2014年2月11日火曜日

2014年1月9日 文楽公演第三部

「御所桜堀川夜討」

弁慶上使の段の中を三輪大夫、切りを英大夫。

弁慶のただ一度の恋、という触れ込みだけど、暗がりで顔も覚えてないって…


「本朝廿四考」

十種香の段を嶋大夫。
嶋大夫は好きだけど、蓑作(実は勝頼)との仲立ちを頼む八重垣姫の可愛さは歌舞伎の時蔵のほうがよかった。あのかわいらしさは、男性には醸し出せないのかも。八重垣姫の人形は蓑助で、思いのあまり積極的になってしまう姫のいじらしさがよかったのだけど。

奥庭狐火の段は呂勢大夫。「翼がほしい、羽がほしい、飛んでいきたい、知らせたい」で終わらず、「逢いたい見たい」とたたみかけるのが切ない。呂勢大夫の美声で語られると、ジンとくる。

人形は勘十郎。冒頭、狐の時は白い着物、舞台裏に引っ込んだわずかな時間に紋付袴に着替えていて、文楽でも早変わりがあるのかと驚いた。赤い着物から、狐が憑いてからの白い着物の人形に一瞬で持ちかえたり、狐に囲まれて幻想的な雰囲気になったりと、見ごたえ十分。


2014年2月9日日曜日

2月8日 二月花形歌舞伎 夜の部

「青砥稿花紅彩画」
白浪五人男を通しで。普段は勢揃いでしか観たことのない赤星や忠信のキャラクターが初めて分かって面白かった。

序幕
「初瀬寺花見の場」
弁天小僧の菊之助が男で出てくる。おぼこい姫君を茶屋に連れ込んで手籠めにしてしまうなど、なかなかのワルぶり。

梅枝の千寿姫がいい。八重垣姫もそうだけど、歌舞伎のお姫様って積極的だよなあ…。それを微笑ましく、かわゆらしく演じるのが歌舞伎らしい。

南郷の松緑が奴姿で、姫君との仲を取り持つ。似たようなシーンが新薄雪物語にもなかったか?

腰元ども、ベテランの役者ばかりで華やぎに欠けるというか、無理があるなあ…と思っていたら、1人だけ若やいだ雰囲気。千寿だった。役どころとしては、お姫様を囲む綺麗どころなのだから、千寿くらい若い、華やかな役者でそろえるほうがいいと思うのだが。

「神輿ヶ嶽の場」
赤星、主君のためとはいえ、武士のくせに100両を奪い取ろうとはどういう料簡?

「稲瀬川谷間の場」
赤星の七之助と、忠信の亀三郎が出会う。主君の家に泥を塗ったと自害しようとしていた人が、何で泥棒になってしまうのか?で、千寿姫は死んでしまったの?


二幕目
「雪の下浜松屋の場」
お馴染みの、女装の弁天小僧。やはり菊之助は美しいなあ。 以前見たときは、男に戻ってからの様子に違和感があったのだが(女が男の振りをしているようで)、今回はしっくりきた。
松緑の南郷との息も合っていてよろし。

「蔵前の場」
初見だったのだが、弁天小僧が実は浜松屋のせがれで、浜松屋のせがれが実は日本駄衛門の子供だったというどんでん返し。

「稲瀬川勢揃の場」
おなじみの勢揃。この衣装が浜松屋で誂えたものだったとは、通しで見なければわからんかった。

大詰
「極楽寺屋根立腹の場」 「山門の場」「滑川土橋の場」
弁天小僧が屋根の上で大立ち回り。型が工夫されていて飽きさせない。
最期に日本駄衛門が出てくるのだが、染五郎の駄衛門は何だかしっくりこない。駄衛門て悪い奴ではあるのだが、手下を束ねるカリスマ性というか、親分(兄貴分)の大きさがあると思うのだけど、染五郎のは悪は感じられるのだが、大きさがいまいちか。