2014年10月31日金曜日

10月18日 十月大歌舞伎 夜の部

「寺子屋」
  
仁左衛門の松王丸に玉三郎の千代、勘九郎の源蔵と七之助の戸浪とあっては、観に行かずにいられようか…というわけで、東京まで遠征。

勘九郎の源蔵は、教えられたことを忠実になぞるのに精いっぱいといった感じ。それが、忠義に苦悩する様子と重なると言えなくもないのだが、やや演技が硬いように感じた。もう2、3回やったら良くなりそう。
七之助の戸浪は、源蔵との絆が感じられていい感じ。
仁左衛門の松王丸は期待通り。玉三郎の千代が、母の悲哀を存分に出していて、夫婦のきずながより伝わったと思う。

ひとつ残念だったのは大向こう。いろは送りの前に「待ってました」はないんじゃないだろうか。


「道行初音旅」

梅玉の忠信に藤十郎の静御前。登場時、一瞬かわいい、と思ってしまったのだが、見続けているとやはりしんどいなあ。セリフを一部忘れたらしく、後見が教えていたのだが、一度では聞き取れなかったようで繰り返していたのが丸々聞こえてしまって。初日ならともかく、残念な感じ。


「鰯売恋曳網」

初めて見る演目だったけど、ほのぼのしていい話や。猿源治の勘九郎も、寺子屋とは打って変わってのびのび演じているようで。こういうコミカルな役は勘三郎の面影を感じるなあ。傾城蛍火の七之助との息もぴったり。弥十郎のなむあみだぶつが、しっかり脇を固める。

蛍火を囲む傾城たちに、巳之助、新悟、児太郎、虎之助、鶴松。巳之助の薄雲が意地悪な女って感じで予想外に良かった。

最後、花道を引っ込むところで観音像に感謝を…と言いながら涙ぐんでいたのは、勘三郎のことを思い出していたのかしら。ハッピーエンドで、幸せな気分で劇場をあとにした。

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