2024年5月25日土曜日

5月25日 糺能

「延命袋」

七五三の夫が可愛く、恐妻家で気が弱そう。ちょっと声が小さく掠れてたのが気がかり。鈴木実の太郎冠者は惚けたおかしみ。逸平の女房はわわしくて、七五三がやられちゃいそう。

「葵上」 梓之出 空之祈

林宗一郎のシテ。声がよく通り、詞章が聞きやすい。ツレの樹下千慧はこちらに背を向けていたせいか、声が小さかった。梓之出の小書がつき、御息所の独白のところでツレが一緒に謡うのが神秘性を増す。 ワキは有松遼一。後シテとの攻防に緊張感が漲る。
逸平の間、ワキツレは原隆。お囃子は杉信太郎の笛、大倉源次郎の小鼓、河村凛太郎の大鼓、前川光範の太鼓。

下鴨神社の舞殿を舞台に後方の中門に向かって橋掛を設る。舞台後方の真ん中から役者が出てくるので、囃子方の真ん中にスペースを設け、地謡は舞台右後方に斜めに並ぶ。橋掛が舞台の影に隠れてしまうので正面からだと橋掛での演技が見えないし、舞台上も柱が多くて見えにくいなど難もあるが、糺の森に囲まれたロケーションが日に暮れていく様は他にはない風情がある。



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2024年5月19日日曜日

5月19日 團菊祭五月大歌舞伎 夜の部

「伽羅先代萩」の御殿から床下を幕見で。

御殿は菊之助の政岡は期待通り。大名家の乳母としての品格と情愛があり、凛とした美しさに緋色の着物が映える。丑之助の千松はただの子役に止まらない達者ぶりに舌を巻いた。古典の子役なのであまり個性は出せないと思っていたのだが、なかなかどうして。「お腹が空いてもひもじゅうない」のセリフは前半を弱々しく、ゆっくりと、「ひもじゅうない」をはっきり発声することで、弱っていながら強がっていることがまざまざと感じられた。飯炊きを待っている間に雀の歌を歌うところでは袖で顔を覆って泣きじゃくるなど、これまで見落としていたところに目が行って、退屈する暇がないほど。目を細める癖も見られなかった。鶴千代は種太郎。十分いいのだが、丑之助のように特筆することはなし。歌六の八汐は意外に凡庸。お家のっとりを図る大きさがなく、意地悪なおばちゃんみたい。栄御前に雀右衛門、沖の井に米吉、松島に芝のぶ。

床下は右團次の男之助、團十郎の弾正。少し痩せたのか、顔が幸四郎に似て見えた。

5月19日 文楽公演 Bプロ

「ひらかな盛衰記」 

義仲館は藤・勝平。
あまり見ない組み合わせ。山吹御前とお筆の語り分けが甘いところもあったような。
人形は簑紫郎の巴御前が凛々しい。馬に乗って登場し、薙刀を振り回す。鎧姿で男のような足が吊ってあるのだが、体とのバランスが悪いというか、ガニ股なのがいただけない。

楊枝屋は靖・燕三。
期待していた組み合わせだったが、あまりしっくりきていない感じがした。
長持の中に山吹御前、駒若、お筆の3人が隠れているのはちょっと無理があるのでは‥‥。梶原方の詮議から逃れるため、飼っている猿に若君の着物を着せて引き渡すのはともかく、追っ手らが家内に押し入るのを物陰に隠れてやり過ごし、まんまと家内に閉じ込めて逃げるというのも、粗い。木造家屋なのだから、武器を持った武士ならば壊せるでしょ。

大津宿屋は希、津国、南都、文字栄、聖、薫の掛け合いに清友、錦吾。
夜中に子どもらが遊んでいるうちに、入れ違ってしまう。

笹引は呂勢・清治。
お筆大活躍。のびやかな声で、笹を引くところの節も聞かせる。
清治はタブレットでなく、紙の譜面をめくりながら。結構手数の多い曲なのに、ずっと下を向いて弾いているので心配だ。段切りの、定番のフレーズですら譜面から目を離さない。

松右衛門内の中は睦・清志郎。
今日はいい睦。冒頭少しヒヤリとしたが、声もよく出ていたし、破綻なく。

切りは千歳・富助。
松右衛門に大きさがあり立派。切語りの風格がある。 

権四郎が、槌松を殺された仕返しに駒若を切ってしまえというところで、詞章にはないけれど人形が包丁を研いでいるのが怖い。

逆櫓の段は芳野・錦糸。
力強い語りと三味線で満足の聞き応え。
芳穂が座布団1枚分くらい離れていたのはなんでだろ。

人形は和生のお筆が大活躍。玉男の松右衛門が立派。玉也の権四郎も手堅い。勘寿のおよしは珍しい若い女役。


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2024年5月18日土曜日

5月18日 文楽公演 Aプロ

「 寿柱立万歳」
咲寿の太夫に亘の才三、織栄のツレに清馗、清丈、燕二郎、清方。
咲寿にシンはまだ厳しいなあ。全体的にガチャガチャした感じだった。

人形は簑太郎の太夫、文昇の才三。

口上は大阪とほぼ同じ。呂勢と錣のカンペが赤い紙で緋毛氈に馴染んでいた。


「和田合戦女舞鶴」
市若初陣の段を若・清介。
端場を付けず、市若が訪ねてくるところから。やはり理不尽に可哀想。
「ほんぼんの〜」の件では拍手もあり、大当たりの大向こうがかかっていた。  

「近頃河原達引」

堀川猿廻しの前を織・藤蔵に清公のツレ。
三味線の稽古とか、意気揚々とした語りぶり。藤蔵の唸りも存分に。

切は錣・宗介に寛太郎のツレ。
情に溢れる語り。

道行涙の編笠は三輪のおしゅん、小住の伝兵衛、碩のツレに団七、団吾、友之助、清允。

人形は玉助の与次郎、清十郎のおしゅん。一輔の伝兵衛がシュッとした二枚目。

2024年5月12日日曜日

5月12日 歌舞伎鑑賞教室

歌舞伎の見方

元OSKの桜花昇と千寿が歌劇の男役と歌舞伎の女形の共通点と違いを解説。それぞれ異なる性を演じる工夫がありなるほど、と思うところもあり。二人ともセリフがいまいち流暢でなかったのは、初日を終えてが抜けたから? 立ち回り要員で愛治郎。

「京人形」

吉太郎の京人形の精が達者。魂がない時の無骨な動きから、鏡を懐に入れると途端にたおやかになる。松十郎の甚五郎、千寿のおとくは出番が少しで物足りない。 



2024年5月3日金曜日

5月3日 祝賀能 翁付高砂

京都芸術大学の移転記念の祝賀能で、翁は50数年振りという珍しい小書付きというので、急遽観劇へ。

クラシック音楽向けのホールは音響がよく、面をつけていても詞章がはっきり聞き取れた。広すぎないのもいい。傾斜があるので前の人の頭で見えないということはないし。板を踏む音が少しうるさかったのは改善を求めたい。

「翁」は金剛永謹の翁に茂山竜正の千歳、千五郎の三番三。「松風風流」の小書は松と竹の精の舞が出てくる。松の精は茂、竹の精は宗彦、風龍千歳は七五三。芸大生が作ったという被りものは盆栽の松とミニ門松みたい。

「高砂」は龍謹のシテ、宇高徳成のツレ、ワキは宝生欣哉、ワキツレに宝生尚哉、小林努。若宗家の舞を俯瞰で見られ、舞台上の移動の軌跡がよく分かった。

休憩なしで、翁から高砂までぶっ通しで3時間余り。足元が寒くて集中できなかった。

5月3日 繁昌亭 ゴールデンウイーク特別公演 第1回

時間の都合で中入り前までを鑑賞。

三実「寿限無」 
それなりにキャリアのある噺家の寿限無は危なげがなくていい。

二葉「天狗刺し」 
お得意のネタで、勢いがある。マクラでなんでも試しに食べてしまうアホの話はちょっといただけなかった。

うさぎ「隣の桜」
本人も言っていたように、女性っぽい名前と違うベテラン男性。流石に落ち着いた芸。
  
豊来家幸輝の大神楽 。

仁智「めざせ甲子園」
マクラでコロナ禍の話は少し古い感じ 。