(11月16日の再観劇後加筆)歌舞伎では袖萩祭文を見たことがあったけど、通しで見るといろいろ発見が。ただ、袖萩も傔仗も、恋絹も岩手も死に損?という感じで釈然としない気分…。部分部分は感動的なのだけど、ストーリーに一貫性がないというか、いろいろわけがわからなくてもやもやする。貞任と宗任が主役なのか、敵役なのかも混乱。けどなんか、もう一度見たくなる。
朱雀堤の段
咲穂大夫と清志郎。生駒之助と駆け落ち中の恋絹。おなかに子どもがいるので、この世では生駒之助と添い遂げるが、来世では八重幡姫にお返しするとか、理屈がよくわからん。
環の宮明御殿の段
ひとつの段を4人で語り分けるので、1人あたり15~20分程度?忙しなくて物足りない。もうちょっとじっくり聞いてみたいのだが。
袖萩祭文を呂勢大夫と清治。持病の癪で苦しむ袖萩に自分の着物を脱いで着せかけるお君の健気さが涙を誘う。が、子どもを語る時の声がちょっとかすれ気味で、聞き苦しく感じた。「お前があんまり寒そうで」とか、いろいろ聞かせどころが多いのに。
で、納得できないのが、自害した袖萩と傔仗がずいぶん長いこと生きているのだよ。武士の傔仗はまあ、超人的な力を発揮したのかもしれないが、袖萩なんて、喉をついているのに。いったん舞台をはけてから再登場して、夫である貞任と最後の別れまでしちゃう(そのわりにやり取りはあっさり)なんて。ぶっ飛びすぎていてもうわけがわからない。
道行千里の岩田帯
三輪大夫を筆頭に太夫5人に三味線6人。華やかな舞踊の1幕。生駒之助を遣った勘弥が良かった。物語がかわいそうだったり、むごかったりするので、ちょっと一息。
一つ家の段
中を咲穂大夫と宗助、奥を英大夫と清介。再登場の咲穂大夫。1つの演目でこういう配役はなぜだろう。ちょっと不思議。
安達原の鬼婆伝説がモチーフ。旅人の喉笛にかみついて殺して金銭を奪ったり、腕をちぎったりとスプラッタ満載。ここに訪ねてくる恋絹&生駒之助。苦しむ恋絹のために薬を買いに行くと生駒之助を連れ出すので、ターゲットは生駒之助かと思いきや、一人戻ってきた岩手が恋絹に襲いかかる。誘拐した環の宮の声を回復させるため、胎児の血が必要だとかで、恋絹の腹を割いて血にまみれた胎児を取り出したり(!!)、息つくのを忘れるほどの急展開でついて行くのがやっと。
かと思えば、環の宮は替え玉で、声が出ない病も仮病と分かる。まさかの恋絹は無駄死に?
匣の内侍に化けていた新羅三郎義光が正体を現すとき、女方の人形から立役の人形に持ち替えて、なぜか衣装まで変わっていて、もはや同一人物に見えず…。これ、歌舞伎ならしどころのあるシーンなのではないだろうか。
失敗を悟って自害する岩手。切腹したうえに、刀を加えて谷底に身を投げる。男か。
谷底の段
なぜか、貞任、宗任、義光らが勢ぞろいして、見えを切る。見るには華やかだが、話としては???探していた十握の剣が見つかったからと生駒之助の勘当が解かれるのだけど、それ、恋絹の手柄じゃないのか。
0 件のコメント:
コメントを投稿