2007年7月24日火曜日

7月7日松竹座

随分間があいてしまったけど、2回目を見る前に。

【昼の部】

「鳴神」
海老蔵の鳴神上人はなんか薄っぺら。霊験あらたかな上人さまには見えず、ただのスケベじじい?孝太郎の雲之絶間姫も、お堅い上人を美貌で麗絡というより、人妻が近所のご主人を誘惑、、、程度にしか見えない。怒りのあまり姿が変わってからは、さすが成田屋の芸だけあって見映えはよかったが、怒り心頭というよりなんかふざけてるように見えた。総じて、こんなもの?

「橋弁慶」
愛之助の踊りはどうなんだろう。あまりよく分からないので評価はできないのだが、手足が短いせいか、いっぱいいっぱいに見える(気がする)義経役の壱太郎は若々しく、好感が持てた。ひらりと舞うところがいい。ただ、鼻の下の汗が気になって…(すまん)

「義経千本桜」

仁左衛門さん、さすが。知盛の迫力たるや、正月の浅草で見たものとは似て非なるものだった。(比べては失礼ですが)ああ、こういう話だったのねと改めて分かったというか。

秀太郎さんの典侍の局はまたすばらしい。銀平の女房の時、旦那の空を見る力を自慢するところとか、余裕がある演技。こういうお役は、ベテランの俳優さんの方がいいなあ。ただ、典侍の局見せ場、安徳天皇を抱いて入水しようかというところで、安徳天皇役の子役が眠いのかグラグラ揺れてて後ろの黒子さんに支えられてようやく立っているという状態。しかも、場面転換で袖に引っ込んだあと、大物浦の場では、舞台に出るのを嫌がって泣き叫ぶ声が。秀太郎さんがアドリブで天皇のセリフを代わりに言ってストーリーは進んでいったけど、こんなことってあるのね。眠そうな子役のせいでせっかくの悲劇のシーンが笑いに包まれるし、緊迫感のあるはずのシーンで子供の泣き声が聞こえるしで、ストーリーに集中できなかったのが返す返すも残念。

愛之助の相模五郎は…ごめん!鶴亀さんのほうがいいと思ってしまった。いやね、愛之助と鶴亀のコンビがよかったなあと。魚づくしのやり取りとか、曲がった剣をさやに収めようとするとこととか、ちょっとあっさりしすぎ?もっと笑わせて欲しかった。渡海屋奥座敷の場での相模はよかった。

海老蔵の義経は……。この人、すっきり系の美男子を演じるとき、どうして地に足が着いていないというか、重心が浮ついたような、焦点の定まらない表情をするのだろう。こういうのが高貴だと思ってる?義経の威厳が感じられなかった。

【夜の部】

「鳥辺山心中」

愛之助はともかく、孝太郎が美しくないんだよね…。いまいちうっとりできないのはそのせいか。

びっくりしたのは竹三郎さん。いつもは老け役ばっかりだけど、若い芸妓役がちゃんと若く見えたのに驚いた。これが芸のなせる業なのね。孝太郎より華がある気がした。

「身代座禅」

仁左衛門さんかわいい。右京が出てきた瞬間から会場がほのぼのムードに。インタビューで品をなくさないようにとあったけど、まさにそう。コミカルなんだけど、やりすぎがないので、上品な感じに収まってる気がした。

「女殺油地獄」

海老蔵の関西弁とか、心配していたのだが、意外によかった。歌うような台詞回しは相変わらずなのだが(苦笑)、与平衛のどうしようもなさが出ていた。(単に地を出しただけ?)殺しのシーンの狂気は、狂犬のようで、これまた、意外によかった。

孝太郎もこういう、ちょい老け役だと悪くない。世話を焼いてやったのに、殺されちゃう割に合わない薄幸さとか、感情移入できた。

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