2021年1月25日月曜日

1月25日 オペラ「トスカ」

ナマで見るのは初めてだったが、イタリアの伝統的な演出(マダウ=ディアツ)というのにひかれて所見。1幕ラストのテ・デウムの荘厳な様子や、デコラティブな舞台装置、衣装にオペラを見ているという満足感。トスカのキアーラ・イゾットン、カヴァラドッジのフランチェスコ・メーリ、スカルピアのダリオ・ソラーリと、主要キャストは外国からのゲストで、ほかは日本人キャスト。やはり日本人にイタリアオペラは難しいのか。

メーリはチャーミングな二枚目。カーテンコールで見せた陽性の笑顔が素敵。だが、カヴァラドッジよ、トスカのせいで親友がつかまったり、挙句自殺しちゃったりしたのに、そのことには一言も触れず、3幕でのラブラブぶりってどうなん!?と思った。

ソラーリは悪役ながらも魅力あふれるバリトン。まあ、2幕で「力で女を屈服させるのがサイコー」とか「すぐに捨てる」とか凄い下種なのだが、声が低いってだけで悪役認定てちょっと気の毒かも。

トスカのイゾットンは歌声は素晴らしいのだが、1幕で登場したときはカヴァラドッジと相思相愛というよりはちょっとうっとおしがられている感じに見え、2幕でスカルピアを刺すところは迫力に欠けた(食卓ナイフであんなに簡単に人が刺せるとは思えず)。

オペラ界では当たり前のことなのかもしれないが、幕事に主要キャストが幕前であいさつするのはいかがなものか。1幕はまだしも、2幕なんて直前で殺されて倒れてたスカルピアが歩いて出てくるってなんか変だ。

2021年1月20日水曜日

1月19日 GINZA de petit 能

 林宗一郎が中心となって企画した、短い時間で気軽に能を楽しめる公演。

宗一郎の挨拶や大倉源次郎による短い解説を挟んで、狂言と能を1曲ずつ、トータルで90分ほどというのは、仕事帰りにも立ち寄りやすい。

狂言「因幡堂」は茂山逸平の夫、善竹大二郎の妻、後見・野島信二。とぼけた夫の様子やわわしい妻におびえる様が可笑しい。

「一角仙人」は宗一郎のシテ、坂口貴信の旋陀婦人、宝生欣哉の官人。龍神は子方の林彩八子、林小梅。

歌舞伎の「鳴神」のモチーフになっただけあって、楽しい展開……なのだが、寝不足のため途中意識が飛んだ(涙)。子方は鐘のような造り物の中に隠れて登場し、クライマックスで破って登場。仙人との立ち回りもあって見応えあり。(仙人の面を刀がかすめてヒヤリとしたが)



2021年1月17日日曜日

1月16日 初春歌舞伎公演「通し狂言 四天王御江戸鏑」

菊五郎劇団らしい、歌舞伎らしさの詰まった狂言で、塞ぎがちな気分が晴れる気がする。
遅刻して幕開きの三番叟は見逃したが、対面風の勢揃いの序幕。二幕はお座敷の場面で、ソーシャルディスタンスを保って長い棒の先に徳利を付けたり、客の間に衝立を立てたり。ウーバーまがいのデリバリーが来たり、女郎花咲役の菊之助を中心にNiziUの縄跳びダンスを披露するなど、世相を取り入れた遊び心で楽しませる。三幕はガラリと変わって、頼光館で大蜘蛛が襲い掛かり、四幕の蜘蛛の精の宙乗りは客席の上でなく舞台上を右へ左へ。時間短縮のため初演時より大幅にカットされているそうだが、必要な要素は盛り込まれている感じで、見応えがあった。
主人公、鳶頭実は渡辺綱の菊五郎をはじめ、女郎実は蜘蛛の精の菊之助、茨木婆実は良門叔母の時蔵、相馬良門の松緑……と多彩な役者が適材適所の好演。