2015年4月30日木曜日

4月26日 中日劇場 夜の部

「新・八犬伝」

悪くはないはずなのだが、昼の部の派手派手しさと比べると見劣りしてしまうのは仕方ない。
特に、1幕が退屈。前回見たときはこれまでではなかったので、キャストのせいか。

梅丸は濱路のほか、大詰めの犬絵新兵衛でも登場。牛若丸のような拵えが凛々しい。

犬山道節の右近が出てくると、場が引き締まってほっとする。

4月26日 中日劇場 四月花形歌舞伎 昼の部

「操り三番叟」

門之助の翁と宗之助の千歳はおごそかな雰囲気だが、右近の三番叟と男女蔵の後見が登場すると華々しい、楽しい風情に。人形ぶりの様子はこれまで見たものと少し違っていたようだけど、これもまたすごい身体能力だと感嘆。


「雪乃丞変化」

大絶賛を聞いて観に行ってみたのだけれど、悪くはないのだが、大衆芸能のような演出が私には合わないみたい。猿之助の女形は好きだし、敵討の筋立ても、立ち回りもあって面白いのに、あの仰々しい音楽が流れると気持ちが醒めてしまう。

あて書きだけあって、役者それぞれが引き立っていて、軽業のお初の米吉が新しい境地を開拓?伝法な姉御を格好良く演じていて、スカッとする。むく犬の源次の萬太郎との掛け合いも楽しい。

雪乃丞の敵、土部三斎(男女蔵)の娘、浪路を演じた梅丸のかわいいこと。

剣術の同門でありながら、雪乃丞に敵対する門倉平馬の巳之助もいい味出している。

愛之助の菊之丞は劇中劇の「関の扉」もよかったし、雪乃丞の事情を知ったうえですべてを受け入れる度量の深さが格好いい。

話題の宙乗りは舞台下手から2階の上手側にむけて劇場を斜めに横切る変則的な形。1階席の後ろのほうだったので、後半が全く見えず、おいてけぼりな感じだったのも不満が残った。

4月 文楽公演 第2部

「絵本太閤記」 

夕顔棚の段を松香大夫と清友。尼崎の段の前を呂勢大夫と清治、後を千歳大夫と富助。

初菊のくどきなど、乙女の切ない心情を語らせたら呂勢大夫と決まってしまったのか。すごくいいのだけど、同じような語りが多いような。短くてもっと聞きたい気分。

千歳大夫は大きな立ち回りなど、派手なシーンがはまる。


「天網島時雨炬燵」

紙屋内の段の中を咲甫大夫と喜一郎、切を嶋大夫と錦糸、奥を英大夫と團七。

嶋大夫と錦糸のコンビがいい。登場時、お痩せになったかと思ったが、語り始めるといつもの力強さが胸に迫る。

和生のおさんは良かったが、治兵衛は…。辛抱立ち役で、じっと動かず耐える風情から男の色気が醸し出される役どころなのに、玉男にはあまり色気を感じられず。


「伊達娘恋緋鹿子」

火の見櫓の段のみで、派手な演出を楽しむ趣向か。

せっかくの見せ場、お七が火の見櫓に登る場面で、梯子がめくれて後ろが見えてしまっていたのが興ざめ。

4月4日 文楽公演 第1部

「靭猿」

咲甫大夫の猿曳、睦大夫の大名、太郎冠者は始大夫。ほか咲寿大夫、小住大夫。

襲名を祝って華やかに。お猿さんがかわいい。


「口上」

真ん中に新・玉男が座り、向かって左に嶋大夫、寛治、右に和生、勘十郎。後ろは一門の人形遣いがずらりと控える。なかなか壮観。

下手の千歳大夫が司会のような形で進み、嶋大夫、寛治が襲名をご披露。初日のせいか、ちょっと噛んだりもしていたけれど、歌舞伎とは違って淡々とした感じ。和生と勘十郎が同期の思い出などを語り、和やかな雰囲気。主役は一言も話さないというのが文楽風らしい。


「一谷嫩軍記」

玉男の襲名公演なのだが、妻相模の和生と藤の局の勘十郎のよさが勝っていた感じで、主役の熊谷がいまいち。

熊谷陣屋の段の切を咲大夫と燕三。後を文字久大夫と清介。

咲大夫の語りは聴き惚れてあっというまに過ぎてしまった感じだったのに、文字久大夫は聞いているのが辛くて、辛くて。声が聞き苦しくて、早く終われと何度も時計を見てしまった。


「卅三間堂棟由来」

中を芳穂大夫と清馗、奥を津駒大夫と寛治。

津駒大夫の語りが切ない。女房お柳を蓑助が遣い、情感たっぷり。