2014年1月27日月曜日

1月26日 初春文楽公演 第1部

「二人禿」

咲甫大夫、芳穂大夫など6人の大夫と三味線で華やか。


「源平布引滝」

歌舞伎で見た「義賢最期」の後日談、九郎助住家の段。
腕だけになっても源氏の白旗を届ける小万の根性(?)、体にくっつけたら一瞬生き返ってしまうなど、凄い話だ。太郎吉に自らを討たせ、手柄を立てさせる瀬尾十郎。一見、孫思いみたいだけど、初対面の孫に尊属殺人させてるんだけど…。

中を睦大夫、次に千歳太夫、切は咲大夫、後に呂勢大夫。

咲大夫の語りはやはり心地いいのだが、気持ち良すぎて睡魔が…。


「傾城恋飛脚」

新口村の段。歌舞伎で見たばかりだったので、その違いが面白い。歌舞伎では雪降りしきる外でいろいろやるのだが、文楽は室内に入ってしまう。歌舞伎は見た目の美しさを、文楽は人々の心情をより重視しているからなのか。

口は御簾の後ろで語り、切りは津駒大夫と嶋太夫。嶋大夫が魂を振り絞るような熱演。

2014年1月26日日曜日

1月25日 初春文楽公演 第2部

「面売り」

松香大夫の面売り、三輪大夫の案山子。

面変えながらの舞踊で、正月らしい華やかさ。


「近頃河原の達引」

四条河原の段は文字久大夫。

憎い恋敵、伝兵衛を亡き者にしようとして返り討ちにあってしまう官左衛門。武士のくせに商人にやられてしまう敵役って…。

堀川猿回しの段の切りを住大夫&錦糸、後を英大夫&清介。

三味線の稽古をするシーンでツレ三味線に龍爾がでてきた。舞台上の2本の三味線の掛け合いが面白い。

おしゅんの兄、与次郎が楽しい。心中から妹を救おうとして、暗がりの中であわてて、間違えて伝兵衛を家の中、妹を外に締め出してしまったり、シリアスな話なのに、そこここで笑い声が。こういう三枚目を玉女が使っていたのも、意外性があったけど、よかった。

住大夫の語りは、力強さが感じられ、さすが、と思ったが、後半、何度か呂律が怪しいところがあって心配になった。あのお歳で驚異的な回復力だとは思うが、やはりまだ病の影響があるのだなあ。とはいえ、致命的なほどではなく、前半がよかっただけに、小さな違和感に気付いたというか。

英大夫、コミカルなシーンを好演。


「壇浦兜軍記」

阿古屋琴責の段。阿古屋に津駒大夫、重忠を千歳大夫、岩永を咲甫大夫。
咲甫大夫は美声を生かした女形の印象だったのだが、太い声で悪役、岩永を好演。

歌舞伎で見るより、話は分かりやすい気がした。

2014年1月7日火曜日

1月2日 新春浅草歌舞伎 第2部

「博打十王」

バカバカしくも、楽しい舞踊劇。


「新口村」

愛之助の忠兵衛に壱太郎の梅川。美しい…。壱太郎はこういう役の方がはまってると思う。

孫右衛門の橘三郎とのやり取りが泣かせる。


「屋敷娘」

壱太郎、米吉、梅丸の若手3人による、華やかな舞踊。綺麗どころが揃って、目に楽しい。初日だったので、米吉の引き抜きがもたついて、蹴つまづくハプニングもあったけど、大過なく。


「石橋」

歌昇、種之助、隼人による獅子の精。前段がなく、いきなり獅子になっていたのもよい。
この中では歌昇がお兄さんなので、終始リードしていたのだけど、羽目板を踏む時など力強く、さすが若さ…と感じた。毛振りなども、技巧よりも勢いで。でも正月に観るには相応しい舞台。

1月2日 新春浅草歌舞伎 第1部

「義賢最期」

愛之助の義賢はもう4回目だとかで、すっかり当たり役の風情。以前観たときは、立ち回りにばかり目が行っていたのだけれど、宵待姫を逃がそうとする親心や、葵御前に源氏復興を託す気持ち、生まれてくる我が子を一目見たいという思いなど、心情描写がよく伝わってきた。戸板倒しは一瞬板の具合が不安定なようでヒヤヒヤしたけど、何事もなく、仏倒れも圧巻。正月から歌舞伎らしい舞台を堪能した。


折平実は行綱は亀鶴で、愛之助との息があっていて、立ち回りなど見応え十分。

宵待姫の梅丸が、可憐でかわいい。大きな役にちょっと硬くなっていたようだけど、きっとだんだん良くなって行くでしょう。

葵御前は吉弥。最近老け役が多かったせいか、落ち着きすぎか。せっかくの美しさが発揮されていないように感じて、残念。

小万の壱太郎も、眉毛のない役はあまり似合わないような。

九郎助の橘三郎はきっちり演じているのだけど、愛之助と並ぶと、「夏祭」ではあんなに嫌なじじいっぷりだったのに…と、前回との違いに戸惑う。

子役の男の子(たぶん、菊地慶くん)が可愛らしく好演。花道のところで、討手が来るのを見張ったり、九郎助の背中で立ち回りしたり、懸命な感じがよかった。


「上州土産百両首」

オー・ヘンリーの短編を翻案したという人情話。

猿之助演じる主人公の正太郎の幼馴染、牙次郎を巳之助。ちょっと足りない役を意外に好演していた。もどかしい話し方なのだが、嫌味になる一歩手前で踏みとどまっていたように思う。これ見よがしに阿呆を演じると、うんざりさせられることもあるけど。

スリの親分、与一の男女蔵は格好いい親分肌。弟分で、最後まで正太郎の邪魔をする三次を演じた亀鶴がホント、嫌な奴で。殺されて当然な気にさせられるほどの好演。

梅丸が正太郎が勤める料亭の娘、おそで役で、可愛らしい。夜遅くなったから泊まっていって、とか、積極的で。

12月8日 吉例顔見世興行 昼の部

「厳島招檜扇」

日招ぎの清盛という副題が付いているように、平清盛の権勢を現した一幕。あまり上演されていないようだが、ストーリーというよりは豪華絢爛な衣装や舞台装置を楽しむものだろう。寿曽我対面みたいな。

清盛を我當。奉納の舞を披露する仏御前、実は九重姫を笑三郎、祇王を壱太郎。

厳島神社の完成を祝って平家一門が集まるなか、奉納の舞を披露する仏御前が突如、清盛に切りかかる、、という肝心のシーンで、なぜか仏御前ではなく祇王を目で追ってしまった私orz…。女二人は同じ目的でその場にいると思っていたので、舞台を降りて行く祇王はどこへ??と思ってしまったのだった。


「道行旅路の嫁入」

戸無瀬を時蔵、小浪を梅枝と、本当の親子による競演。美しい母娘。


「ぢいさんばあさん」

初めてではないはずなのだが、前回が誰だったのか思い出せない…。

伊織を中車、るんを扇雀。中車が小柄なので、るんが大きく見える。
新歌舞伎なので、中車でもあまり無理がない感じか。(逆にいうと、歌舞伎には見えなかったのだけど)
敵役の甚右衛門と右近が好演。ほんと、いやな奴だった(←褒め言葉)。


「二人椀久」

しっとりとした二枚目を愛之助が好演。実はあまり期待していなかったのだが、いい意味で期待を裏切られた。もともとは仁左衛門が演じるはずだった役で、役者不足でも仕方ないのだが、なかなかどうして、色っぽかった。こういう、柔らかい艶は、ある程度年齢を重ねないと出せないものだと思うのだが、いやあ、よかった。恋人の松山太夫を孝太郎。


「義経千本桜」

もう何回目でしょうか。もはや猿之助の襲名披露と言えばこれ、といった風情だ。

特に新しい発見もなかったのだけれど、亀井六郎の松緑と駿河次郎の愛之助が並んで舞台に立つと、同世代が猿之助の襲名を応援しているようでぐっときた。