2014年12月21日日曜日

12月21日 伊賀越道中双六

敵討ちの原因となる「行家屋敷」から、「誉田家城中」「藤川新関」「岡崎」を経て「敵討」へと、敵討ちの本筋を追った構成。岡崎は44年ぶりとか。去年、文楽で通しで観た折、岡崎の段は歌舞伎ではどうなるかと思っていたので、願ってもない機会。

岡崎では、政右衛門とお谷のやり取りが、文楽よりも丁寧に描かれる。確か、去年の文楽では、政右衛門はタバコを刻むところからの登場だったけど、その前段の志津馬とお袖のくだりや、幸兵衛との師弟関係が明らかになった。お谷は、やっぱり、どうして乳呑み子をかかえて雪の中旅してくるのか分からない(政右衛門の腕を信じているなら、敵討ちを果たして帰ってくるのを待っていればいいので)のだけど、雪の中で凍えたり、癪で苦しんだりする様子が哀れ。子供の 巳之助を殺すのは、会っていきなりでなく、一旦顔を確かめてから、刀でバッサリでなく、小塚で首を突いて、と文楽版との違いもあれど、死んだ子をうっちゃってしまうのは一緒。生身の人が演じると、非道っぷりが際立つなあ。 しかも、幸兵衛は政右衛門や志津馬の正体を知っていて、殺しの意味はないのだから。

最後、無事敵討ちを果たして、めでたし、という感じだったけど、なんだか釈然としない気分が残った。あと、吉右衛門の立ち回り、ちょっと動きが重いのはお歳のせいか。

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