2015年7月26日日曜日

7月26日 歌舞伎鑑賞教室

「歌舞伎の見方」

萬太郎が実演を交えて、歌舞伎独特の演出や表現を解説。ツケに合わせて、侍と娘の走り方の違いや、見栄をする様子、黒御簾音楽についてなど。大太鼓で雨や水、合戦の様を表現するのが面白かった。竹本について、「三味線の伴奏に合わせて…」と言うので、歌舞伎ではそうなのかと思ったり。


「義経千本桜」

渡海屋から大物浦。菊之助、梅枝とも好演だったが、ともに大物浦のほうが良かったか。菊之助の銀平はシュッとしていて骨太さに欠けるし、梅枝のお柳は夫自慢のくだりを引っ張りきれずやや冗長に感じた。

典侍の局は気品があり、知盛の敗北を知った絶望や安徳天皇に自害を勧める無念さが胸に迫る。残念だったのは、せっかくの熱演の隣で安徳天皇が眠っちゃいそうになっていたこと。自分のセリフになると上手にしゃべっていたけど、閉じそうになるまぶたをなんとか開こうと頑張ってるので、ハラハラした。客席からは笑いも出てて、雰囲気台無し。

菊之助の知盛は、白装束の立派さはさることながら、手負いの鬼気迫る様がすごい。下瞼に赤くラインを入れていたので、目が血走っているように見えた。最期は、碇を投げて綱が引ききってから身を投げるまでの間がちょっと長すぎ?と思ったけど、気迫は十分。立派な知盛だった。

…が。同世代で知盛を演じられる役者は他にもいると思う。逆に、同世代で立女形をやれるのは菊之助だけなのだから、ぜひとも、女形で活躍していって欲しいと改めて思った。

2015年7月24日金曜日

7月20日 夏休み文楽特別公演 第3部

「生写朝顔話」 嶋田宿笑い薬の段 中は芳穂大夫と清丈、次は文字久大夫と藤蔵。 見どころは笑い薬のせいで笑いが止まらなくなる祐仙。勘十郎がこれでもか、とばかりに全身で笑い転げる。 宿屋の段 切は咲大夫と燕三に琴の清公。 盲目の朝顔を遣う紋壽が素晴らしい。最前列だったので、琴を奏でるところが間近に見られて、細かい動きに感じ入った。 でもさ、目の見えない朝顔はともかく、阿曽次郎は恋人の姿を見てもわからんのか。 続く大井川の段で朝顔の目が見えるようになったところで幕。2人の再会を見届けられないので、なんかもやもやが残った。

7月20日 夏休み文楽特別講演 第2部

「生写朝顔話」 宇治川蛍狩の段 三輪大夫や南都大夫、始大夫などによる掛け合いで三味線は喜一郎。 人形は一輔の深雪に玉男の阿曽次郎。深雪が一目惚れしちゃう二枚目なのに、 なんだかぬぼーっとした男に見える。 真葛が原茶店の段は松香大夫と清友、岡崎隠れ家の段は靖大夫と清馗、千歳大夫と富助。 阿曽次郎は深雪の縁談の相手なのに、偽物が現れて会えないって…。 三枚目の祐仙は勘十郎の得意とするところ。 明石浦船別れの段 津駒大夫と寛治、琴に燕二郎。 寛治は相変わらず、力が入っていないようなのに音がちゃんとしているのが不思議だ。 津駒大夫は汗だくの熱演。 恋人の小舟に乗り移っちゃう深雪。そのまま駆け落ちしようとかって、まったく無茶だ。 薬売りの段 咲甫大夫と錦糸。 咲甫大夫はこの頃こういうチャリ場が多いような。 浜松小屋の段 呂勢大夫と清治。 深雪と浅香のくどきがいいのはもちろんなのだが、輪抜吉兵衛のようなならず者のどすの利いた声もよかった。 骨太な時代物なんかも聞いてみたいと思わせる。 人形は朝顔が蓑助になり、たっぷり魅せた。

2015年7月19日日曜日

7月18日 松竹大歌舞伎 中央コース

「河内山」 橋之助の河内山はすきっとしてハマってる。横顔がいいのと、坊主頭が似合うのがいい。口跡は、仁左衛門のがよかったなぁと思ってしまったが。 浪路の芝のぶが可愛い。出番が少ないが、もっと見たい。 「藤娘」 児太郎はきれいだけど、媚を売ったように見えるのは姿勢が悪いからか。猫背っぽいのか、首を傾げる仕草が安っぽくてがっかり。 国生の「芝翫奴」は観ずに退席した。

2015年7月18日土曜日

7月12日 七月大歌舞伎 夜の部

「絵本合法衢」 もうこれは仁左衛門祭り。大学之助と太平次というタイプの違う悪役ではじめから終わりまで悪徳の限りを尽くす仁左衛門を堪能。極悪非道っぷりが、いっそすがすがしい。 うんざりお松の時蔵、太平次女房の秀太郎など、周りの役者さんも達者な人ばかりで大満足。 米吉・隼人の若手2人も、若々しく美しい。 番頭伝吉の松之助がセリフに詰まってプロンプの助けを借りる場面も。最近、セリフがスムースに出ないことがたびたびあるような気がする。心配。

2015年7月8日水曜日

7月5日 七月大歌舞伎 昼の部

「御存鈴ヶ森」 孝太郎の白井権八に錦之助の幡隋院長兵衛。立ち回りが延々と続き、これは立ち回りを楽しむ芝居なのかと。 「雷船頭」 時蔵の女船頭が色っぽい。雷様もコミカルで楽しい。 「ぢいさんばあさん」 この芝居は何度か見ているけれど、涙ぐんでしまったのは初めて。仁左衛門の伊織と時蔵のるんの夫婦が互いを思う気持ちが伝わってきて。 2人でじゃらじゃらするのも微笑ましい、おしどり夫婦ぶり。年老いてからの、37年ぶりの再会には万感の思いがあるはず。 歌六の下嶋は嫌な奴っぷりがすごくて、憎たらしいほど。 若夫婦の隼人と米吉も初々しくていい風情。