2015年6月7日日曜日

6月6日 六月大歌舞伎 夜の部

「新薄雪物語」

広間・合腹

米吉の薄雪姫が可憐で愛らしい。
自分を逃しては父上に迷惑がかかると躊躇する薄雪に、ならば勘当すると詰め寄る園部兵衛(仁左衛門)の親心が泣かせる。魁春の梅の方も気品のなかに情があって、胸に響く。意外にもいい夫婦。

合腹は仁左衛門、幸四郎、魁春の3人で、重量級の存在感。三人笑いのところなど、会場が息を呑んで静まり返っていた。この醍醐味が花形とは違うところ。

幸四郎の伊賀守は花道の出からよろよろしていて、陰腹を切っている風情がよくわかる。扉を開けようとして、刀に引っかかるほど真に迫っていた(偶然?)。

正宗内

吉右衛門の団九郎は、おかしみというか愛敬があって憎めない小悪党。ただ、最後の立ち回り、捕手たちが車座になった肩の上に乗りキメるべきところで、よろけて落ちそうになり、慌てて支えられるなど、危なっかしい場面も。片腕を吊っているとはいえ、お歳を感じずにいられない。

「夕顔棚」

爺の左團次がいい風情。枯れたなかにも茶目っ気があって、チャーミング。婆の菊五郎と仲睦まじい夫婦ぶりで、ほのぼの。

里の女・梅枝と里の男・巳之助は、ちょっとバランスが悪く感じた。梅枝が大きくて。しなやかな指先なんかきれいなのに。


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