「清水」
萬斎が主、その息子の裕基が太郎冠者。まだ、10代の子どもなので、詞の調子が時々緩むのが、ちと聞き辛い。一所懸命なのは分かるのだけど…。逆に、大人の狂言師の訓練された声というのは、何気なく聞こえて、実は緩みがなく、ピンと張っているのが凄いことなのだと。
話は馬鹿馬鹿しく、面白い。
「朝比奈」
深田博治の朝比奈、高野和憲の閻魔。閻魔が、貧乏たらしくて、頼りない感じが、おかしい。朝比奈に転がされてしまうなど、コミカルな動きが多いのも面白かった。
「連歌盗人」
野村万作と萬斎の、こちらも親子競演。盗みに入られる何某が石田幸雄。
何度も同じことを繰り返して言うのが、狂言のおかしみなのだろうが、ちょっと冗長に感じた。終演時間が予定よりも遅くなっていたので、余計そう感じたのかも。
2013年7月28日日曜日
2013年7月23日火曜日
7月某日 七月大歌舞伎 昼の部
「保名」
幕見でこの演目のみ鑑賞。
遠くから見たせいもあって、仁左衛門のシュッとした美しい姿にほれぼれ。
けど、踊りの名手といわれる人たちと比べると、手や足の動きにやや硬さが感じられた。
曲がいいとう評判なのだが、延寿太夫の清元が息苦しい感じで、聴きづらい。曲を楽しむという感じではない、というか、舞台にも集中できなかったよ…orz。
幕見でこの演目のみ鑑賞。
遠くから見たせいもあって、仁左衛門のシュッとした美しい姿にほれぼれ。
けど、踊りの名手といわれる人たちと比べると、手や足の動きにやや硬さが感じられた。
曲がいいとう評判なのだが、延寿太夫の清元が息苦しい感じで、聴きづらい。曲を楽しむという感じではない、というか、舞台にも集中できなかったよ…orz。
2013年7月21日日曜日
7月20日 夏休み文楽特別講演 第1部 親子劇場
「金太郎の大ぐも退治」
親子劇場だけあって、客席の半分くらいは子供。鬼や大ぐもが出てくるところでは、結構怖がっていた。義太夫が文語調だったので、言葉がわからないかな…と心配したけれど、ビジュアルだけでも話の筋は分かるようで、特に問題はなさそう。
子ども向けを意識してか、人形さんが主遣いも黒衣で顔も隠していた。若手が多かったせいか、蜘蛛や鬼の動きがややぎこちなかったように感じた。
スモークが焚かれて大ぐもが現れたり、小さな蜘蛛が何匹も降ってきて金太郎に襲いかかったり、と仕掛けが満載で、見ていて面白い。最後は宙乗りで、人形だけが乗っていくのかと思っていたら、主遣いさんが1人で人形を遣いながら吊られて行ったのでびっくり。しかも、2人同時に。
「瓜子姫とあまんじゃく」
口語体で語るものなので、内容は分かりやすいけど、ちょっと違和感も。文末が「瓜子姫は…であった」「…だった」というのが続くのが、くどいというか、リズム感が悪いというか。
瓜子姫に化けたあまんじゃくが、めちゃくちゃに機を織ったり、本性を現して形相が変わったりするところが面白かった。妖怪も、一つ目の山父とか、子どもたちが怖がってるのが分かった。
嶋太夫が休演で、代役が呂勢大夫。思いがけずに聴けることになって、ちょっと得した気分。最初のほうこそ、声が出ていないようだったけど、途中からはいつもの美声を響かせてくれて満足。途中、舞台のほうをちらちらしながら演じていたのが、いつもと違って興味深かった。普段なら、じっと正面を見て演じている。急な代役で勝手が悪かったのか、語りがなくて、三味線と人形の動きだけで進むシーンが結構あったので、間合いを測っていたのか。
親子劇場だけあって、客席の半分くらいは子供。鬼や大ぐもが出てくるところでは、結構怖がっていた。義太夫が文語調だったので、言葉がわからないかな…と心配したけれど、ビジュアルだけでも話の筋は分かるようで、特に問題はなさそう。
子ども向けを意識してか、人形さんが主遣いも黒衣で顔も隠していた。若手が多かったせいか、蜘蛛や鬼の動きがややぎこちなかったように感じた。
スモークが焚かれて大ぐもが現れたり、小さな蜘蛛が何匹も降ってきて金太郎に襲いかかったり、と仕掛けが満載で、見ていて面白い。最後は宙乗りで、人形だけが乗っていくのかと思っていたら、主遣いさんが1人で人形を遣いながら吊られて行ったのでびっくり。しかも、2人同時に。
「瓜子姫とあまんじゃく」
口語体で語るものなので、内容は分かりやすいけど、ちょっと違和感も。文末が「瓜子姫は…であった」「…だった」というのが続くのが、くどいというか、リズム感が悪いというか。
瓜子姫に化けたあまんじゃくが、めちゃくちゃに機を織ったり、本性を現して形相が変わったりするところが面白かった。妖怪も、一つ目の山父とか、子どもたちが怖がってるのが分かった。
嶋太夫が休演で、代役が呂勢大夫。思いがけずに聴けることになって、ちょっと得した気分。最初のほうこそ、声が出ていないようだったけど、途中からはいつもの美声を響かせてくれて満足。途中、舞台のほうをちらちらしながら演じていたのが、いつもと違って興味深かった。普段なら、じっと正面を見て演じている。急な代役で勝手が悪かったのか、語りがなくて、三味線と人形の動きだけで進むシーンが結構あったので、間合いを測っていたのか。
2013年7月19日金曜日
7月15日 七月花形歌舞伎 昼の部
「加賀見山再岩藤」
松緑が大活躍。岩藤よりも又助メインという感じだが、ほぼ出ずっぱりの熱演。又助のような善意の人(?)のほうがしっくりくる気がする。
愛之助の望月弾正は悪役が楽しそう。出番は少なく感じたが、存在感は十分。
菊之助は尾上のような、真面目な役はいいのだが、お柳がちょっと物足りない。もっと悪女らしさが見たかった。
壱太郎の梅の方、出てきてすぐに頃は殺されちゃって、あまりの呆気なさに呆然…。
松緑が大活躍。岩藤よりも又助メインという感じだが、ほぼ出ずっぱりの熱演。又助のような善意の人(?)のほうがしっくりくる気がする。
愛之助の望月弾正は悪役が楽しそう。出番は少なく感じたが、存在感は十分。
菊之助は尾上のような、真面目な役はいいのだが、お柳がちょっと物足りない。もっと悪女らしさが見たかった。
壱太郎の梅の方、出てきてすぐに頃は殺されちゃって、あまりの呆気なさに呆然…。
2013年7月15日月曜日
7月14日 七月花形歌舞伎 夜の部
「東海道四谷怪談」
初役の菊之助のお岩が、鬼気迫る演技。伊右衛門や伊藤親子の企みを知って、恨みに堕ちていくところなど、背筋がゾッとした。いままで観た「四谷怪談」のなかで一番怖かった。過去に観たものは、一番怖いはずのシーンで笑いが起きてしまうことがよくあったのだけど、怪談はちゃんと怖がりたい。
血の道の妙薬と偽られた薬を、ありがたがって呑むところ。紙包みを開いて掌に粉薬を載せて口に運び、掌に残った薬を湯呑の中に払い落とし、さらに、包紙に僅かに残った分もはたき落として、湯呑みを回して溶かしてから、押し頂くように飲み干す…という手順は、亡き勘三郎が得意としていたやり方と同じようなのだか、くどいとは思わなかった。手順は同じでも、淡々としていたのがよかったのか。
自分の顔が醜く崩れてしまったことを知るのは、以前観たものは、伊藤家に挨拶に行こうとして、身繕いのために鏡を見て…だったと思うのだか、今回は宅悦に「顔か変わった」と聞かされてから。髪を梳いてごっそり抜けるのはおなじだったが、血が滴ることはないなど、よく見る型とは違うところも。音羽屋の型なんだろうか。
伊右衛門は染五郎。登場時から酷い悪人ぶりで、こんな男に関わったら怨みもするよなあ、と納得。ただ、色悪の「色」の部分はあまり感じられず。お梅がなんであんなに恋い焦がれてしまうのか、よくわからない。
松緑の直助。台詞回しがぎこちなく感じた。テンポが悪いのか、たまに突っかえるようなところもあった気がする。痩せたのか、顔が小さくなっていたのに驚いた。シュッとしすぎていたので、小悪党にそぐわなかったのかも。
お袖の梅枝、与茂七と地獄で思いがけず再開し、文句を言いあったり、仲直りしてジャラジャラしたりするのが可愛らしい。
お梅の右近は、声は可憐でいいのだか、顔つきや所作がたまにゴツくなるのが惜しい。そんなに重たい役ではないと思うのだが、冷静に考えればこの悲劇の大元はこの娘のワガママなんだよな〜と思うと複雑。蜷川幸男の映画で森下愛子が演じたエキセントリックなほどに、とは言わないまでも、もうちょっとこの娘の罪深さにフォーカスしてもいいのでは。
初役の菊之助のお岩が、鬼気迫る演技。伊右衛門や伊藤親子の企みを知って、恨みに堕ちていくところなど、背筋がゾッとした。いままで観た「四谷怪談」のなかで一番怖かった。過去に観たものは、一番怖いはずのシーンで笑いが起きてしまうことがよくあったのだけど、怪談はちゃんと怖がりたい。
血の道の妙薬と偽られた薬を、ありがたがって呑むところ。紙包みを開いて掌に粉薬を載せて口に運び、掌に残った薬を湯呑の中に払い落とし、さらに、包紙に僅かに残った分もはたき落として、湯呑みを回して溶かしてから、押し頂くように飲み干す…という手順は、亡き勘三郎が得意としていたやり方と同じようなのだか、くどいとは思わなかった。手順は同じでも、淡々としていたのがよかったのか。
自分の顔が醜く崩れてしまったことを知るのは、以前観たものは、伊藤家に挨拶に行こうとして、身繕いのために鏡を見て…だったと思うのだか、今回は宅悦に「顔か変わった」と聞かされてから。髪を梳いてごっそり抜けるのはおなじだったが、血が滴ることはないなど、よく見る型とは違うところも。音羽屋の型なんだろうか。
伊右衛門は染五郎。登場時から酷い悪人ぶりで、こんな男に関わったら怨みもするよなあ、と納得。ただ、色悪の「色」の部分はあまり感じられず。お梅がなんであんなに恋い焦がれてしまうのか、よくわからない。
松緑の直助。台詞回しがぎこちなく感じた。テンポが悪いのか、たまに突っかえるようなところもあった気がする。痩せたのか、顔が小さくなっていたのに驚いた。シュッとしすぎていたので、小悪党にそぐわなかったのかも。
お袖の梅枝、与茂七と地獄で思いがけず再開し、文句を言いあったり、仲直りしてジャラジャラしたりするのが可愛らしい。
お梅の右近は、声は可憐でいいのだか、顔つきや所作がたまにゴツくなるのが惜しい。そんなに重たい役ではないと思うのだが、冷静に考えればこの悲劇の大元はこの娘のワガママなんだよな〜と思うと複雑。蜷川幸男の映画で森下愛子が演じたエキセントリックなほどに、とは言わないまでも、もうちょっとこの娘の罪深さにフォーカスしてもいいのでは。
2013年7月14日日曜日
7月13日 「ドリアン・グレイ」
マシュー・ボーンの作品中、最もセクシーというだけあって、絡みの多い、官能的な振りが多い。衣装も、パンツ一枚とか、下着姿そのものだったり、露出の多いものだったり、でほとんど半裸…。振りはコンテンポラリー風。腕の動きが多かったのと、アンバランスな姿勢など不調和の美というか。休憩を挟んて約2時間、速いテンポで物語が進むので、飽きさせることがなかった。
UKキャストの方を観たのだけど、主役のドリアン、カメラマン、ドッヘルベンガーのほかはすべて日本人。この点がこれまでのマシュー作品とちがう。日本人ダンサーは総じて踊りが硬いように感じた。余裕がないというか。マシューの舞台は、演技力も必要なのだか、表情が控えめな日本人は無表情に見える点も良くない。乱交のシーンとか、色気のある表情の英国キャストと全然違った。
オール日本人キャストはどうだったんだろう。興味はあるけど、見ると気恥ずかしくなってしまうかも。どこかで、触りだけでも見られないかな。
とはいえ、主演のリチャード・ウインザーは前回の「スワンレイク」の時も見たけれど、あまり好きなダンサーではないので、感動はイマイチだった。裸同然で踊るので、身体付きって大事だと思う。(つまり、好みの身体でなかった。お腹のたるみが…)周囲を虜にするほどの美形でもないし(少なくとも私には通じないし)。
カメラマン役のクリストファー・マーニーはワイルドな感じがよかった。ダンスもセクシーで素敵。
終演後、日本キャストの大貫勇輔と主演2人のトークショーがあった。知らずに行ったので、ちょっと得した気分。内容はそんなに面白くなかったけど。客席からの質問で「あなたにとってのインモラルとは」の答えが「他人が不快に思うことはしない」とか。
役作りで、原作との違いについて聞かれ、リチャードが「原作のドリアンは美を強く意識しているけど、自分は虚栄心を強く出した」と言っていたのに納得。
UKキャストの方を観たのだけど、主役のドリアン、カメラマン、ドッヘルベンガーのほかはすべて日本人。この点がこれまでのマシュー作品とちがう。日本人ダンサーは総じて踊りが硬いように感じた。余裕がないというか。マシューの舞台は、演技力も必要なのだか、表情が控えめな日本人は無表情に見える点も良くない。乱交のシーンとか、色気のある表情の英国キャストと全然違った。
オール日本人キャストはどうだったんだろう。興味はあるけど、見ると気恥ずかしくなってしまうかも。どこかで、触りだけでも見られないかな。
とはいえ、主演のリチャード・ウインザーは前回の「スワンレイク」の時も見たけれど、あまり好きなダンサーではないので、感動はイマイチだった。裸同然で踊るので、身体付きって大事だと思う。(つまり、好みの身体でなかった。お腹のたるみが…)周囲を虜にするほどの美形でもないし(少なくとも私には通じないし)。
カメラマン役のクリストファー・マーニーはワイルドな感じがよかった。ダンスもセクシーで素敵。
終演後、日本キャストの大貫勇輔と主演2人のトークショーがあった。知らずに行ったので、ちょっと得した気分。内容はそんなに面白くなかったけど。客席からの質問で「あなたにとってのインモラルとは」の答えが「他人が不快に思うことはしない」とか。
役作りで、原作との違いについて聞かれ、リチャードが「原作のドリアンは美を強く意識しているけど、自分は虚栄心を強く出した」と言っていたのに納得。
2013年7月13日土曜日
7月7日 七月大歌舞伎 夜の部
「曽我物語」
新歌舞伎らしい、理屈をこね回した話。父の敵討ちに加わらない理由がよく分からないので、兄弟の手助けくらいしてやれよ、と思ってしまった。
我當と進之介の親子共演なのだか、格の違いが歴然。進之介、血気にはやる若者ははまり役なのだが。
「一条大蔵鐔」
仁左衛門の一条大蔵、アホなときすごく可愛いのだか、「身替座禅」の右京のほうが私は好き。でも、品のあるバカ殿ぶりに客席の空気が緩む。後段、凛々しくなってかららのほうは、本領発揮。ほれぼれする男ぶり。
秀太郎の巴御前、吉弥と、息のあった座組で、安定感があった。
思いがけず、腰元の1人が芝のぶで目の保養。
新歌舞伎らしい、理屈をこね回した話。父の敵討ちに加わらない理由がよく分からないので、兄弟の手助けくらいしてやれよ、と思ってしまった。
我當と進之介の親子共演なのだか、格の違いが歴然。進之介、血気にはやる若者ははまり役なのだが。
「一条大蔵鐔」
仁左衛門の一条大蔵、アホなときすごく可愛いのだか、「身替座禅」の右京のほうが私は好き。でも、品のあるバカ殿ぶりに客席の空気が緩む。後段、凛々しくなってかららのほうは、本領発揮。ほれぼれする男ぶり。
秀太郎の巴御前、吉弥と、息のあった座組で、安定感があった。
思いがけず、腰元の1人が芝のぶで目の保養。
「杜若艶色紫」
福助の悪女は結構好きなのだか、蓮っ葉な凄みはあるのだが、あんり美しさは感じられなかった。蛇遣いだけあって、爬虫類的な粘着質な怖さというか。
橋之助、ヒーローもいいが、悪役もいいなあ。何を観てもハズレがないって、凄いことだ。
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