ナマで見るのは初めてだったが、イタリアの伝統的な演出(マダウ=ディアツ)というのにひかれて所見。1幕ラストのテ・デウムの荘厳な様子や、デコラティブな舞台装置、衣装にオペラを見ているという満足感。トスカのキアーラ・イゾットン、カヴァラドッジのフランチェスコ・メーリ、スカルピアのダリオ・ソラーリと、主要キャストは外国からのゲストで、ほかは日本人キャスト。やはり日本人にイタリアオペラは難しいのか。
メーリはチャーミングな二枚目。カーテンコールで見せた陽性の笑顔が素敵。だが、カヴァラドッジよ、トスカのせいで親友がつかまったり、挙句自殺しちゃったりしたのに、そのことには一言も触れず、3幕でのラブラブぶりってどうなん!?と思った。
ソラーリは悪役ながらも魅力あふれるバリトン。まあ、2幕で「力で女を屈服させるのがサイコー」とか「すぐに捨てる」とか凄い下種なのだが、声が低いってだけで悪役認定てちょっと気の毒かも。
トスカのイゾットンは歌声は素晴らしいのだが、1幕で登場したときはカヴァラドッジと相思相愛というよりはちょっとうっとおしがられている感じに見え、2幕でスカルピアを刺すところは迫力に欠けた(食卓ナイフであんなに簡単に人が刺せるとは思えず)。
オペラ界では当たり前のことなのかもしれないが、幕事に主要キャストが幕前であいさつするのはいかがなものか。1幕はまだしも、2幕なんて直前で殺されて倒れてたスカルピアが歩いて出てくるってなんか変だ。