2011年6月20日月曜日

6月18日 六月大歌舞伎 昼の部

「頼朝の死」

前にも見たことあるはずなのだが、これってこんなにいい芝居だったっけ?と再認識。
愛之助の重保がはまり役。主君を手に掛けてしまい、それを口にすることのできない苦悩が痛いほど伝わってきた。主役のはずの頼家(染五郎)よりも出番は多いし、見せどころも多いような…。

以前見たときは、頼家、いい年してなに青臭いことぬかしてんだと鼻白んだけど、染五郎の頼家にはあまり違和感を感じなかった。役者の年齢なのかなあ…(前回は確か梅玉だった)。

孝太郎の小周防。こういうかわいらしく、いじらしい役はうまいよね。なんでこんなに可憐になるのかと。音羽の梅枝とは実年齢では逆なのだが、かわいらしい女性に見えるのが驚き。

御台所の時蔵はさすがの気品。全体的に配役がしっくりきていて、物語のよさがよく伝わってきたように思う。


「梶原平三誉石切」

梶原景時は吉右衛門だったのだが、何だか動きやセリフにキレがなくて残念。

歌六+芝雀の親娘がよかった。


「連獅子」

昼の部の目玉(笑)。仁左衛門が折々に気遣うように千之助を見守っている様子が物語と重なって、気持ちが伝わってくる気がした。踊り自体はたぶん、それほどでもないのだろうけど。
毛振が短かったような気がしたのは気のせい?

2011年6月4日土曜日

6月4日 六月大歌舞伎 夜の部

「吹雪峠」

助蔵(愛之助)とおえん(孝太郎)が吹雪の中、山小屋に辿りつく。元の兄貴分である直助(染五郎)の元女房だったおえんを寝取ったことを悔い、弱気になる助蔵。そんななか、偶然にも直助が山小屋に迷い込む。3年ぶりの再会に驚き、直助に詫びる助蔵とおえん。直助は好きな女の好きにさせてやると言って、2人を許すそぶりを見せるが、咳込んだ助蔵の看病をするおえんの様子を見て(口移しで薬を飲ませる! 色っぽいシーンなのに見ていてとっても恥ずかしかった…)、やはり許せないので、吹雪の中、2人に出ていくよう言い出す。せめて夜明けまで待ってほしいと泣きつく2人を許せず、直助が刀に手をかけると、助蔵、おえんはそれぞれ、自分だけは助けてほしいとエゴをむき出しにして……というストーリー。登場人物の感情がくるくる変わっていく様はまるで現代劇のよう。だが、何だかすとんと胸に落ちなかったのは何でだろう?3日目だったので、まだ芝居がこなれていなかったのかな?


愛之助の助蔵、病み上がりで体調がすぐれないという役柄も影響しているのかもしれないが、なんとも情けない。一方、おえんは「隠れて会うからよけい燃える」というようなことを言って(正確なセリフは忘れた)、助蔵にしなだれかかったり、直助に命乞いをするときに手を取って自分の胸元に差し入れたり…とやたら色気を振りまくのだが…。見ているほうが恥ずかしくなっちゃうのは何でだろう。


「夏祭浪花鑑」

吉右衛門の団七に仁左衛門の徳兵衛という、超豪華なキャスティング。仁左衛門がやたら格好よかったのだが、一方、団七は…。動きにキレがないというか、全体的にもっさりした感じがした。

磯之丞の錦之助は、女にだらしなく、頼りない若侍(?)ははまり役(失礼!)。福助のお辰は悪くないはずなのに、いまいち期待外れだったかも。期待値が高すぎたのかな?段四郎の義平次は、憎たらしいオヤジっぷりが凄かった。

イヤホンガイドで、「祭は狂気をはらんでいる」という解説があったのだが、リオのカーニバルを例に挙げるのはいかに?神田祭とかだんじり祭りで十分でしょう。


「色彩間苅豆」

かさねの舞踊版。時蔵のかさねに染五郎の与右衛門という、美男美女で見た目に楽しい(←これ大事)。あざができて醜くなるのが恐ろしいのは、前半の美しさとのギャップがあってこそ。