2014年8月20日水曜日

8月9日16日 三谷文楽「其礼成心中」

気軽に見られる上質なコメディ。冒頭、曽根崎心中ばりに自分たちの世界に浸っている男女が「ちょい待ち!」というおっさんのだみ声で遮られるおかしさ。呂勢大夫の語りが客席をがっちりつかむ。再見なので、前回ほどは笑えなかったけれど、やはり面白い。

この芝居の見どころは人形の動き。「曽根崎心中」や「心中天網島」の名シーンの一部はもちろん、地団駄を踏むおふくちゃんや、水中で泳ぐ半兵衛・おかつなど普段では見られないようなコミカルな動きが楽しい。人形遣いは「人間にできる動きはすべてできる」と言ったそうだが、ある意味それ以上。初見らしいお客さんが、「3人でどうやって動かしてるんだろう」と言っていたけど、
人形が自ら動いているようななめらかさは三人遣いのミラクルだよなあ。

今回は英語の字幕が付いて、ふむふむと思うところも。「曽根崎の母」を「Oprah of Sonezaki」としたり、日本語で「お父さん、お母さん」というところが「Mother&Father」になっていたり。

義太夫や三味線がマイク越しだったので、音が少々聞きづらかったのが残念。



2014年8月3日日曜日

8月3日 夏休み文楽特別講演 名作劇場

「平家女護島」

鬼界が島の段

千歳大夫と清介。

冒頭、三味線なしでアカペラのように語りが始まる。
歌舞伎では何度も見ているが、文楽では初めて。でもやはり、この話、私好きじゃないわ。
途中、意識が途切れた…。


「鑓の権三重帷子」

浜の宮馬場の段

松香大夫、始大夫、希大夫、南都大夫、津国大夫と喜一郎。

モテ男、権三はお雪のこと、本気ではないのか?祝言を催促されながら、どこか逃げ腰。


浅香市之進留守宅の段

津駒大夫と寛治。

おさゐが怖い。13歳の娘の夫候補に、「娘の代わりに自分が結婚しようか」なんて、冗談にならないんですけど。お菊と結婚するなら真の台子を伝授しようと言われ、あっさり承諾してしまう権三もたいだいだ。関係をもったお雪という女が居ながら、一回りも離れた子どもとの結婚を承諾してしまうって…・。


数寄屋の段

呂勢大夫と藤蔵。

嫉妬に狂うおさゐの語りがすごい。三味線も激しくあて、目ではなく、耳が離せない。
こういう場にお雪のくれた帯を締めていく権三もたいがいだが、嫉妬に狂って帯を解いてしまうおさゐもたいがいだ。
2本の帯を拾った伴之丞が不義密通の証拠を得たと逃げ去る。その前に、「蛙の鳴き声が止んだ」と外を見たときに、四斗樽に気付かなかったのか。さらに、市之進の男が立たないので、一緒に討たれてほしいという理屈もよくわからない。いっそ、不義になっちゃえばとすら思う。


伏見京橋妻敵討の段

三輪大夫と錦糸ほか。太夫6人と三味線6人でお祭りの華やかさ。

討たれるつもりなのに、夫に子どもの将来を託すおさゐがやはりよくわからん