもひどい醜女だと聞き、江戸一という芸者の小春と一緒になろうとするが……。文菊の演技は素晴らしいのだが、目が見えるようになったからと、コロリと態度を変える梅喜の豹変ぶりがひどい。苦しいときに助けてくれた女房の顔も見ず、他人の噂だけで捨てるか?と。自分が男前と知ってうぬぼれるのもたいがいだ。お竹はこんな男とは別れるのがいいと思う。
よもやま話では、師弟について。最近、弟子を2人とって見習い期間中だとか。住み込みは無理までも、通いにはしたいとのことで、夫人の了承をえたそうな。どんな弟子が育つのか楽しみ。師匠の圓菊には、コテンパンに自我を否定されたそう。今の時代には全く馴染まないが、一門にいい落語家がいることを考えるとそうした修行を経ないと芸は育たないのだろうか?
盲人の按摩、梅喜が茅場町の薬師如来に願掛けし、目が見えるようになる。馴染みの旦那に女房のお竹が人三化け七よりもひどい醜女だと聞き、江戸一という芸者の小春と一緒になろうとするが……。文菊の演技は素晴らしいのだが、目が見えるようになったからと、コロリと態度を変える梅喜の豹変ぶりがひどい。苦しいときに助けてくれた女房の顔も見ず、他人の噂だけで捨てるか?と。自分が男前と知ってうぬぼれるのもたいがいだ。お竹はこんな男とは別れるのがいいと思う。
よもやま話では、師弟について。最近、弟子を2人とって見習い期間中だとか。住み込みは無理までも、通いにはしたいとのことで、夫人の了承をえたそうな。どんな弟子が育つのか楽しみ。師匠の圓菊には、コテンパンに自我を否定されたそう。今の時代には全く馴染まないが、一門にいい落語家がいることを考えるとそうした修行を経ないと芸は育たないのだろうか?
2020年6月25日木曜日
6月18日 浅草演芸ホール 夜の部
19時の中入り後から。
柳勢「出来心」。間抜けな泥棒の話。なぜかあまり印象に残らない。
小ゑん「鉄の男 中」図らずも、続きが聴けたらしい。
小菊
文菊「千早ふる」「ちはやぶる」でなく「ちはやふる」というのは、知ったかぶりだからなのだろうか。
わさび「死神」 不気味さが薄く、そこらへんにいるおっちゃんのような軽い死神。「ふぅっ」と息を吹きかけてこと切れる唐突さがシュールなギャグマンガのようだった。
柳勢「出来心」。間抜けな泥棒の話。なぜかあまり印象に残らない。
小ゑん「鉄の男 中」図らずも、続きが聴けたらしい。
小菊
文菊「千早ふる」「ちはやぶる」でなく「ちはやふる」というのは、知ったかぶりだからなのだろうか。
わさび「死神」 不気味さが薄く、そこらへんにいるおっちゃんのような軽い死神。「ふぅっ」と息を吹きかけてこと切れる唐突さがシュールなギャグマンガのようだった。
2020年6月15日月曜日
6月14日 浅草演芸ホール 6月中席 夜の部
19時の中入り後から初見。客席を半分に減らしての興行だったが、客入りは3分の1未満といったところ。
柳勢、宝塚話の漫談。宝塚のトイレの男女の表示がポーズを決めてて凄いというのだが、トイレの凄さはそんなところじゃないのよ、と思う。
小ゑん「鉄の男」。鉄オタ話の導入部なのか。ゴジラのおもちゃが欲しい子どもに鉄道模型を買ってくるオタクな父。キハとかモハとか。
粋曲の小菊。間のトークが少し声が小さくて聞きづらい。湿気で三味線の調子が悪く、糸が切れてしまったのが気の毒。
文菊は「あくび指南」。待ってましたの声がかかる。間といい、風情といい、上手いねえ。15分だけど堪能した。
さん生「替り目」。マイクの加減か、酔っ払いのセリフが声大きすぎ。
仙三郎社中の仙成、仙志郎の曲芸。
わさび「明烏」。昨年11月に真打に昇進してから初めての主任だとか。3日目のトリで柄じゃないと自嘲。落語家には柄があって、白酒は毒、一之輔は乱、自分は雑と言っていたが、確かに雑というか忙しない感じ。時間に追われているような語り口で勿体ない。坊ちゃんの堅くてウブな様子は良かった。
柳勢、宝塚話の漫談。宝塚のトイレの男女の表示がポーズを決めてて凄いというのだが、トイレの凄さはそんなところじゃないのよ、と思う。
小ゑん「鉄の男」。鉄オタ話の導入部なのか。ゴジラのおもちゃが欲しい子どもに鉄道模型を買ってくるオタクな父。キハとかモハとか。
粋曲の小菊。間のトークが少し声が小さくて聞きづらい。湿気で三味線の調子が悪く、糸が切れてしまったのが気の毒。
文菊は「あくび指南」。待ってましたの声がかかる。間といい、風情といい、上手いねえ。15分だけど堪能した。
さん生「替り目」。マイクの加減か、酔っ払いのセリフが声大きすぎ。
仙三郎社中の仙成、仙志郎の曲芸。
わさび「明烏」。昨年11月に真打に昇進してから初めての主任だとか。3日目のトリで柄じゃないと自嘲。落語家には柄があって、白酒は毒、一之輔は乱、自分は雑と言っていたが、確かに雑というか忙しない感じ。時間に追われているような語り口で勿体ない。坊ちゃんの堅くてウブな様子は良かった。
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