2011年7月18日月曜日

TAIJI

TAIJIが亡くなった。嘘みたいだ。
サイパンに行く飛行機のなかで暴れて拘束され、自殺を図ったというニュースは耳にしていたが、また復活してくると、どこかで思っていた。なぜあんなことをしたのか、何があったのか。詳しいことは分からないけれど、破滅的にしか生きられなかった人なのかなあと思う。
せっかく手に入れかけた成功を、直前で手放してしまったり、自分の身体をわざと痛め付けているかのように振る舞ったり。Yoshikiもたいがい破滅的だが、どこか演じているようで、ほんとうに破滅することはなかった。少なくとも、これまでのところは。破滅的に生きて、本当に死んでしまうなんて、寂しすぎる。

私はTAIJIのベースが大好きだし、Xの楽曲はTAIJIのベースでないと魅力がないくらいに思ってる。だから、去年の日産スタジアムのライブは、全体としてはひどかったけど、TAIJIの演奏を聴けたことは本当によかったと思う。でも、あれが最後かと思うと、物足りない。あんなに才能があって、格好いいミュージシャンが、十分に力を発揮できないなんて、悲しい。その責任の一端(大半?)が本人にあるとしても。

今時、夭逝するロックミュージシャンなんて、伝説にもならない。けれど、そんな風にしか生きられないから、こんな結末を招いてしまったのかもしれない。

2011年7月17日日曜日

7月16日 七月大歌舞伎 夜の部

「菅原伝授手習鑑」

愛之助の梅王丸、孝太郎の桜丸に進之助の松王丸。役の格は松王丸のほうが上なんだろうけど、見せ場は梅王丸のほうが多くて、嬉しい。こういう、時代物の、THE歌舞伎って感じの荒事をちゃんと魅せるって、案外難しいのではないだろうか?型どおりにやれば、カタチになっちゃうものに、気持ちを感じさせるって、なかなかないような気がする(って褒めすぎ?)
まあ、最前列で、すぐ目の前だったから、いろいろよく見えて感動しただけかもしれないけど。これまで、車引は何度も観たけど、正直、あまりいいと思ったことがなかったので、今回は出色だった。
松王丸の進之助、なんだか力が入りすぎてないか?手足がフルフルしてたり、ちょっと幼く見える。顔が全体的に真ん中に寄ってるので、子どもっぽい顔に見えるせいかな。


「伊勢音頭恋寝刃」

通しで観るのは初めて。万次郎の人のよい(けど間抜けな)若旦那ぶりで、話の筋がより分かりやすくなった。

万次郎と万野を演じた秀太郎が、正反対の二役を好演。はんなりした万次郎のかわいらしさと、万野の憎たらしいほどの意地悪ぶりが、一人の役者から出てくるって、凄い!

仁左衛門の貢は、期待を裏切らない格好よさ。前半で万次郎を助ける頼もしさが見られて、余計に男振りが印象づけられたように思う。
凄惨な殺しの場面も、息を呑む美しさで…(最近、殺しばかり観ているような…)

お鹿の弥十郎が!!なんだろう、健気?大きい身体でなんとか可愛らしく見せようとしていじらしいのだが、やっぱりかわいくないのが(だって、あのガタイだよ?)可哀想で思わず笑ってしまう。お鹿って、結構しどころがあるというか、印象に残る得な役だと思うけど、ここまでのものはなかなかないでしょう。

愛之助の林平は、ニンに合って、いい感じ。家来ながら、秀太郎の万次郎を諭すところは、義父子の関係を垣間見るようで、思わずニンマリしちゃった。

時蔵のお紺は、さすがの美しさなのだが、前半の万次郎の件が加わった分、印象が薄くなってしまったのが残念。

梅枝はお岸でも好演。同年代の役者のなかでは、女形として危なげがない(って、変な言い種だけど、ちゃんと女に見えるという意味で)。顔もうりざねがおでキレイだし。

7月16日 七月大歌舞伎 昼の部

「播州皿屋敷」

浅山鉄山(愛之助)の悪っぷりがイイ。無理やりお菊に言い寄るところとか、お菊をいびりたおして、意地悪そうにほくそ笑む表情とか、堪らない。

縄で縛って吊るしたり、竹で叩いたり、水攻めにかけたりと、まんまSMやん(笑)。こういうシーンに興奮するって、どういう心理なんだろう…(?д?)
惜しむらくは、苛められるお菊があんまり憐れっぽくないんだな。美しさのせい?でも、他の役者もあんまり想像できない。誰なら、いいんだろう。


「素襖落」

さすが、三津五郎!踊りで魅せる…なのだが、途中、意識が…(スミマセン)

巳之助が次郎冠者で共演してたけど、どこかぎこちない感じ。三郎吾をやった萬太郎がのびのびした踊りでよかった。姫御寮の梅枝は完成度高し。


「江戸唄情節」(タイトル覚えにくいよ。三味線やくざでいいじゃん)

ええ話や〜。
冒頭、「芸のためには、やくざから完全に足を洗え。そのためにはやくざと関わりのある女とも別れなさい」「芸をとるか、女をとるかだ」と諭すおふさ(秀太郎)の格好よさ。
弥市とお米がじゃらじゃらするのもイイし(美男美女だからね)、何より江戸言葉で啖呵をきる弥市が格好いい。(最初でてきたときは、一瞬違和感があったのだけど、たぶん、大阪の劇場で仁左衛門なのに…という戸惑いのせい)

後半は、美しい夫婦愛にうっとり。
三味線のシーンは、中盤、床に臥せるお米の傍らで爪弾くところがあって、これだけ!?と思ったら、終盤、たくさん聞かせてくれました。三味線のことはよく判らないけど、そりゃまあ、プロには比べようもないけど、長いソロはあるし、大変なことをやってるというのはよくわかる。弥市のセリフに「役者に合わせるんじゃなく、役者を乗せるつもりで弾く」というのがあったけど、音楽が良くないと、役者も活きない。もっと音楽にも関心を払おうと思ったり。
劇中劇で連獅子を踊ったのだが、三津五郎より愛之助のほうが、動きが大きくて、キレがあるように感じた。毛振りも勢いがあって、迫力たっぷり。回数も多く廻してたような。

ひとつだけ、ツッコミを入れたいのは、親分に言われて江戸を離れるとき、どうして博打なんかやってスッちゃうのよ!やむ無く小田原に落ち延びて…って、最初から上方に行っていれば、みんなハッピーだったのに(まあ、そうだったら芝居にならないのだが)。上方まで行かれないにしても、もうちょっとやむを得ない理由にならないものか。お金を盗まれるとか、病で動けなくなるとか…

2011年7月14日木曜日

7月13日 マニュエル・ルグリの新しき世界Ⅱ

「ホワイト・シャドウ」
以前、wowowで観たときはあまり感銘を受けなかったのだけれど、生で見てみるとなかなかよかった。でも、コンテンポラリーの作品って、テーマとかストーリーとかがよくわからなくって、苦手だ。

「海賊」
全くセットのない、さらの舞台でどうよ?と思ったけど(公演というより、発表会とかコンクールのよう)デニス・チェリチェヴィチコのジャンプが凄かった。

「マノン」
こちらはさすがに、天蓋付きのベッドとか、書き物机とかのセットがあって、それなり。フリーデマン・フォーゲルがさわやかで好印象。

「アレポ」
う~ん…、やっぱり、ベジャールの作品って苦手だわ。ミハイル・ソスノフスキーは後のロットバルトのほうがよかった。

「ラ・シルフィード」
木本全優というダンサー。ウィーン国立の準ソリストとかで、今回は、震災の影響で来られなくなったダンサーの代役というか、抜擢なんだろうな。踊りは、一生懸命な感じで好印象だったけど、日本人にキルトは難しいよ。

「白鳥の湖」
黒鳥のパ・ド・ドゥだったのだが、オディール(リュミドラ・コノヴァロワ)と王子(ドミトリー・グダノフ)よりも、ロットバルトのソスノフスキーがよかった。

「ファンシー・グッズ」
マノンのフォーゲルが再び登場。ジャズナンバーにのって、時にコミカルな振付が楽しかった。

「オネーギン」
ルグリ&マリア・アイシュヴァルトの恋愛劇。作品としては素晴らしいのだろうけど、公演の最後が、男が振られて立ち去るシーンってどうなの?
本当は、オレリー・デュポンが見たくて買ったチケットだったので、これがデュポンだったら…と思わずにいられなかった。