2014年3月31日月曜日

3月29日 杉本文楽「曽根崎心中」

ヨーロッパで好評を得た新演出、という触れ込みだが、正直、私には合わなかった。というか、暗くて遠くてよく見えなかったので、評価のしようがない。(でも、前のほうの一部の観客にしか伝わらない公演ってどうよ、とも思う)

真黒な背景に、最小限のセット(生玉社の段では鳥居だけとか)というシンプルな舞台で、主遣いも含めて人形は遣いすべて黒子衣装。人形だけにスポットライトを当てる演出だったのだけれど、薄暗くて人形はよく見えないし、見えないはずの人形使いが逆に目につく。普段の文楽を観るときは人形遣いが邪魔になるといういことはないのだけれど、この日は人形よりも目立って見えた。

見せ場とされる、観音廻りは、一人遣いの人形の動きは単調で、正直退屈。会場が広すぎて、人形の細かい動きなんて見えないし。(オペラグラスを使っても、あまりに薄暗いのでよく見えない)エルメスのスカーフを使ったという衣装も、よく見えなかった。背景にCGを使っていたのが工夫なのだろうけど、人形と合っていないというか。むしろ、数シーンだけあった、人形のアップを多用してくれたほうがよかったのでは。

太夫も呂勢大夫、津駒大夫、嶋太夫と、聴かせる人たちばかりだったのに、言葉がちっとも頭に入ってこないのが不思議。全体的に声明っぽく聞こえたのは、今回の演出?観音廻りを復活させるなど、仏教信仰にフォーカスを当てた演出というし。(でもその意図は私には伝わらなかったけど)

冒頭も、会場が真っ暗になり、声明のような音色が流れた。スポットライトに照らされ、舞台上で一人、清治の三味線ソロ。「ジミヘン風」とどこかのインタビューで読んだが、確かに通常の三味線とは違う弾き方なのだろうけど、いいとは思えなかったなあ…。

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