襲名興行で高いので、当日券(立ち見、2500円)で観劇。狭い小屋なので、けっこう見えた。表情はオペラグラスが必要だったけど…。
「傾城反魂香」
仁左衛門の又平が見たくて。
勘三郎のおとくとは、息がぴったりで、夫婦の絆が感じられる。吃りの様子は控え目なのだけど、言いたい言葉が出てこない苦しさ、もどかしさが、痛いくらい伝わってくる。これまでに何人もの又平を見たけど、吃りのせいで幼稚にというか、知恵遅れのように見えることが多かったのだが、仁左衛門の又平はちゃんと大人の分別がある人に見えた。
石を絵が抜けたのに気づくくだりも、大袈裟すぎてやり過ぎになることなく、そのおかげで、素直に感動できた。吃又でもらい泣きしたの初めてかも。
勘三郎はちょっと存在感ありすぎのところがあって、「主役はおとく?」と感じる場面もあったけど、全体としては、いい女房だった。
「口上」
印象に残ったところを簡単に。
我當
中村座は8代(?)仁左衛門が座頭をつとめたことがあり、不思議なご縁。
進之助
高校時代、歌舞伎に興味がなかった同級生が、(前)勘九郎の演技を見てファンになった。人の見かたを180度変えるような役者になってください。
海老蔵
新勘九郎とは、初舞台の時からたびたび共演している。まじめなところは見習って、自分も精進したい。
仁左衛門
「御所五郎蔵」を新勘九郎に教えたと言われたが、17代勘三郎に教えてもらったので、恩返し。教えられた通りにはまだできていないが、聞いたことを孫の勘九郎に伝えたい。
いずれは、孫(虎之介)に教えてほしい。その時自分は生きていないだろうが、小山三さんはきっと生きているだろう。
扇雀
勘三郎には昼夜にかかわらずお世話になっている。
「身代座禅」で、勘太郎の右京に山の神で共演。その後勘三郎とも共演して、彼に足りないものがわかった。それは劇場を出てからの人生経験。勘九郎襲名を機に、劇場外の人生経験を積んでほしい。
笹野高史
歌舞伎の襲名口上の舞台に立てて感無量。先代勘九郎が勘三郎になるときに「大好きな勘九郎はどこへ行ってしまうのか?」と詰め寄ったが、7年ぶり(?)に勘九郎が帰ってきてくれて、うれしい。今夜は新勘九郎と「勘太郎の行方」について語り合いたい。
ーーー立ち見ではしんどいのでここまでで退場。肝心の襲名者の演目を見ずに帰ってスミマセン…。