2016年2月17日水曜日

0216 宝塚花組「For the people―リンカーン 自由を求めた男―」

轟悠のリンカーンが立派。堂々とした立ち居振る舞いに歌も低音が響く。ちょっと高音域に伸びがなかったのは不調だったのだろうか。だが、政治は基本討論なので、ミュージカルとしては見せ場にかけるかも。 柚香光が黒人活動家のフレデリック・ダグラス。まさかの褐色メークでびっくりしたが、冒頭のダンスシーンからキレのある動きで目が引き付けられたのはさすが。

2016年2月13日土曜日

0211 「元禄港唄~千年の恋の物語」

客席から登場した宮沢りえの美しさに息を呑んだ。何も映してないようなうつろな瞳に引き込まれる。 一方、猿之助は能面のような顔が怖いというか不気味だ。肌なんかつやつやしていて、段田安則の母親には見えず。 舞台を大きな椿の木が覆っていて、絶えず花がポトリ、ポトリと落ちてくるのは綺麗だけど、硬質な落下音が耳をついて落ち着かない。 美空ひばりの歌の力がすべてを覆いつくすかのよう。全体的に濃厚な芝居で、ぐったりした。

0211 二兎社「書く女」

ステージ中央に人の字型の階段がしつらえられたシンプルな作りだが、冒頭、和傘をさした着物の人々が行き交うと途端に明治の雰囲気になった。視覚的に美しく、舞台に引き込まれる。雪のシーンなど幻想的で、演出が見事。ピアノの生演奏も効いていた。 書く女=樋口一葉を黒木華。生活のためとはいえ、書かずにいられない衝動や「嫌う恋」といって恋心を封印してまでも創作にのめりこむ様が胸に迫る。 半井役の平岳大もよかった。「あと30分、20分、15分でも…」と引き留めるのを振り切る一葉の切なさが際立った。

0210 南船北馬「これっぽっちの。」

2組のカップル、それぞれに不満を抱えている苛立ちがよく描かれている。 年上妻は子育てに縛られて家から出られない。それを引きこもりと非難しつつ、母親は常に子どもと一緒にいるべきと考え、育児を手伝おうとはしない夫。すれ違う会話がリアルだ。もう一組の20代女とアラフォーのフリーター男はどこで出会ったのか疑問だし、ギャルがさえないフリーターに惚れるとは信じがたいのだが、それぞれはどこにでもいそう。 後半、スーパーマンの格好をしたフリーターと年上妻が2人でいるあたりからよく分からなくなった。サラリーマンは素肌にベスト・蝶ネクタイ姿でキャバクラらしきところでギャル女と会っているし。幼いころに家を出た年上妻の母親にギャルが似ているという設定も消化不良に感じた。

0209 「地獄八景亡者戯」

米朝一門の噺家が芸達者ぶりを発揮して、さながらかくし芸大会のよう。 南光は閻魔役のほか、竹本義太夫を演じて義太夫節を披露し、塩鯛は狂言風に名乗りをあげる。一番驚いたのは吉弥の吉沢あやめ。女形の色気があった。美輪明宏の物まねで「ヨイトマケの唄」も上手かった。 芝居としてはテンポが悪く、間延びしたところも。主人公のざこばがしばしばセリフを噛んだり、落語家同士のやり取りで崩れそうになるのを三林京子が引き締めた。 元OSKの桜花昇ぼるの出雲阿国が華やか。左半身は男装、右半身は女装での一人でのダンスも魅せた。 ISSAはかったるそうに踊っていて精彩がない。役作りなのかもしれないが、桜花と並ぶと見劣りした。

2016年2月6日土曜日

0206 烏丸ストロークロック「国道、業火、背高泡立草」

休憩をはさんで2時間40分の芝居で飽きることがなかったのはたぶん役者さんの力。だが、前半部は主人公が何で出身の町に帰ってきたのかが分かららず、もやもや。 後半は消費社会への皮肉は感じられたが、それで?主人公が2回にわたって首を吊ろうとし、故郷の町に復讐に来たのか、そうでないのか、何をしたいのか不明。作品を通して何を伝えたいのかよく分からなかった。

0204 かあちゃん

藤山直美が大阪弁のちゃきちゃきかあちゃんで、笑わせてくれる。 中村雅俊は茫洋とした感じの元侍で、誠実そう。 子役の年少のほうはかわいいのだけど、何を言っているのか分からない。 最終場、大きな桜の木が見事。

0205 宝塚 雪組「るろうに剣心」

剣心の早霧せいながアニメのキャラクターを見事に再現。人切り時代のシリアスさと剣を封じてからのコミカルなキャラクターの演じ分けもはっきり。何より、殺陣がシャープでキレがよくて見ごたえあり。刀を振り回しての群舞や飛んだり跳ねたりと、男性にも引けを取らない。 オリジナルキャラの加納惣三郎が得な役だ。望海風斗がクールでニヒルな悪役を好演。ソロの見せ場も多いし。 最後に短くショー。早霧と咲妃みゆが黒のタキシードとドレスでパドトゥ。本編では恋人らしいからみのなかった分を補うようなムードのあるダンス。

0203 宝塚花組「Ernest in Love」

英国の貴族を描いた、華やかでコミカルな宝塚らしい作品。 アーネスト(ジャック)の明日海りおは端正な顔立ちが映えるが、コミカルな演技がちょっと硬いか。 アルジャノンの芹香斗亜のほうがのびのび演じているように感じた。 最後に短いショー。長身で手足の長い芹香と並ぶと明日海が見劣りしてしまう。

2016年2月2日火曜日

0202 iaku「仮面夫婦の鏡」

黙って整形手術をした妻に腹を立てた夫が整形、しかも劣化させて。突飛な設定に、ちょっとずれた会話が可笑しい。顔じゃなくて内面を愛しているといいつつ、顔が変わったことに腹を立てる夫。自分が受け入れたのだから、妻にも新しい顔を受け入れろというけど、報復のために整形までしてしまう夫には同意しかねる。

2場では、数ヶ月後、妊婦モデルをする妻の絵が喫茶店に飾られているのが許せない夫。男の独占欲?男と女の価値観がすれ違うのが、あるある!という感じでよく描かれている。
トータルで50分ほどの芝居だったが、楽しめた。

0131 振り袖講談「転がる星~The star who falls down~」

講談形式で小話を披露する試み。オチのない話やエロもあり、爆笑というより、クスリとする。船戸香里が芸達者。

0131 演劇ラボラトリー 上田一軒プロジェクト「花里町プレタポルテ」

素人による芝居ということで、セリフがぎこちなかったりするのだが、ギリギリ鑑賞に耐える水準だったのは、脚本と演出が良かったからだろうか。舞台は衰退する縫製向上の町。海外生産に切り替えようとする大手アパレルが、下請けの底力を知る。ごくごくありがちな話ながら、機械てはなく服を扱うのが目新しく、面白く見た。